【インタビュー】NAMBA69、Ken Yokoyamaと“VS”「いろんなものを越えることが出来ちゃう音楽の力」

■昔は想像すらできなかったけど
■その想像を遥かに超える今になってます
──SAMBUさんも『Ken Yokoyama VS NAMBA69』は思い入れの深いスプリットになったんじゃないですか?
SAMBU:ハイスタのフロントマンが各々のバンドで演ると、ここまで違う曲、違うバンドサウンドになるんだなって思いましたね。収録曲の順番を「交互に入れるのか、3曲ずつ一気に並べるのか」という2つのアイデアがあったんですけど、やっぱり後者のほうがそれぞれの色がはっきり浮かび上がるから良かったと思う。それに、スプリットというよりも一枚のいい作品ができたような気がしてるんです。それぞれの音はまったく別物だけど違和感がない。すごくいいバランスだなと。
ko-hey:単純にバンドって面白いなと思える作品ですよね。健さんとNAMBAさんが枝分かれしたときに、こんなにも音に違いが生まれるんだなって。なんか、バンドしているな!と。ある種、生々しい2バンドだと思います。音の作り方、聴かせ方、見せ方も違う。でも、その2人がハイスタに戻ると、ハイスタの音になるわけだから。今の時代に本当に面白い作品が出来た。
NAMBA:“ハイスタ、Ken Yokoyama、NAMBA69の3バンドがやばい”って、これ、最高っすよ! でね、いい話がひとつあるんですよ。
|
| ▲ko-hey (G) |
──おお! 何でしょうか?
NAMBA:俺にスプリットの件で電話をくれる前に、健君がやっていたことがあるんです。こんなに楽しそうにしていると、ツネちゃん(恒岡 章 / Hi-STANDARD / Dr)はどうなの?って思うじゃないですか。健君は、俺より前にツネちゃんに電話して、相談してるんですよ! で、ツネちゃんが「いいね!」と言ってくれたから、その後で俺に電話をくれたという。そういう健君の気配りというか、優しさはさすがだよね。
──そういう経緯があったんですね。スプリットを聴くと、当たり前の感想になりますが、バンドを構成する人間の色がそのまま音に出るんだなと痛感しました。
NAMBA:ああ、ほんとにそうだね。
──健さんのコラムの中で、NAMBAさんは「ハイスタのときと歌い方が違う」と書いてありましたが、それに関してはいかがですか?
NAMBA:俺自身は、そんなに意識してないんだけどね。
──でも、言われてみると、確かにハイスタのほうが歌の譜割りが細かいのかなと。
NAMBA:あっ、それは言えるかも。気づいちゃった?
全員:ははははは!
NAMBA:それこそウクレレ弾いていた頃から、全部がつながってるんですよ。ダンスミュージック(TYÜNK / ULTRA BRAiN)をやってから、ソロ(難波章浩-AKIHIRO NAMBA-)になり、バンド(NAMBA69)になり。それが自分の中では一本の線でつながってるんです。ダンスミュージックの頃に取り入れた歌い方が活きているから、NAMBA69ではワードをシンプルにして、譜割りを大きく取ってるという。
──NAMBA69の方が伸び伸びと雄大に歌ってますよね。
NAMBA:そういう意味では、確かにハイスタのときはハイスタ(の歌い方)にならなきゃいけない部分もあるのかも。それに比べたら、NAMBA69は自由ですからね。
SAMBU:すごいっすね、ハイスタにならなきゃいけないって! ハイスタの人なのに。
全員:ははははは!
|
NAMBA:いや、そういうプレッシャーはあるのよ。特に活動休止前の曲をやるときはね。
SAMBU:ああ、なるほど。
ko-hey:それは健さんも同じでしょうね。健さんのギターも全然違いますから。
NAMBA:ツネちゃんのドラムも全然違うからね。おじさんになったハイスタなんだけど、ハイスタにならなきゃいけないという気持ちは確かにあるんですよ。
──それに、意識せずとも歌声の違いには、それが表れているということでしょうね。
NAMBA:そうなんだろうね。NAMBA69としては俺と同じぐらいの歳の人や年上の人にも届けたくてね。当然、ko-heyたちぐらいの世代にも届けたいし、年齢を超えたところにいきたいんですよ。ハイスタでもそれはあるんだけど、NAMBA69はもっとそこにいけるチャンスがあるのかなって思ってる。
──というのは?
NAMBA:メンバー全員の柔軟性かな。健君、ツネちゃんはアーティストとして、ハイスタとして、確立されているから変える必要もない。だけど、NAMBA69では俺も変われるし、みんなもどんどん変わっていく。そこはハイスタとNAMBA69という2つのバンドをやっている俺の最大級贅沢な楽しみかもしれない。
──では、そのNAMBA69の最新曲についてお聞きしますが、「LIVE LIFE」でブレイクダウンパートを入れているのはNAMBA69らしいなと。
ko-hey:ブレイクダウンという手法は昔からハードコアシーンにあったものですけど、これはウチらしいアレンジ展開ですよね。
NAMBA:健君もハードコアは好きだしね。「LIVE LIFE」に関しては今のNAMBA69を象徴する曲だと思う。「Support Your Local」も7 Seconds(米ハードコアバンド)みたいな感じかな。あと、「PROMISES」がオールドスクールなメロディックパンクな感じもあるけど、俺たちなりに新しくしているという。
──「PROMISES」の歌詞には“僕たちはここにいる!/(僕たち本当に喧嘩したかったのか?)/僕たちはここにいる!/(何故僕たちは別々の道を歩んだんだろう?)”という一節がありますが、これはハイスタのことだったりするんですか?
NAMBA:そうっすねえ。でしょうね、はははは(笑)。
ko-hey:急に遠い目をしてるじゃないですか(笑)!
NAMBA:今こうしてKen YokoyamaとNAMBA69がスプリットを作って、ツアーを廻るタイミングだからこそ、この歌詞が効くのかなって。俺の話ではあるけど、聴き手にもいろんな人生のストーリーがあるだろうから、自分に置き換えてもらえたらいいなと思ってるんですよ。時が経った今だからこそ、今がいい感じだからこそ、言えることなのかなって。昔は想像すらできなかったけど、その想像を遥かに超える今になってますからね。









