――じゃあこのアニメの主人公のように、自分の身体の半分を何かに乗っ取られるとしたら、どんなものに乗っ取られたい？

咲人：スパイダーマンは面白そう。空を飛んでみたいから。

YOMI：俺は江原（啓之）さんみたいなスピリチュアルな能力が半分自分に欲しい！

――『オーラの泉』に出てみたいとか？

YOMI：出たい出たい！　見てもらいたい。

――ああいう風にいってもらうだけで、なんか人間って安心しますよね。今回収録された「レゾンデートル」も２曲目の「叙情的に過ぎた時間と不確定な未来へのレクイエム」も、これ、どちらも歌詞的には“そのままでいいんだよ”といまの自分を肯定されてるような気持ちになれる曲なんですよ。

咲人：ああ～。人間って誰かに安心することをいってもらいたいんだと思うんですよ。自分でいいきかせることも大事だけど、それを人にいってもらうのとでは得られる安心感の度合いが違うから。やっぱり人間は一人じゃ生きられないんで、自分を肯定してくれるような人間が周りにいると、生きてく上ですごい楽になれると思いますね。

YOMI：俺らが例えば江原さんに何かいわれたことで楽に、素直になれるとしたら、俺たちのファンは他の人に何かいわれるよりも俺達のメッセージを素直に受け取ってくれてる気がするんですね。だから、自分たちが発していくメッセージってすごい大事だなって最近感じるんですよ。MCだったり歌詞の内容だったり。

――そんなナイトメア自身、自分たちがやってきたことは間違ってなかったって、自分たちを一番肯定できる瞬間ってどんなときなんですか？

YOMI：いい曲ができたときとか、いいライヴができたときは思いますけど。そういう風に思う機会は少ないかもしんない。“まだここが足りない”って思うほうが多いから。

咲人：肯定しちゃうのが怖いのかも。こんなに人に支持されてるとか、過信するのが怖いというか。自惚れたくないというか。その表れだと思います。まだまだ常に上を見ていきたいから、そいうところで自分たちにハングリー精神を与えて。“まだお前らダメなんだぞ”っていうのを思ってるのかな。

――だけどYOMI君とかは明らかに褒められて伸びるタイプでしょ？

YOMI：そう！　でも基本的に俺、ここでは褒められないからなぁ……。

咲人：でも、この間、意外な人に褒められたじゃん？　社長に。

YOMI：ああー。「ゾジーさんは２曲目みたいなヴィジュアル系っぽくない曲が合ってるな」って褒められて。嬉しかったけど“じゃあ今まではダメなのか？”とも思ったりして（一同笑）。微妙なんスんけど。

咲人：でもファンレターもそうだけど、肯定一辺倒じゃなくて、あのライヴのときあの曲であそこはこう思いましたとか。

YOMI：例えそれが否定的な意見でも、ちゃんと見ててくれてる気がするよね。

咲人：常に、俺らはぬるま湯には浸かっていたくないんですよ。これでいきなり周りが肯定する人ばっかに変わっちゃったら、逆にダメになっちゃいそうな気がする。

――なるほどね。そして、今後ナイトメアは初の武道館公演も控えている訳ですが。

YOMI：ここで１回、武道館を経験するのもバンドにとってプラスになると思うし。

咲人：昔からウチらって、ひとつ会場をデカくするときって“絶対無理だよ”って周りから必ずいわれてたんスよ。それでもここまでやってきたし。次のステップ・アップにはここでやるのがいい時期なのかなと。

――ちなみに、それぞれの初武道館体験は？

YOMI：俺はGacktさんのライヴですかね。そのあとGLAYも観ました。

咲人：俺はアヴリル・ラヴィーンです。あとBUCK-TICKも行ったな。Ni～yaと。一番上だったから、落ちそうで怖かったです（笑）。

取材・文●東條祥恵

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