火星探査機の打ち上げに見る「地球外生命体」と「コンピューター」

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この「フェニックス・マーズ・ランダー」には、IBMのPower Architectureテクノロジーを搭載し、耐放射線性能を高めた「RAD6000」というシングルボードのコンピューターが搭載されている。「RAD6000」は、宇宙探査機の “頭脳” として航行データを処理し、宇宙空間および地上の両方において中枢システムを稼働させるという。

さて、この「RAD6000」の兄弟が、あなたの家でもミッションをこなしているかもしれない。というのも、この「RAD6000」に搭載されている「RAD6000プロセッサー」をもとにして開発されたのが、かつてアップルがMacに採用していたプロセッサー「Power PC」。担当者の家には12インチのPowerBookがあるが、強引に言ってしまうなら、火星探査機とこのMacは兄弟だ(もちろんプロセッサーだけを見て、の話)。

さらに、爆発的に売れているアレも、実は火星探査機つながりである。IBMのグローバル・エンジニアリング・ソリューションズ担当バイス・プレジデントであるラージ・デサイのコメントを紹介しよう。

「NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory:JPL)が、『別の惑星に生命は存在し得るのか』という長年にわたる謎を究明するミッションの要となるパーツとして、Power ArchitectureとRAD6000をベースにしたBAE Systemsを選んでくださったことを誇りに思っています。Power Architectureベースのプロセッサーは、3大ゲーム機(編集部注:「Xbox」「Wii」「Play Station 3」)のすべて、世界中の自動車モデルの50%、世界最速のコンピューターの60%、そして火星上のシステムの100%に使われています。Powerこそ、太陽系において真の意味でもっとも多用途のコンピューティング・プラットフォームと言えます。」

というわけで、今年の夏は、地球外生命体の存在に胸を膨らませつつ、一方でWiiでエイリアンと対峙してみる…なんて過ごし方はいかがだろうか?(笑)

ちなみに、2003年にNASAは、生命の主要な構成要素となっている水が火星上に存在したことがあるのかを探るため、火星に向けて「Spirit」および「Opportunity」という2機のMars Exploration Rovers(火星探査機)を打ち上げた。両探査車に積まれたのも、今回と同じく「RAD6000」。

昔のMacに搭載されているプロセッサーのもとになったということからも、「RAD6000」は今のコンピューターよりもはるかに性能が劣るのは明らか。ではなぜ、火星探査機に搭載され続けるのか? というと、“信頼性と実績”。

“高性能化が著しいハイテク産業界だが、このような失敗が許されない現場で重要視されるのは性能じゃないんだなー” という話でした。


■ NASAのサイト(英語)には、今回の打ち上げの写真やミッションの解説があります

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