【インタビュー】DEZERT、結成15周年とバンド初の試み『Alternate4』を語る「どう音楽と向き合うか、今からをどう生きていくか」

2026.09.06 12:00

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■羞恥心を捨ててデモを出したので
■野性味が強くなりました(笑)

──それが『Alternate4』へと繋がっていくんですね。

千秋:ただ誤解してほしくないのは、メンバーが作った/作ってないは正直どうでもいいんです。楽しければいい。僕が昔から言ってるのは、僕が曲を“作ってる”っていうより、“作らせてもらってる”ってことで。代表としてやらせてもらっている意識が強かったので。“みんなが作るの楽しいじゃん。俺が作れない曲作ってくれるでしょ?”みたいな。“むしろそれをアレンジさせてよ”みたいな気持ちだったので。今回の『Alternate4』でも、4人の意見でメロディも変わったし、作曲者が作ったメロディを俺が変えたし、アレンジも変えたし。それがバンドなんじゃないの? 今のDEZERTなんじゃないの?っていう。でも、俺ら世代は、誰が原曲を作ったとかにこだわるんですよね。そのこだわりも大事だけど、最終的には聴いてくれた人がどう思うかだから。これを逆手に取ろうと思って。『Alternate4』っていう“4人交互に”っていう意味合いのタイトルで。

──はい。

千秋:メンバーが曲を作るって、バンドマンなんだから当たり前やろって、他のバンドからしたら思うかもしれないんだけど。俺らからしたら当たり前じゃなかったんだから、あえてこれをプロモーションに使わせてくれよと。そうしたらファンはワクワクしてくれるだろうなっていうことだったんです。本来歌詞もそれぞれのメンバーが書くべきだとは思うんですけど、そこはメンバーが俺に任せてくれたから、責任持って書かせていただきつつ。せっかくいいものができたんだから、「各メンバー1曲ずつ作曲した計4曲収録の会場限定盤をリリースしたら面白くね?」って最終的に言ったのは僕で。

千秋(Vo)

──なるほど。

千秋:SORAくんは、「使われる/使われないは関係なしに一旦全員で曲を出してみていい?」ってアイデアを出してくれたんですよ。それはもちろんOKだし、いいものができたんだから形にしようよ、それを上手いことプロモーションとして使おうよ、ということなんです。だから、最初から『Alternate4』っていうテーマで、全員交互に4曲書いていこうなんてコンセプトはなかったんですけど、本当にシンプルな流れなんです。

──ちなみに4人ともデモは作り込む感じですか?

千秋:SORAくんは感覚のままというか、野性的というか。

Sacchan:新鮮です。

SORA:言い訳じゃないですけど、僕はドラマーなので。ギターは少し弾けるけど、コードとか理論をあまり知らないまま、暴走機関車のように突っ走ってきたんですよ。コロナ禍で作曲を学び出したので、他のメンバーに比べるとまだまだ。Sacchanは、もうそのまま音源化できるようなデモを上げてくるし、みーちゃんは性格が表れているような美しいデモを作ってくる。もちろん千秋もいつもどおりの素晴らしいデモを作ってくる。そういうデモが集まる選曲会があって、そこではその曲が良いか悪いかのみが判断される。ってなった時に、俺はデモのクオリティでは勝てないから、何かしらのフックを残すために“ラララ”で歌うとか、DEZERTにはなかった音楽をフィーチャーするとか。今回は羞恥心を捨ててデモ出ししたので、野性味が強くなりました(笑)。

Miyako (G)

──『Alternate4』について、1曲ずつお聞きしていこうと思いますが、まず1曲目となるのがSORAさん作曲による硬質なサウンドがダイナミックな「Welcome To The End」です。

SORA:これは、曲を作ってる期間に夢を見たんです。それが、MUCCのミヤさんにぶち切れられる夢で、それも「曲を書いてるのはいいけど、そこにお前の良さがねぇ!」「お前の好きな音楽を、その初期衝動をすべて入れろ」って胸ぐら掴まれるレベルで怒られた夢だったんですよね。それで、こういう曲を作ろうと思ってギターリフから作って。 「ローテンポで重いDEZERTらしい曲を、今の俺らでやったらどうなるか?ってところで作った」ということをメンバーにも伝えて。「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」っていうディスカッションをしながら、千秋を中心にアレンジしてくれた曲ですね。

──歌詞は全曲千秋さんです。「Welcome To The End」というタイトル自体意味深ですが、どういうイメージで書いていきましたか。

千秋:僕からしたら結構タイトルがエモい。誰にも伝わらないことをやるこだわりって大事だと思ってて。“終わりへようこそ”ってどういうこと?みたいな。僕らは僕らでいろいろ大変な時期があって。これがファンに伝わろうが伝わらなかろうが、別にいいかなみたいなところなんです。今って、バンドのいろいろな内情が露わになることが多いですよね?

