<FRF'05>モービー、ロック・カヴァーから超脳天気レイヴまで

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“テクノ界でもっとも日本で過小評価されているアーティスト“と言えば間違いなくモービーだろう。1999年のアルバム『PLAY』はフジロックのトリを務めたことのあるプロディジーやケミカル・ブラザーズさえをも凌駕する全世界1,000万枚のセールスを記録。最新作『Hotel』もヨーロッパを中心に10ヶ国近くでNo.1を獲得。特にライヴ・アクトとしてはかねてからテクノ界随一の評価も得ていたモービーだが、そんな彼も遂にこのフジのグリーンの山場で本領を日本のファンにアピールできたようだ。

天候は雨続きの今回のフジロックでも最悪な部類に入る大雨。故にグリーンの入りも多くはなかった。しかし、強い雨に打たれてでもモービーを見たいと願う人の気持ちは極限の疲れを“最後のヤククソ・パワー”に転化させ、猛烈なダンス・グルーヴを生み出した。モービーはそんな聴衆の状態を見越してか、のっけからフル・スロットルで自らの持てる多様性を全開させた。



得意のアンビエントから昔とった杵柄によるレイヴ、ビッグビートにニュー・ウェイヴ……。まるで“エレクトロ・ミュージックの歴史博覧会“を見るかのような芸域の広さ。加えてバンド編成の強みを生かしたロック・チューンのカバーも連発。レディオヘッドの「クリープ」をはじめ、AC/DCやメタリカを披露する器用さとユーモアに聴衆は俄然沸き立った。MC、ヴォーカル、ギター、パーカッションとひたすらエンターテインナーに徹するモービーの姿には感心させられっぱなしだったが、一方で“アメリカが右翼国家になる危険性を歌った曲です”と最新ヒットの「Lift Me Up」を披露する硬派オピニオン・リーダーな一面もしっかりアピール。それでいて最後は超脳天気レイヴ・ナンバーでアッパーで終わるメーターの振り切れぶりだ。“テクノ”やら“クラブ”やらの狭義なカテゴライズをとうに超えたこの大きな存在感。日本でもようやくこのステージを皮切りに正当に評価されて行くような気がする。

取材・文●沢田太陽

Moby
2005/7/31 GREEN STAGE

FIND MY BABY
RAINING AGAIN
NATURAL BLUES
IN MY HEART
GO
BEAUTIFUL
PORCELAIN
CREEP(RADIOHEAD)
WHEERE YOU END
STARS
WHY DOES IT SO BAD?
HONEY
ALL NIGHT LONG (AC/DC)
BODY ROCK
LIFT ME UP
FEELING SO REAL

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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