地域別に見る、南部ヒップホップ考察

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ヒューストンの雄LIL FLIPの新作も
 上記した以外の、これからの注目作品/アクトを軽くピックしておこう。THREE 6 MAFIAインタヴューはこちら)「Stay Fly」での客演で、ようやく日本でも名前が浸透してきたメンフィスの超ベテラン・コンビEIGHTBALL&MJGはBADBOY移籍第2弾となる新作を夏前にリリース予定。昨年末にリリース予定だったアルバムが延び延びになっているヒューストンの雄LILFLIPの新作(インタヴューはこちら)も、間もなくリリースされるという話だ。そして、今年の南部シーン最大の注目は、何といってもUGK(PIMP C&BUN B)の復活作だろう。PIMPCの投獄により、UGKとしての活動は停止していたのだが、その間にBUN Bが凄まじい量の客演をこなし、シーンでのプロップは一気に上昇。ようやく出所したPIMPCとともにT.I.のアルバム『King』へ参加し、UGK名義のクラシック「Front Back, Side To Side」をリメイクしており、復活を盛大に祝している。つまり…今年も南部のヒップホップ・シーンからは目が離せないってことなのだ!




全米を席巻する南部発のリミックス
CHOPPED&SCREWED


 現在、全米を席巻しているのが、ヒューストン・オリエンテッドなスロウピッチ・ミックスCHOPPED&SCREWED(C&S)。このミックスをすごくわかりやすく言うと、45回転のレコードを33回転で聴くような感じ。

かつてはキワモノ的に見る輩も居たようだが、本国では全米規模にまで人気が浸透しており、日本でもTERIYAKI BOYZを現在のC&Sの第一人者であるMICHAEL “5000” WATTSが手掛けたことで注目を集め始めている。そんなC&Sな世界にドップリと浸かり、本場のシーンで活動している日本人女性DJをご存知だろうか。

その女性の名はDJ PRINCESS CUT。彼女はダラス在住のDJで、C&SのオリジネイターであるDJ SCREWの遺志を継承する唯一の日本人だ。

そんな彼女にC&Sについて説明してもらった。

DJ PRINCESS CUTC&SとはDJ SCREWが始めたリミックス手段で、シロップ(合法ドラックである咳止めシロップ)を飲んだときに聴く音楽としてヒューストンで生まれたジャンル。トラックをスローダウンさせレコード2枚使いし、言葉をチョップ、スクラッチし、新しいバージョンのトラックを生み出すものでサザン・ラップとは切り離せないんです。最近じゃテキサスのラッパーでC&Sバージョンのアルバムをリリースしていないラッパーはワック(偽者)、って言われるくらい必需品になってるし。魅力はC&Sをすることによって、さらに曲に感情やフレイバーを与えるってところ。2枚使いでチョッピングや言葉を繰り返したりっていうのはそのためにやってるから。最近のDJはなんでもかんでも言葉とかチョップして、趣旨がわかってないナンチャッテが多いですよ。

DJ PRINCESS CUTの名前を覚えておいて損はナイ。

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