2025年4月にメジャー1stフルアルバム『Ｒ』をリリースし、現在リリースツアー＜Bimi Release Party Tour 2025 -Ｒ-＞真っ最中のBimiが、スタジオライブ動画「Studio Performance Video）」を公開した。アルバムに参加したフィーチャリングアーティストとのパフォーマンスが全曲公開されるという。

BARKSではすべてのスタジオライブパフォーマンスについてBimiに訊くインタビューシリーズを全7回に渡り展開する。第6回目は「無敵 feat.呂布カルマ」。ネット＆SNS社会に蔓延するノイズを一蹴したリリック、モーリス・ラヴェルの「ボレロ」をサンプリングしたブーンバップが小気味いい楽曲である。日本のヒップホップシーンの代表格のひとりであり、独自の活動を続ける呂布とのステージにBimiは何を思ったのか。

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◾︎呂布カルマ パフォーマンス直後コメント
Bimiの録音データや楽曲を聴いて、複雑なラップをしていたので驚きました。最近の若い子ってレコーディングではしっかりやるけどライブは全部被せで済ませちゃって、ライブで披露することを想定してないスタイルの子も多いんですよね。今日初めて実際に合わせてみたら彼はちゃんと全部生声でやっていて、「あ、ちゃんとできるんや！」っていうのがまずいちばんの驚きでした。

世代も全然違うし、普段活動しているフィールドもまったく別で。そんな交わることがなさそうな存在同士が、同じ画面の中で、同じビートの上でラップしているのはまさにヒップホップの面白さやなと思います。このスタジオライブではそういうところも楽しんでもらえたらうれしいです。スムーズにやれたし、自分の声でしっかり歌っていて「やっぱり舞台で活動してるだけあるな。プロフェッショナルやな」と思いましたね。

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──『Ｒ』のフィーチャリングアーティストのラッパー枠は、Whoopeeさんと呂布カルマさんのおふたりです。呂布さんとBimiは世代も活動のフィールドも違いますが、様々なシーンを股に掛けているという面では共通していますよね。

Bimi：あとは炎上しやすいという共通点がありますよね（笑）。もうひとつはクレバーで冷めてるところかな。「別にやることしっかりやってりゃ仕事なくならないでしょ」と思ってる。呂布さんは世間的にMCバトルのイメージが強いと思うんですけど、バトルで上手いこと言える人は言葉一つひとつが強いですよね。「無敵」という楽曲の題材においてはいちばん適任な方だったなと、一緒に並んであらためて思いました。呂布さんと俺が並ぶと、近寄れないくらいの変なオーラが出てる感じもしたし（笑）。

──呂布さんはBimiがしっかり生声でラップをしていることに驚いたそうです。

Bimi：ハイパーポップやクラブサウンドみたいにオートチューンごりごりにかけたほうが音源として成立する楽曲もありますけど、やっぱりラップは生声だけでも成立する音楽じゃないですか。おまけに「無敵」みたいなクラシックをサンプリングしたブーンバップでド直球に王道でラップするのに被せなんてしてたらとんでもないですよね。AIが一瞬で曲を作れる時代だからこそ、人間ならではの技術で魅せないとお金はもらえないとも思っているので、生であることにはこだわってますね。だから呂布さんからそう言っていただけてうれしいです。

──リリックを書くうえでも、その生感は意識していますか？

Bimi：ライブをしている自分を想像しながら書いてますね。台詞として書いたことはないし、等身大です。ライブに向けて特に練習はしないんですよ。歌詞は1回書いたらもうほぼ覚えるんで。それは役者をやってるおかげだと思う。

──歌詞が自分の一部になっているからこそ、ライブの場で柔軟にフリースタイルも取り入れられるということですね。

Bimi：でもそれ以外の記憶が全然はたらかないんですよ。財布もすぐ忘れちゃう。この前もパチンコ屋のトイレに財布を置きっぱなしにしておっさんに盗まれて、帽子もすぐどっか置いてきちゃうし、家の鍵もどっか置いちゃうし。Bimiを始めてから忘れ物が増えましたね……。ほんとにやばいんですよ。

