<FRF'05>鳴り止まないアンコール、マーキュリー・レヴ

ポスト
トーキング・ヘッズ、マイルス・デイビス、ギャラクシー500……彼らが影響を受けたアーティスト達のアルバム・ジャケットが、コクトー・ツインズの「ローレライ」が鳴り響く中、次々とスクリーンに映し出される。「これから何か素敵なことが起きるに違いない」そんな予感をオーディエンスに抱かせつつ、二日目レッド・マーキーのラスト、マーキュリー・レヴが登場した。

不穏な空気をまといつつ、美しく且つ壮大に展開する佳曲「ファニー・バード」からスタート。ヴォーカルのジョナサン・ドナヒューはまるで指揮者のように両手を動かし、楽器陣を牽引していく。その様はまるでメンバーそれぞれに魔法をかけているかのよう。壮大な自然を想起させるような曲を書くバンドなだけに「グリーン・ステージやホワイト・ステージで見られたら最高だったのに……」などと考えていたのだが、いざその楽曲に身をゆだねてみると、深い深い太古の森にいるかのような錯覚を起こす。彼らにロケーションは関係ない。むしろそのロケーションが彼らの楽曲に合わせて姿を変えるのだ。

新作『シークレット・ミグレイション』が好評だったマーキュリー・レヴだが、この日は名作『ディザーターズ・ソングス』、『オール・イズ・ドリーム』からも多く演奏され、新旧バランスのとれたセットリストだった。中でもハイライトはラストの「ザ・ダーク・イズ・ライジング」。暗闇が渦巻きながら立ち上っていくかのような楽曲が鳴らされる中で、何度もガッツポーズを決めるジョナサンの姿は、自然のように「暖かくも厳しい」マーキュリー・レヴの魅力を物語っていたように思う。

轟音が鳴り響く中彼らがステージを去っていった後、次のアーティストへのセットチェンジが始まっても一向に鳴り止む様子がなかったアンコールの拍手は、ジョナサンがオーディエンスにかけた一番最後の魔法だったのかもしれない。

取材・文●古澤輝由(Hard To Explain)
Photo/Masanori Naruse

Mercury Rev
7/30 RED MARQUEE

1. The Funny Bird
2. Black Forest
3. Diamonds
4. Tonite It Shows
5. Vermillion
6. Goddess On A Hiway
7. Opus 40
8. There You Are
9. Holes
10. In The Wilderness
11. The Dark Is Rising

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
この記事をポスト

この記事の関連情報