【インタビュー】百戦錬磨の男たちによるガールズバンドGUMMY、型破りで刺激的な初EP完成「この4人が楽しめてるってことが大事。まだまだ飽きそうにない」

■もはや若手ではなくなってるメンバーで
■元気な曲を一生懸命やるってこと自体も面白い
──たとえばガールズバンドというコンセプトというかキーワードが出てきたことで、曲のアレンジが変わったりとか、そういったところはあったんでしょうか?
マッド:ないです、ないです。ただ、これは俺の癖なんだけど、曲を作る時にメンバーに“グランジ”とか“BOØWY”とか、そういうキーワードを提示することがあるんですね。その時に「これはBOØWYというよりREBECCAで」とか「この曲はGO-BANG’Sでいこう」「SHOW-YAっぽくしよう」とか、そういうことを言ってた部分はあるかな。これで<NAONのYAON>に出られたりしたら最高なんだけど(笑)。
Gara:それ、目標にしてもいいんじゃない(笑)? 前例のないことだろうし。ただ、こんなこと言ってはいますけど、音楽についてはめちゃくちゃ真面目にやってるんです。
──ええ、だからこそ面白いんだと思います。歌詞についてもGaraさんは、メリーではいわゆる女言葉での歌詞もたくさん書いてきたわけですけど、それを敢えてここでは前面に押し出してないというのがまた面白いです。
Gara:それぞれのコンセプトが固まってきたのも、GUMMYっていうバンド名が決まったのも、あとからのことでしたからね。逆にこうしていろいろ固まってきたことで、そのあたりもちょっと意識して書いてみようかな、と思うようになったりはしてるんですけど、当初は本当に何も意識せずに、“この4人で一緒にやってる”というイメージだけで歌詞も書いてたんで。今にして思えば、もっとメリーの歌詞との差をつけても良かったのかもしれないんですけど、逆にそこを意識しなかったからこそ面白くなったんじゃないかな、とも思うし。バンドと曲が違っても、僕が歌詞を書くとこうなるんだっていうことに、自分でも改めて気付けたところがあるし。

──メンバー間の距離という意味でいうと、僕は勝手にマッドさんとGaraさんの関係が近いものと思い込んでいるんですが、実際はどうなんでしょうか?
マッド:まあGara君とは同級生みたいなものでもあるし、付き合いもかれこれ30年ぐらいになるんで。それこそ30年前、19歳ぐらいの時から「いつか一緒に何かやろう」と言ってたんですよ。「どっちか先にメジャーに行ったほうが、もう一方を引っ張り上げて一緒にやろう」って。ところがGara君はメリーでメジャーデビューしたのに声かけてくれなかったんで(笑)。
Gara:それ、昔からずっと言ってるよね(笑)?
マッド:でもまあ、それがこうして30年経ってやっと実現したというか。
康太:そんな約束があったんだ? 俺、まったく知らなかった(笑)。
Gara:お互いこれまでいろいろやってきましたけど、やっと今になって一緒にやれる喜びっていうのも大きいですよ。だからやっぱり今がいいタイミングだったのかな、とも思うし。
──すべては偶然の重なりなんでしょうが、必然もちゃんとあったというか。
Gara:そういう巡り合わせみたいなことについて俺、考えちゃうんですよ。だから最初にMVを出した「氷の結末」については、歌詞を書いてる段階ではGUMMYってバンド名もガールズバンドっていうキーワードもなかったんですけど、何をテーマに書こうかって考えた時に、やっぱり僕とaie君が出会った切っ掛けというのを思い出したし、2人の間にはいつも大佑君(蜉蝣〜the studs)がいたというのもあったんで、彼のために歌詞を書こうって思ったんですよ。そこでタイトルをどうしようか悩んでたら、aie君が「それだったら“氷の結末”じゃない?」と言ってきて。
マッド:要するに“氷結”なんです。彼の好きだった酒の名前(笑)。
──大佑さんは発泡酒をよく飲んでましたよね、ビールではなく。
マッド:うん。だから“淡麗”でも良かった(笑)。
Gara:それもあったか(笑)。でもまあ、この2人を合わせてくれた彼に、今だからこそ“僕たちまだやってるよ”と伝える曲でもあるというか。
──もしもマッドさんが“淡麗”を提案していたら「淡く麗しきナントカカントカ」みたいなタイトルになっていたかもしれないわけですね。せっかくこうして曲のタイトルも出てきたことでもありますし、今作に収録されている各曲について訊かせてください。まず1曲目に収められているのが「死神は赤いハイヒールを履いて、首輪を残す」です。なんだかとても文学的な匂いがしますが。
Gara:そのタイトルの原案はaie君から出てきたんです。
マッド:歌詞をもらって、いくつかタイトルのアイデアを出して。そのなかで俺のイチ推しだったのは「ハイヒール死神」だったんです。なんか、プロレスラーの名前みたいですけど(笑)。そこからもっと長いタイトルにしようって話になって……。
康太:この曲、3人が集まった段階で一発目にできた曲なんですよ。もちろん原型はちょっと違ってたし、Gara君が入ってきたことで形が変わりましたけどね。
マッド:だからこのタイトルが決まるまではずっと“M1”って呼んでたんです。単純に1曲目、ということで。
Gara:僕が加わって、GUMMYという名前やガールズバンドでいこうって話が出てきた時に、自分たちが何を着るべきかみたいな話にもなって、そこで「ハイヒールとか履いてみよう」というのも出てきてたんで、それも歌詞に入れようってことになったんです。
──“赤いハイヒール”というと太田裕美さんのヒット曲を思い出すんですが……。
Gara:あ、そうなんですか? 「木綿のハンカチーフ」の方ですよね?
──ええ。そういった昭和の歌謡曲へのオマージュが感じられる部分にはメリーとも重なるものを感じますが……どうやらその曲については知らなかったようですね。それはともかく、歌詞についてGUMMYとしての明確な差別化が図られているわけではないのがわかります。
Gara:そうなんですよね。もうちょっと色分けをしたほうがいいのかどうか、まだ悩んでた時期でもあったと思います。なにしろ長年メリーしかやってこなかったんで、差別化をしたほうがいいのか、むしろしないほうがいいのかがわからなくて。やってる人間の顔ぶれが違うので自ずと別物にはなってくるはずだとは思いつつも、まだちょっと手探りな感じで書いたところはあったと思いますね。だから太田裕美さんの曲とはまったく無関係で、ただ単に衣装で赤いハイヒールを履くという話が出ていたので、それをイメージして書いたものなんです。ただ、そのハイヒールについても今ではもはや小道具みたいになってるんですけどね。aie君からは「これを電話みたいに使ってみて」と言われて。
マッド:実際にあれを履いちゃうとコケるしね。やっぱ我々、ハイヒールを履いて過ごす人生ではなかったから、本当に履いちゃうと危ないし、怪我をする。この年齢で怪我すると長引くから(笑)、それは絶対やめといたほうがいい。
──では、ハイヒールを履いて歩く女性たちを今ではリスペクトしてます?
マッド:尊敬しますよ。あれを履いたままだと新宿LOFTのステージにも上がれない。撮影の時に履いただけで筋肉痛になってたくらいだから。
Lotty:脚がパンパンになって歩けなくなっちゃうんで。すごいですね、女子は。

