音楽の素晴らしさって、こういうところじゃない?

ポスト
TV番組と生活がいかに密着しているかは、昔の番組を思い起こしてみるとよく分かる。年配の方の思い出として語られるのは、例えばウルトラQ。あの番組を見るために急いで家に帰るときの夕焼けやススキのたなびく夕方の風景が番組の思い出とともに記憶されており、ウルトラQのおどろおどろしいオープニング・タイトルと憂いのある夕方という時刻が、幼少時のひとつの情景と一体化されていたりするという。日曜朝のアニメ、朝の連ドラ、金曜の深夜番組…、時間軸で切り取られた生活の一部は、番組やそのときに流れていた音楽と渾然一体となった思い出となって記憶の情景にアーカイブされている。

そういう意味において、面白いコンピCDがある。『WBSソングス』と名付けられた「ワールド・ビジネスサテライト」の企画CDだ。

「ワールド・ビジネスサテライト」は、いわずと知れた経済ニュース番組。テレビ東京系列(TXN)平日23:00~23:58の放送だが、1988年4月4日に放送を開始、現在民放各局の最終版ニュース番組の中では最長寿番組で、2008年4月で放送開始20周年を迎えたところだ。一日の最後を締めくくるニュースとして、生活への密着具合といえば、むろんウルトラQの日ではないだろう。

アルバム『WBSソングス』は、この「ワールド・ビジネスサテライト」のエンディングテーマ曲の数々を集めたコンピレーション・アルバム。2002年から2007年にOAされたエンディングテーマ曲が全曲フルヴァージョンで収録されている。この曲を背中にしながら、風呂へ向かう人、あるいはベッドの上で就寝につく人、または、それから趣味の世界へ没頭していった人…毎日の生活の中で、人の数だけいろんなシーンがあり、そこでこれらの音楽が生活のBGMになっていたはずだ。

「FREEDOM」 福山雅治(2007年4月OA~)、「home」徳永英明(2006年4月OA~)、「明日」小田和正(2003年4月OA~)…夜景をバックに流れるエンディング・テーマ曲は、一日の仕事を終えたビジネスマンに癒しと安らぎを与えてくれた、スタンダード・ナンバーだった。

こういうアルバムを生活のなかにセットして、豊かなリラクゼーションと生活の潤いを演出する。音楽のよさって、こういうところですよね?

『WBSソングス』
1. FREEDOM / 福山雅治(2007年4月~)
2. home / 徳永英明(2006年4月~)
3. クリスタルドリーム / 小野リサ(2005年4月~)
4. ふれあう時を信じて(Album Version) / 五輪真弓(2004年4月~)
5. 明日 / 小田和正(2003年4月~)
6. やさしい人よ、風に舞え / 加藤登紀子(2002年11月~)
7. 遠い夜景に / 小椋 佳(2002年4月~)
8. みどりのささやき / 水牧あさ実×三村奈々恵(2007年4月~土曜版)
9. 誰よりも / ケイコ・リー (2006年4月~土曜版)
10. 光と風のミューズ / 川井郁子(2003年10月~土曜版)
11. ダフネの夢 / coba(2002年10月~土曜版)
この記事をポスト

この記事の関連情報