ファットボーイ・スリム、9/22studio coastライヴレポ
生楽器や生歌をこれまでにない程フィーチャーした4年振りの新作『パルーカヴィル』をリリース。9月には東京はSPACE LAB YELLOW、ageHa @ studio coast、大阪はUNDER LOUNGEで、来日公演を行なった。その、9/22ageHaでのライヴの模様をお伝えする。
最新作『パルーカヴィル』は、ノーマン・クックが2000年代のクラブ界に提示した彼なりの見事なヴィジョンだった。アルバムとしての彼は確実に新たな次元に向け一歩前進した。では、その新たな世界観を、一体彼はどういう風に表現してくれるのだろう。そう期待を膨らませながら、僕は今回のライヴに臨んだ。だが、ライヴの方は、“ファットボーイのこれまでの姿でのベストな形”、この枠から出るものでは決してなかった。今や伝説となったブライトン・ビーチのショウでもそうであったように、今回のショウもやはり、彼お得意のDJスタイルでのライヴで、他のアーティストの曲に自分の代表曲を混ぜて行くというものであった。
確かにそういうものとしては悪くない。ダフト・パンクにホワイト・ストライプス、ビートルズをビッグビート的なグルーヴの中で巧みに料理し、その中に「ロッカフェラー・スカンク」や最新作からの「スラッシュ・ドット・ダッシュ」など、彼のトレードマークとでも言うべき、決めフレーズを万華鏡のように織りまぜる様は名人級。アナログのケースにマジック・ペンで“FUN!”と書いてクネクネと踊るノーマンの乱舞する姿も微笑ましいし、低音の出力も実に気持ち良い。こういうものとしては、かなり完成度の高いショウであるとは思う。
だが、'90年代然としたDJのみのライヴというものに飽きた目で見ると、やや物足りない気がしないではない。ベースメント・ジャックスを筆頭に、モービー、!!!、ラプチャーみたいに、全てがバンド編成になれとまではいかないが、そうした連中たちが放つ“予定調和ではない生身のグルーヴ”に対抗する何かが、この日のショウではまだ感じられない気がした。
「今回のアルバムはフロア向きでなくリスニング向きだ」。ノーマンはそう語っているようだ。しかし、これまで時代を巧みに生きて来て、今回も充実作をモノにできた彼だけに、その勢いをフィードバックさせたライヴをどうしても期待せずにはいられないのだ。
文●沢田太陽
写真●成瀬正規
最新作『パルーカヴィル』は、ノーマン・クックが2000年代のクラブ界に提示した彼なりの見事なヴィジョンだった。アルバムとしての彼は確実に新たな次元に向け一歩前進した。では、その新たな世界観を、一体彼はどういう風に表現してくれるのだろう。そう期待を膨らませながら、僕は今回のライヴに臨んだ。だが、ライヴの方は、“ファットボーイのこれまでの姿でのベストな形”、この枠から出るものでは決してなかった。今や伝説となったブライトン・ビーチのショウでもそうであったように、今回のショウもやはり、彼お得意のDJスタイルでのライヴで、他のアーティストの曲に自分の代表曲を混ぜて行くというものであった。
確かにそういうものとしては悪くない。ダフト・パンクにホワイト・ストライプス、ビートルズをビッグビート的なグルーヴの中で巧みに料理し、その中に「ロッカフェラー・スカンク」や最新作からの「スラッシュ・ドット・ダッシュ」など、彼のトレードマークとでも言うべき、決めフレーズを万華鏡のように織りまぜる様は名人級。アナログのケースにマジック・ペンで“FUN!”と書いてクネクネと踊るノーマンの乱舞する姿も微笑ましいし、低音の出力も実に気持ち良い。こういうものとしては、かなり完成度の高いショウであるとは思う。
だが、'90年代然としたDJのみのライヴというものに飽きた目で見ると、やや物足りない気がしないではない。ベースメント・ジャックスを筆頭に、モービー、!!!、ラプチャーみたいに、全てがバンド編成になれとまではいかないが、そうした連中たちが放つ“予定調和ではない生身のグルーヴ”に対抗する何かが、この日のショウではまだ感じられない気がした。
「今回のアルバムはフロア向きでなくリスニング向きだ」。ノーマンはそう語っているようだ。しかし、これまで時代を巧みに生きて来て、今回も充実作をモノにできた彼だけに、その勢いをフィードバックさせたライヴをどうしても期待せずにはいられないのだ。
文●沢田太陽
写真●成瀬正規
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