――最後に、ここ数年、他アーティストへの楽曲提供やプロデュース活動が多かったのですが、特に印象深かったコラボレートは？
タイジ：自分にとってでかかったのは、櫻井（敦司）くんとtobaccojuice。櫻井くんはやっぱすごいよね。世代が一緒で“BUCK-TICK現象”とかステッカーもリアルに見てたしBUCK-TICKの存在は知っとったけど、活動してたエリアが違うからそんなに詳しくは知らなかったの。でも依頼が来て、初めて一緒にやろうってなって酒呑みに行ったら、すっごく面白い人で。歌詞も強力ですよ。櫻井敦司の初のソロやし、いろんなすごいミュージシャンがやってるし「負けられねぇ！」って全力投球するワケ。その全力で投げた球をまた、「胎児」っていうすごい歌詞でカキーンと飛ばすから。もぅ面白かった。新潟エイド（※２）とかも出てもらったり、結婚式で歌ってもらったり、仲良くしてもらってます。で、新潟エイドで「こちらがKyoto Jazz Massiveの沖野修也です。こちらがBUCK-TICKの櫻井敦司です」って二人を紹介できたんですよ。もぅ、俺はものすごい大きい仕事をしたなと思った（笑）。
――まったく接点のなかった二人を出会わせたわけですからね（笑）。
タイジ：あり得ない二人をね。で、tobaccojuiceはメジャー・デビューの１stミニ・アルバムをプロデュースしたんやけど、これも俺の中ではでっかかったんですね。もう、すんごい下手っぴなんですけど、でも確かに何かおもろいところがあるわけ。「このヘタクソ！ スケールっていうのを教えたる！」とか「ピッキングっていうのは上下上下ってやるんや！」とかそんなことを教えないとあかんほど下手なの（笑）。ソロの弾き方も間違ってたり、AmでEのスケールを弾いてたり。なんか気持ち悪い～みたいな（笑）。そんなとこから始めたんやけど、連中と仕事してんのがすごくおもろかった。コーラスっていうのは絶対大事なパーツやから「やりなさい！」とか「ギター練習しろ！」とか言ってるけど、果たしてシアターブルックは本当にできとるか？と思ったら、できてないのね、ぜんぜん。tobaccojuiceからそんなことを学んだりする。だからシアターブルックに戻ってきて、「やっぱコーラスは大事っすよ、沼澤さん！」みたいなことを今さら力説したりして（笑）。「イーグルスとか真剣にやったほうがいいっすよ。今後、あと何年ミュージシャンやるかわかんないんだから、コーラスのできる、歌えるドラム、歌えるキーボーディスト、歌えるベーシストっていうのは大事っすよ！ そうなっていかないとマズイっす！」みたいな（笑）。
――初心に返るきっかけになったと。
タイジ：そういう意味でも、tobaccojuiceのプロデュースはでかかったですね。シアターのライヴにtobaccojuiceが遊びに来て酔っ払ってるの見ると嬉しいし、可愛いしね。あとは、Leyonaはもう、周りのミュージシャンも仲いいから何でもやるぞっていう感じやし。CHEMISTRYは、いい子たちなんやね、話してみたら。やっぱり歌にはすごいこだわってるし。俺ならOKって言っちゃうようなところでも「いや、もう１回」って。歌のトラックに対してものすごい高い打点を求めてるね、彼らは。清春くんは、俺としても“清春くんをこうしてやろう”っていう気持ちがあって、彼はそういうふうに料理されることをわりと受け入れるタイプで、やり甲斐があった。彼の持ってるフィールドの中で、俺の培ってきたテクニックとか経験がすごい機能してるのが自分でもわかったし、今までの清春くんとは違う面を出せたかなと思う。腰の低いイイ奴だしね。MCUはね、思いっきりナンパされました（笑）。一昨年の＜ライジング・サン＞の楽屋で「タイジさ～ん、なぁんかやってくださぁいよぉ～。い～っしょに呑ぉみましょ～うよぉ～」って、もんのすごい酔っ払って、もんのすごい濃ゆい酒を持ってきて絡み倒されて。太いヘビに巻きつかれるように（笑）。
――みんなタイジさんに何を求めているのだと思いますか？
タイジ：なんでしょうねぇ。何を求められてるかはわからんけど、佐藤タイジとその仲間たち、シアターブルックに頼んだらこのクオリティには必ず達するっていうふうにはしたいですよね。今の音楽業界には昔みたいなお金はないけど、いいミュージシャンは死ぬまでいいミュージシャンだから。そうありたいと思うし。で、こうやっていろんな人たちとやれたっていうのは、今回のアルバムがより純粋に作れた要因であることに間違いない。
取材●烏丸哲也
文●編集部■
（※２）新潟エイド-----2005年１月23日に渋谷AXにて、新潟中越地震復興支援のために行なわれたチャリティ・ライヴ。佐藤タイジの呼びかけにより、中條卓（シアターブルック）、浜崎貴司、MCU、Leyona、沖野修也（KYOTOJAZZ MASSIVE）、櫻井敦司（BUCK-TICK）、清春、tobaccojuiceらが出演。イベントの収益金は、実施後に収支明細を明らかにした上で、日本赤十字社新潟県支部、及び新潟県共同募金会に寄付された。さらに、新潟エイド実施決定後に起こったスマトラ沖地震の被被災者への義援金として、収益金の50％を日本赤十字社 海外救援金口座に振込む事を、発起人、出演者、主な主催者、企画制作者の話合いの上で決定した。
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