【佐伯 明の音漬日記】吉田拓郎&かぐや姫 つま恋2006に参加する
2006.09.○
“還暦のFes”あるいは“31年ぶりの伝説再来”と形容できる
「吉田拓郎&かぐや姫 コンサート イン つま恋 2006」に参加する。
戦後の若者文化の一大潮流=フォーク・ムーヴメントを作った
吉田拓郎氏は、単なる歌い手ではない。
無論、狭い範囲にしか通用しないカリスマでもない。
時代が持つことを必要としたある熱量を、
音楽を通して具現化できた数少ない人なのである。
もちろん「時代は変わる」(byボブ・ディラン)であるから、
一時に特化された熱量など風雪に雲散霧消してしまうのが常道だ。
だから、この目で見てみたかった。
ゴマ塩頭が万単位で集結し、加齢臭という名の答えが風に舞う場所を……。
失礼な表現になってしまっているが、
僕とて、もはやその部類に入っている人間である。
そうした、見た目の衰え的変化も世の常道だ。
つまり、世の常道を飲み込んでさらに開花させる音楽の現場が、
あるのかどうかを見てみたかったのである。
それは、つま恋に確かにあった。
13時過ぎからスタートしたライヴは、
吉田~かぐや姫という順番で交互にステージに立ち、全部で5部構成。
だんだんにヴォルテージも演奏も濃密になっていく。
時間の経過は、体力や気力をそいでいくという
物理的真理に反して、吉田の歌もかぐや姫の演奏も、
一分の隙もないものになっていったのである。
ラストの第5部中盤に、中島みゆきさんが
ステージに登場した時などは、“音楽にすべてを賭ける”磁場が
とてつもない密度ででき上がった時間帯であり、
むしろそうした場所で自分のヴォーカルを披露できた
中島さんの度胸を高く評価したいくらいであった。
一切のコメントもなく、「落陽」で花火が上がった。
落ちていくものに歌われた曲で、あらがうように上がる花火は、
ある種の示唆を孕んでおり、言うまでもなく8時間半に
及んだライヴ・コンサートの白眉だった。
「還暦になっても、何の役にも立たない」という
吉田発言は、その音楽にとっては逆説的形容であったのである。
到達すべきところ、持つべき指標、
そして燃焼をさらに深くさせる音楽があることを知った一日だった。
(付記)
バンドないしはフルバンド、そして弾き語りという3パターンで
ステージに立った拓郎さんだったが、
3部の最後に弾き語り、つまりアコースティック・ギターと
ハモニカで歌われた「ファイト」には鳥肌が立った。
“あの符割り”は拓郎さんの発明であり、
誰もマネできないことを確認した次第。
“還暦のFes”あるいは“31年ぶりの伝説再来”と形容できる
「吉田拓郎&かぐや姫 コンサート イン つま恋 2006」に参加する。
戦後の若者文化の一大潮流=フォーク・ムーヴメントを作った
吉田拓郎氏は、単なる歌い手ではない。
無論、狭い範囲にしか通用しないカリスマでもない。
時代が持つことを必要としたある熱量を、
音楽を通して具現化できた数少ない人なのである。
もちろん「時代は変わる」(byボブ・ディラン)であるから、
一時に特化された熱量など風雪に雲散霧消してしまうのが常道だ。
だから、この目で見てみたかった。
ゴマ塩頭が万単位で集結し、加齢臭という名の答えが風に舞う場所を……。
失礼な表現になってしまっているが、
僕とて、もはやその部類に入っている人間である。
そうした、見た目の衰え的変化も世の常道だ。
つまり、世の常道を飲み込んでさらに開花させる音楽の現場が、
あるのかどうかを見てみたかったのである。
それは、つま恋に確かにあった。
13時過ぎからスタートしたライヴは、
吉田~かぐや姫という順番で交互にステージに立ち、全部で5部構成。
だんだんにヴォルテージも演奏も濃密になっていく。
時間の経過は、体力や気力をそいでいくという
物理的真理に反して、吉田の歌もかぐや姫の演奏も、
一分の隙もないものになっていったのである。
ラストの第5部中盤に、中島みゆきさんが
ステージに登場した時などは、“音楽にすべてを賭ける”磁場が
とてつもない密度ででき上がった時間帯であり、
むしろそうした場所で自分のヴォーカルを披露できた
中島さんの度胸を高く評価したいくらいであった。
一切のコメントもなく、「落陽」で花火が上がった。
落ちていくものに歌われた曲で、あらがうように上がる花火は、
ある種の示唆を孕んでおり、言うまでもなく8時間半に
及んだライヴ・コンサートの白眉だった。
「還暦になっても、何の役にも立たない」という
吉田発言は、その音楽にとっては逆説的形容であったのである。
到達すべきところ、持つべき指標、
そして燃焼をさらに深くさせる音楽があることを知った一日だった。
(付記)
バンドないしはフルバンド、そして弾き語りという3パターンで
ステージに立った拓郎さんだったが、
3部の最後に弾き語り、つまりアコースティック・ギターと
ハモニカで歌われた「ファイト」には鳥肌が立った。
“あの符割り”は拓郎さんの発明であり、
誰もマネできないことを確認した次第。
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