──クレバーなのかポンコツなのか（笑）。

Bimi：まじでやばいっす。なくさないようにでっかい財布にしたんですよ。絶対忘れねえ！って強い意志で財布を盗まれたパチンコ屋にまた行って、計数機と腕の間に財布を置いてたのに負けすぎてイラつきすぎてそのまま出てっちゃって、1時間後ぐらいに置き忘れたことに気づいて。でも黒い財布だったんでその場に擬態してくれて、無事に戻ってきました。買ったばっかだったんで、ほんと盗られてなくて良かったです。

──ギャンブルではクールになれないですね。

Bimi：ギャンブルだけはだめっすね。タガが外れちゃうっす。

──あと「無敵」のスタジオライブは、Bimiさんが呂布さんをもてなしているようにも見えたんですよね。トラックもそれこそ、呂布さんがヒップホップに傾倒し始めたであろう90年代、00年代のニュアンスが強いですし。

Bimi：トラックは完全に呂布さんとラップするイメージに合わせてチョイスしました。一緒にやらせてもらう1発目でお門違いなジャンルのトラックでお願いするのは違うんで。自分はどんな音楽ジャンルもできるから相手の土俵でもかませる自信があるし、そのうえでBimiサウンドにできるのは自分の強みだなと思って。だから「無敵」に限らず、今回のフィーチャリング曲は全部相手に合わせてます。

──なぜBimiはなんでも合わせられるし、合わせたいと思うのでしょう？

Bimi：何に対しても食わず嫌いをしないようにしてたからですかね。音楽は好きだからどんなジャンルもめっちゃ聴いてきたんで、そのうえで自分なりに「これはかっこいい」「これはダサい」と精査するようになったし、「なんでこれが流行ってんだ？」と思ったらちゃんと聴いて分析したり。10代の頃からそんなことばっかやってきてたんで。

──好奇心が多彩さを育んだと。

Bimi：僕、ベースラインが好きなんですよね。ボトムを聴いてどんなウワモノをどう乗せるかを想像するのが昔からすごい好きなんです。そういうことを続けてたらいろんな音楽を好きになって、できるようになったんですよね。あとは俳優をやってるのもあるかもしれないです。俳優は舞台やミュージカルだといろんな曲を役として歌うので、なりきり方が染みついたというか。

──確かに音楽も、そのジャンルに合った歌い方がありますよね。演歌などは顕著です。

Bimi：だからもともとあった音楽への好奇心に、役者をやったことで培われた表現力が掛け合わさったのかな。この器用貧乏がずっとコンプレックスだったし、いい意味で今もこのコンプレックスと戦っている感覚はあるんです。いろんなジャンルの楽曲をやっているし、やれるけれど、全部をもっと突き詰めたいんですよね。「どれもクオリティ高いな」じゃなくて、「全部トップレベルじゃない？」と思えるところが自分の目指してる場所なので。目標は高いほうが面白いですからね。そのためにはもっと戦わないといけないし、虎視眈々と狙ってます。

取材・文◎沖さやこ

メジャー1stアルバム『Ｒ』

2025年4月9日（水）発売
https://elr.lnk.to/RCD

品番：KICS-4189
商品形態：CD only
定価：¥3,600（税込）
仕様：限定スリーブケース（初回プレス分のみ）

［収録内容］
M1. 辻斬り
M2. 百鬼夜行 feat.Whoopee Bomb
M3. 無敵 feat.呂布カルマ
M4. Bright feat.YUKI（from MADKID）
M5. 額 -HITAI-
M6. Right-Hand Chance
M7. 軽トラで轢く-味変- feat.椎名佐千子
M8. 暴食
M9. All the things feat.Sit（from COUNTRY YARD, mokuyouvi）
M10. Nemo
M11. ゴースト feat.新藤晴一（from ポルノグラフィティ）
M12. 27th-味変-
M13. Bonus Inst -R- (Prod. DJ dip)

ライブ情報

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