| ──英語ヴァージョン、日本語ヴァージョンを両方入れたのはなぜですか? 1番で英語、2番で日本語といった感じで両方やってしまうこともできますよね。
ボビー:いい質問だね。ライヴではそうしようかな。でもどうして別のヴァージョンとして両方作ったのか、自分でもよく理由はわからないんだよ。なんとなく、かな。
──もう1曲のカヴァーは、デニース・ウィリアムスとデュエットですね。デュエットはお好きですか?
ボビー:デュエットは好きだから、毎回のように入れているね。今回はこの曲でデュエットをやろうと決めていたんだ。デュエットの相手については、何年か前から何か一緒にやろうと話をしていたデニース・ウィリアムスが最初から第一候補だったんだ。彼女もこの曲がすごく好きだったと言うので、すごくスムースに進んだよ。
──「Call Me Up」のイントロには、可愛らしい声が入ってますね。
ボビー:僕の娘の声さ。あの曲はすでに録り終えて完成していたんだけど、あとから曲の内容をいろいろ考えていたら、電話の鳴る音とか留守電の音とか、イントロになにかの音を入れたくなったんだ。大人の声とか、いくつか試してみたんだけどうまくハマるものがなくてね。それで娘を連れてきて録ることにしたんだ。娘のレコーディングは、なんと2テイクでOKだったよ!
──前2作、『Blue Condition』と『Come Rain or Come Shine』はスタンダードでしたが、あれはボビー自身のルーツに回帰したということですか?
ボビー:いや、スタンダードは僕のルーツとはいえないな。子供の頃からシナトラとかエラ・フィッツジェラルドとかたくさん聴いて育ってきたし、音楽にも人生にも多大な影響を与えているのは間違いないけど、ルーツとはちょっと違うな。しばらくスタンダードをやっていたのは、偉大なアメリカの資産といえるような名曲を残し、伝えていこうという思いからなんだ。ロッド・スチュワートみたいなアーティストもこういったものを取り上げていることを見ると、多くのアーティストにそういう思いがあるんじゃないかな。アメリカの歴史を次の世代に伝えていくのは重要なことだよ。
──ソングライターとしての活動の中では、日本のアーティストにも曲をたくさん提供してますね。日本の音楽、日本のミュージシャンについてどう思いますか?
ボビー:以前と比べてずいぶん変わってきたように思う。前は日本でレコードを作るときにアメリカ人のアーティストを呼んだり、日本のアーティストがアメリカに来てレコーディングしたりしていたけど、その必要もなくなってきたんじゃないかな。今はギタリストにしてもソングライターにしても、素晴らしい才能を持った人たちがいっぱいいるね。僕の体験でいうと、以前ブルーノート東京で1週間セットが組まれていたとき、日本のドラマーを使ったことがあった。推薦してもらった「日本一のスタジオドラマー」にテープを送ってやってもらったんだ。あれは誰だっけ? そうそう、ムラカミ(編註:村上ポンタ)だ。実際やってみたらものすごくいいプレイヤーで。もうぶっ飛んだよ。それまでのドラマーには戻ってきてもらわなくてもいいやと思ったくらい(笑)。日本のプレイヤーも音楽も、本当にすごくクォリティが上がってると思うよ。
──今後のツアーも楽しみにしてます。
ボビー:すでにサンディエゴで、新しいセットで6曲くらいやってきてるんだけど、お客さんも気に入ってくれたみたいだね。きっといいパフォーマンスができると思うよ。
取材・文●田澤 仁
<<<ボビー・コールドウェル特集トップへ |
|