新局面到来か?リッチー・コッツェン 8年ぶりのソロ来日公演、開催目前

2025.05.26 10:16

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ギタリストとしての超絶さのみならず、ソウルフルな歌唱でも長きにわたり支持を集めているリッチー・コッツェンの来日公演が近付いてきた。2023年11月にはザ・ワイナリー・ドッグスの第3作『スリー』をひっさげてのツアーでも日本にやって来ている彼だが、ソロ名義でのジャパン・ツアーは実に8年ぶりということになる。

2024年9月に通算23枚目のソロ・アルバムにあたる『NOMAD』をリリースしている彼は、同時期から北米ツアーを開始し、約30公演ほどを実施。そして今年の春にはアイアン・メイデンのギタリストであるエイドリアン・スミスとのプロジェクトであるスミス/コッツェン名義での第2作『ブラック・ライト/ホワイト・ノイズ』を発表。また、今回の日本への帰還に先がけ、5月23、24日にはカリフォルニア地区でのソロ公演を行なうなど、相変わらず精力的で多様性に富んだ活動を続けている。そんなリッチーから日本のファンへのメッセージが到着したのでさっそくお届けしておこう。

「日本に行き、音楽を演奏する。そこでファンが俺のことをずっと受け入れてきてくれたことに、本当に感謝している。日本には1994年から行っているけど、初めての機会からこんなにも年月を経てきたなんて信じられないくらいだ。その時からこれまでの間に新しいフォロワーが増え続けていることも実感しているけれど、自分にとって最も印象深いのは、初期の頃から応援してくれているファンがずっと公演に足を運び続け、今でも俺の音楽を支持し続けてくれていることなんだ。2025年6月、ふたたび日本への帰還を果たせることにワクワクしているよ」──リッチー・コッツェン

今回はザ・ワイナリー・ドッグスと同様にトリオ編成でのライヴ・パフォーマンスになるとのことで、彼はディラン・ウィルソン(B)、マット・レッサー(Dr)を引き連れてやって来る。

「ディランは2011年から俺のツアーでベースを弾いてくれている。こんなに長く一緒にやってきたなんて信じられないけど、それくらい彼と音楽的にも強い絆で結ばれていることは間違いないよ。とても素晴らしいミュージシャンで、彼が突き詰めてきたものには俺自身の音楽領域にはないものがある。それが俺たちのライヴ・パフォーマンスに刺激的な要素を加えてくれるんだ。そしてマットは新メンバーだ。ドラマーのオーディションを行なった時、彼がその場に足を踏み入れ、ドラムキットの後ろに座って叩き始めた時、すぐさま彼こそがディランと俺の仲間になるべき人物だと気付かされたんだ」──リッチー・コッツェン

ところで『NOMAD』の収録曲のひとつである「Nihilist」のオフィシャル・リリック・ビデオでは、大阪の街で撮られたことが明らかな映像が含まれている。その経緯についてリッチーは次のように説明している。

「2023年にザ・ワイナリー・ドッグスのツアーでそっちに行った時に、妻も同行していて、大阪でオフの日があった。大阪はとても面白くてインスパイアされる街だと感じていたから、その日に街を歩きながら少し撮影することにした。その時点ですでにあの曲は書き終え、レコーディングも終わっていたんだけど、翌年になってアルバム自体のリリースが決まった段階で、あの時の映像を引っ張り出してきて、そこにディレクターが他のシーンをいくぶん追加して、すべて日本で撮影した映像で構成されたリリック・ビデオにしてみたんだ。大阪はもちろん東京でのシーンも使って、それが曲の背景を彩るものになったというわけだよ」──リッチー・コッツェン

少しばかり意外なのは、多作な彼が今現在は楽曲制作をしていないという事実だ。

「今年に入ってからは、まったく新曲には取り組んでいないね。最近、ASCAP(米国作曲家作詞家出版社協会)の自分のアカウントを確認してみたら、今までに450曲以上をリリースしてきたことがわかった。つまり、自分自身で書いたり誰かと共作したりした450以上もの曲を世の中に送り出してきたということなんだ。そして今、俺は人生の中で初めて“新曲を作らない時期”を迎えているんだよ。もちろんアイディアがあるし、それはいつだって浮かんでくるものだけど、今はそうしたものを単純に記録に残しつつ放置している感じかな。長年にわたるアウトプットを経て、初めての経験をしている段階にあるよ。そして今こそ、インプットをするための局面なんだ」──リッチー・コッツェン

音楽的な意味においてもハード・ロックの枠にとどまることなく、ソウルやファンクをはじめとする要素を背景に持つリッチー・コッツェンが、今なお新たなインプットを求めようとし続けている姿勢には頭が下がるばかりだが、それこそ今回の日本ツアーも、彼にとっては新たな発見やインスピレーションとなり得るのかもしれない。ソロでは久しぶりの来日ということもあり、今回の大阪、東京での各公演でも最新作『NOMAD』の楽曲のみならずさまざまな時代の楽曲を披露してくれるはずだ。長年にわたり彼を追い続けてきた人も、ごく最近になってから知った人たちも、是非この機会に、人生初の局面を迎えているリッチーの“今”を体感して欲しい。

文◎増田勇一
撮影◎Juergen Spachmann

■公演日程
6月2日(月)大阪・梅田クラブクアトロ
6月3日(火)東京・渋谷クラブクアトロ
6月4日(水)東京・渋谷クラブクアトロ
◆RICHIE KOTZEN – ウドー音楽事務所

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