<FRF'05>ブラック・ヴェルヴェッツ、昔堅気のハード・ロック

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イギリスのロック・ファンは何も繊細で文科系なインディ・ロックばかり聴いているわけではない。もちろんハードでワイルドなロックも聴くわけだが、だからと言ってパンクやラップ・メタルのような今風のラウド・ロックだけを聴いているわけではない。'70~80年代のアリーナを席巻した昔堅気のハード・ロック。こうしたロックはひと昔前のロック・ファンにいまだに愛されているのはもちろん、若いキッズにも新鮮に映っているのだ。

ブラック・ヴェルヴェッツのようなバンドがある日突然登場して来るのも、こうした事情があるが故に起こり得ることなのだ。2日目の午後に突入直後の12時40分。苗場はこのフジ2度目の瞬間的な豪雨に見回れた。バケツの水をひっくり返したような、屋根の上に激しく叩き付けるような雨。フジロッカーズたちはたちまち雨宿りの場所を求め、その結果ブラック・ヴェルヴェッツの演奏中、レッド・マーキーは朝の満員電車のようにごった返した。

日本でまだアルバムを発表したばかりのブラック・ヴェルヴェッツには実にラッキーなシチュエーション。そして彼らはこの運をうまく生かした。けれん味のない、剥き出しのままの豪快なロックンロールは客席前方を占めた熱心なファンをまず熱狂させたが、その熱気はやがてTシャツから肌が透けて見えるほどにびしょ濡れになった中央~後方の聴衆にも徐々に伝わり、その輪は最後には全体の一体感へとつながった。往年のスタジアム・ロックが持っていた、予備知識不要の屈託のないわかりやすさ。僕はそれを思い出して思わずニヤリとした。昨今のダークネスやジェットに代表されるようにこうしたロックが見直されつつある昨今だが、こういう光景を目にすればその理由も納得である。

ブラック・ヴェルヴェッツの演奏自体はまだ荒削りで楽曲的にもまだ完成はされていない。だが、アリーナ・ロックの持つ美点を信じて成長していけばまだまだ面白くなり得る。

取材・文●沢田太陽
Photo/Barks

The Black Velvets
2005/7/30 RED MARQUEE

WONT LIE DOWN
GET ON YOUR LIFE
ONCE IN A WHILE
GLAMSTAR
SAVE ME
3345
THIS TIME LATER
LADY LIME
NOT ALL THE TIME
GIVING IT ALL

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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