──SNSの影響も大きいです。

千秋:そう。でも、バンドの内情とかを俺らがわざわざ語る必要ないんじゃない?って思うんです。俺らはいろいろあって、一回終わって、もう一回始まるんだっていう。それは5年後、10年後、誰かが語り継げばいいし、“今は思うことを形にしよう。伝わらなくてもそれがバンドでしょ”と。今、恋してるんだったら恋の歌えばいいし、それでいいんじゃねみたいな。

──そういう思いがあるなか、“これからが本番だ、これからが人生だ”っていう言葉は強く響きます。

千秋:これからが本番ですからね。うちの親とかも悩んでいるんですよね、やっぱり。60歳超えても。俺はまだその歳になってないからわからないですけど、幾つになっても“これからが本番じゃねぇ?”って思うんですよ。親は離婚してるんですけど、やっぱり孤独じゃないですか。俺らだってもしかしたら来年、不慮の事故とかで死ぬかもしれないし、そんなのはわかんないんだから。常に“これからが本番じゃねぇ?”って。10代の子が聴いて、“そうだな頑張ろう”と思ってくれたら嬉しいし、20代でも何歳でも思ってくれたら嬉しい。音楽に支えられてきたんで、僕は。僕らの音楽を聴いて、 “DEZERTが「これからが本番」って言ってるんだから、明日から頑張ろう”と思ってくれたら本望ですね。

Sacchan (B)

──そして「TOXIC」はSacchan作曲です。グランジの香りもしつつ、バンドのグルーヴを感じる曲となりました。

Sacchan:「みんなで曲を作ってみようぜ」ってなったのが今年4月だとして。これまでアレンジとか音質に対してはずっと向き合ってきてるつもりでいるんですけど、“0から1”でDEZERTの音楽を作ることに対しては、ブランクがあるなと思って。どうしようかなと自分なりに作り方だったりを模索をしているなかで、別にテーマがあったわけでもなく、何もなく作ってみようかな、みたいなところでしかなかったので。何かをイメージしてとか、特に理由があってこういう曲調になったとかもなくて。DEZERTのメンバーの僕が自然に一回作ってみた、くらいなテンションでしたね。

──ヘヴィなところから、抜けのあるサビへと駆け抜けていくアレンジが印象的ですが、このメロディについてはどうですか。

Sacchan:サビも結構変わってるんですよ。これも千秋くんが、アレンジもサビメロもつけ直してくれたり。デモ段階からサビは結構抜け感があるイメージではあったので。それを改めてブラッシュアップしてくれた感じですかね。

──千秋さんと会話しながら?

Sacchan:いや。千秋くんとみーちゃんが、「キーとかを気にしはじめるといろいろ制限が出くるよね。“本当はこういうメロディしたかったのに”とかがあると、せっかくメンバーが作ったのに面白くなくなるから。キーは気にせず、とにかくできたものを出してみよう」みたいな話をしてるのを僕が隣にいて聞いてたんですよ。で、“なるほどね、一回出してみようかな”と思った曲が、キーがめちゃくちゃ高かった(笑)。今とはまた別のメロディだったんですけどね。「キーは気にしない」とは言ってたものの、“これ千秋くん歌うってやばいよな”と思いながら、“まぁでも「出してみろ」って言ってたしな”と。

SORA (Dr)

千秋: あれは俺じゃなくても、マイケル・ジャクソンも歌えない。全人類歌えないって(笑)。

Sacchan:で、どうすっかなと思って。千秋くんが「サビのアレンジし直してみていい?」ってやってくれたら、もっとよくなったので。嬉しかったですね。すごくよくなりました。

千秋:今でもキーは高いんですよ。でもそのさらに上をいってたんで。「キーは気にせず」とは言ってみたものの、“やりすぎだろ”と思って(笑)。

──サビの明るいくらいの抜け感と毒っぽさ満載の歌詞とのコントラストは、意識的なところもありますか。

千秋:もちろんですね。毒々しい紫みたいなイメージの曲だったので、最初からタイトルは「TOXIC」と決めてて、歌詞はそこから考えました。サビでタイトルを言うみたいなのは、DEZERTではあまりないので、新しいチャレンジとして一回やってみようか、みたいな。

──「TOXIC」はミュージックビデオを制作しているそうですが、どういう内容になりそうですか。

千秋:まさに昨日撮影したんですけど、すごかったですよ。1日中クーラーの効いてない倉庫で“あーだこーだ”言うて、SORAくんがやってて。“なんか大変そう”と思いながらやったよね。

SORA:この曲でMVを作るって決まった瞬間に閃いたイメージを全部言語化して、絵にして、動画にもして、チーム全体に見せて。たぶんお化けがいる現場だったんでしょうね。撮影終わってから動けなくて。さっきまでソファーで死んでました。心なしか目の下にクマもある気がしてる。

千秋:やつれてるよね。

SORA:まあ、作品としてはいろいろな意味での毒々しいものを作りたいっていうのがあったので。昨今は誰でもMVが作れちゃうくらい、いろんな技術が発達してますよね。AIもそうですし、カメラワークとして揺らしたりとかも編集で余裕でできちゃう。これをあえて古臭く、全部人力でやった作品ですね。メンバーの表情を照明器具で照らしすぎて潰さないように、自然光を使ったり。壁とかもメンバー全員で作ったり、遊び心も入れつつ。“攻撃的なDEZERTも忘れんじゃねぇぞ”と。メンバーにも、「信じられないくらい頭振ってください」ってお願いして。まぁ呪われて帰ってきましたけどね(笑)。