<FRF'06>今年初登場! ヘリコプターに乗って来ました

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フジロック名物といって思いつくものは何? 突然降り出すにわか雨? 越後もち豚? きゅうりの一本漬け? ハイネケンの生ビール? ブリティッシュ・カウンシルでもらえるユニオンジャックのレジャーシート? そんな数多いフジ名物に今年から新たな名物が加わるぞ!(来年もやるなら……)。そう、それがヘリコプターなのだ! ヘリコプターといっても、フジロックは大人のフェス。遊園地にある子供が乗る遊具なんかじゃないぞ! なんと、本物の遊覧ヘリコプターなのだ! 料金は3分3000円、高っ!

というワケで、乗って来ましたよ。ヘリコプターに! ヘリコプター乗り場に行くためには、まずはフジロックの会場全部を通過する必要がある。なぜなら、乗り場が遠いから! グリーン・ステージを越え、昼間っからライヴも観ずにTシャツ売り場に並んでいる人ごみをかき分け、ところ天国と川を越え、ホワイト・ステージを越え、ボードウォークを延々と歩くこと約15分。フィールド・オブ・ヘヴンとオレンジ・コートの分岐点をオレンジ側に曲がり、壁一面がオレンジ色という、朝一に眺めると軽くめまいがしてくるオレンジ・コートを左手に歩くこと10分、やっと乗り場が見えてきた! ここまで到着するのにメイン・ゲートから歩くこと30分以上!

なんか乗り場は田舎の小学校の校庭みたいだぞ? フジロック名物といえば、長蛇の行列。トイレはもちろん、越後もち豚の屋台の前にも、温泉の御宿本陣でも、行列、行列、行列! というわけで大混雑を覚悟で向かった我々取材班は驚きの光景を目にした。だ、誰もいねー!

受付のお姉さんに3000円を支払い、待ち時間0秒で保険の申込書も兼ねているという搭乗名簿に署名する。初日の昼間に行ったとはいえ、名簿の整理番号は19番……少なっ! 採算取れているのだろうか……。

我々の予想を裏切り、な、なんと現地に着いて5分もしないうちに離陸体制に……。行列に並びながら飛び立つ人々の後姿を眺め、心の準備をしようと思ってたのに……。プロペラの音がうるさいため、乗客同士、およびパイロットとの会話のためにヘッドセットを付けて飛び立つ。垂直にゆっくり離陸するせいかジャンボジェットが離陸するときみたいな“フワッ”という感覚はなく、もっとすーっと自然に上昇していく。うん、なかなかいい感じだ。

しばらくは、「フィールド・オブ・ヘヴン見えたねー」とか「あ、あれホワイト・ステージだ! 上から見るとホントに白いねー」などと同乗者と談笑。しかし、グリーン・ステージとキャンプサイト上空あたりで異変が……。“ちょっと旋廻しますよー”なんて、言いながらパイロットはおもむろに機体をほぼ真横!に傾ける(体感)。旋廻っていうか、普通に曲がれるのにエンターテインメント性を高めるためにわざと横にしてるだろ! しかも、角度がつき過ぎてるせいで、下の景色は逆に見えにくいし……。しかし、真の恐怖はその後に訪れた……。

「ちょっとジェットコースターみたいになりますね(ニヤリ)」とパイロット。パイロットの肩越しに地面が見えた無重力のあの瞬間、ヘリコプターはほぼ垂直に地面に向かって降下していく! ちょっとじゃねーだろ! 「180メートルまで降下しますねー」とパイロットのナレーション、「死ぬー、死ぬー」と客席はすでに阿鼻叫喚の地獄だ。もはやこのまま墜落してしまうのでは?と覚悟を決めた瞬間、機は水平飛行に移った。「みなさん怖いんですから、もっと声とか出してもいいんですよー」と、さらに乗客の感情を逆なでするパイロット。そして、乗客たちがほっと一息つこうとしたその瞬間、ヘリコプターはまた地面に向かって急降下を! 「着陸のためにまた降下しまーす」って! もっと普通に降りれるだろ! しかも、地面に突撃する前に助走つけるために一回軽く上昇してるじゃねーか!? すでに抵抗する気力も失った乗客たちを再び恐怖のどん底に突き落とすと、短いフライトは終わった。校庭みたいな広場に着陸したときのぐったりとした乗客のうつろな目線、そしてあのときの、パイロットのしてやったりのニヤニヤ笑い……、しばらく夢に見そう。グリーン・ステージで座ってまったりしていたみなさん、「ヘリコプターうるせーな」などと、地上から見上げていたみなさん、あの遊覧ヘリの中では、そんな事件が起こっていたのですよ……。新たな被害者を生んでほしいのでぜひ来年も続けて下さいね、日高さん! そして、パイロットさんもぜひ来年もブチ切れた、よりクレイジーなフライトを期待してますよっ!


文・写真●suepyon

FUJI ROCK FESTIVAL '06特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000025344
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