アジカンのライヴに観る色彩感

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ASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲には、「夕暮れの紅」「ブルートレイン」「月光」「ブラックアウト」「桜草」「或る街の群青」など、色彩をイメージさせる楽曲がいくつかある。そのことについてメンバーに訊ねた際、後藤正文(Vo&G)は「色と感情はリンクしやすい。イメージが湧きやすい気がしていて」と言っていた。12月10日(日)、アジカン初のアリーナ・ツアー<Tour酔杯[SUI CUP]2006「The start of a new season」>の横浜アリーナ公演を観ながら、ふとその言葉を思い出した。

ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、という4ピース・バンドの基本的な編成から繰り出される、多彩なリズムとフックのあるメロディは、ときに閃光を放ち、ときに深い闇を滲ませ、ときに極彩色を焼き付ける。どの楽曲もが、鮮やかな色彩をもって音像を描いている。センチメンタルなアルペジオとディスコ・ビートがマッチングした楽曲などは、イントロだけで鳥肌が立つほど鮮烈で、バンドとオーディエンスの沸点が完全に一致した瞬間の光景を見た気がした。

ライヴ終盤、後藤はMCで次のように語った。
「週末にこうやってライヴに来るのって、いいよね。俺たちのライヴに関わらず、イヤなことがあったら、ライヴに行ったりCDを聴いたりすると気持ちが軽くなる。音楽にはそういう力があると思います」。

そして、約2時間のライヴが終了すると、心地よい喪失感を味わっていることに気づく。全23曲のめくるめく音像を体感して完全燃焼することで、ブルーな気分も心のモヤモヤもリセットできたような。そして真っ白になった気持ちの上に、また新たな色彩を重ねていけるのではないだろうかと。

<Tour酔杯[SUI CUP]2006「The start of a new season」>は、年明け1月の大阪城ホール2daysでファイナルを迎える。

文●望木綾子


▼<Tour酔杯[SUI CUP]2006「The start of a new season」>フォト・アルバム
https://www.barks.jp/feature/?id=1000028878

<Tour酔杯[SUI CUP]2006「The start of a new season」>
2007年1月10日(水)大阪城ホール
2007年1月11日(木)大阪城ホール

■オフィシャル・サイト http://www.asiankung-fu.com
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