<FRF'06>ズートンズ、玄人うならせる影の実力派

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フランツ・フェルディナンドを筆頭に、今回のフジロックでも顕著な活躍を見せる“2004年UKデビュー組”の中ではダークホース的な存在ながら、すでに2枚のアルバムを本国イギリスでロング・ヒットさせている“影の実力派バンド”、ザ・ズートンズ。玄人リスナーを唸らせ続けている彼らがデビュー3年目にしてレッド・マーキーのトリを取るのは、その実力から考えても当然のことだが、当の本人はそれでは納得していない。“フランツは同期だけど、もうメイン・ステージのトリじゃないか。でも、見てろよ。僕たちはゆっくりのステップだけど、いつかトップになって見せるよ!”。このライヴの前にヴォーカルのデイヴは僕にそう語ってくれたが、その言葉は有言実行となった。

代表曲のひとつ「ドント・エバー・シンク」で幕を明けたライヴだったが、いきなり進化を感じさせた。グルーヴがドッシリと重い。デビュー時から、70'sのファンクの影響を受けたと思しきヘヴィなグルーヴを聴かせる彼らだったが、その横揺れのビートがガツンガツンと前のめりに出て来るようになった。こんなに骨格のガッチリした、ヘヴィなグルーヴを刻むロックンロールはUKはおろか世界中探しても稀少価値!

登場した時から叙情派ともガレージともポスト・パンクとも違っていたが、もはや彼らは“コーラルのフォロワー”などでもない。今やズートンズは、次代のUKロックを背負うワン&オンリーの存在だ。タイトでガッチリとしたロング・ジャムは一級品となり、後半披露した「ホワイ・ウォント・ユー・ギヴ・ミー・ユァー・ラヴ?」「ヴァレリー」でソングライティング的にも洗練され、さらに紅一点のサックス、アビはますますキュートになってステージに一層の彩りを! ……そうこうしているうちにグリーン・ステージではフランツがスタート。だが、ズートンズのフィニッシュを見逃してまでフランツには行けなかった。……と、オーディエンスにそう思わせた時点で、今日のズートンズはキッチリと課題を果たしたのだろう。次はもっと大きなステージで、フランツと直接対決してほしい。もう、それだけの資質は彼らにはある!

取材・文●沢田太陽
7/28 RED MARQUEE

1. Don't Ever Think
2. It's The Little Things We Do
3. You Will You Won't
4. Tired Of Hanging Around
5. How Does It Feel?
6. Remember Me
7. Oh Stacy(Look What You've Done!)
8. Zuton Fever
9. Dirty Dance Hall
10. Pressure Point
11. Hello Conscience
12. Valerie---Vocal
13. Why Won't You Give Me Your Love?
14. Zutonkhaarmuun
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