──曲自体についてはどうですか? 最初に作ったのがこの曲「死神は赤いハイヒールを履いて、首輪を残す」だったということでしたが、その時の印象は?
Lotty:とにかく“元気だな!”と思いました(笑)。正直、やっててすごく疲れるんですよ。エネルギーを消費する音楽というか、まさにフルスロットルというか。僕はまだ30代ですけど、それでもこれまでやってきたバンドの中で一番元気だと思えるし。BPM自体も速いうえにソリッドさも必要だし、とても気合いが必要。でも、もはや若手ではなくなってるキャリアを積んできたメンバーで、こんな元気な曲を一生懸命やるってこと自体も面白いと思うんで。
マッド:ボケ防止じゃないけども、こういう曲をやることで元気になるというか。
──とはいえ、そういう曲にしようという意図があったというよりも、“カッコいいと思えるものを作ろうとすると、自然にそういうものになってしまう”ということなんでしょうか?
マッド:その時の自分のモードでしかないというか。だからこの曲をもう1年前に作ってたら違うものになってた可能性もあるし、その時のテンション、まだ手探りな状態の中で3人で音を出しながらの“こんな感じでありたい”というのがそのまま出てるんです。しかも僕は、例によってデモを作らないので。その場で口頭で伝えたり、せいぜいホワイトボードに書き出すだけなんで。
Gara:そういう意味でも’80年代、’90年代っぽいのかもしれない。同期も一切使ってないですし。スタジオに入って、aie君が持ってきたアイデアを口頭でみんなに伝えて、ドラムが入ってきて、ベースが入ってきて、そこで歌も適当に乗せてみて……。そうやって録ってみたものを持ち帰ってちゃんとまとめる、みたいな。本当に昔ながらのすごくアナログなやり方なんで。
マッド:そのやり方だと、30分もあれば余裕で1曲できるからね。
──今の時代、“さて、曲を作ろうか”ということになるとPCを立ち上げるところから始めるのが当たり前になっているわけですが、それとは……
康太:真逆のやり方ですね。
Gara:ある意味、初めてバンドを始めた頃みたいなやり方というか。まず友達同士で放課後に集まって喋ってる中で、「バンドやろうぜ!」「あの曲やってみようぜ!」というところから始まって。そんなノリのままな感じがします。
マッド:だから貧乏高校生にも真似しやすいスタイルだと思う。これなら誰にでも始められる。コピーもしやすい。

──ただしGUMMYの場合は、経験と技術があるからこそそれが成立しているわけで。
Gara:それはありますね。キャリアもノウハウもいろいろと重ねてきた僕らみたいな大人が遊んでるというのが面白いんだと思う。
マッド:そう、大人が真剣に遊んでる感じ。
Gara:この1曲目に関しては……昔は“勢いだけで一発録り”みたいなこともあったじゃないですか。歌もハンドマイクで録るみたいな。まさにそういう感じだったんです。実はちょっと歌がシャープ気味のところもあるんですけど、aie君も「全然それでいい」って言うんで、まったく直すこともせずワンテイクのままで。そういうこともやれちゃうのがGUMMYなんですよね。
──なるほど。そして2曲目に収められているのが氷結こと「氷の結末」です。これもかなり早い段階のうちからできていた曲ということになるんでしょうか?
マッド:これはGara君が合流して4人になってから……それこそリハーサルでスタジオに入った時に1時間くらい時間が余ったから「じゃあ1曲作っちゃおうか」となって、その場でパパッと作った曲です。
Lotty:Garaさんが入った状態で初めて4人で作った曲じゃなかったかな? Garaさんが歌う体(てい)で作り始めたものというか。
康太:これは歌も込みで最速だったよね。すぐにできた。
──歌メロはGaraさんが作ってるんですよね?
Gara:はい。まずその場でみんなが演奏してるところでなんとなく何回か歌ってみて、それを携帯に録音したものと、楽器隊だけで演奏した音源を家に持ち帰って、もう一回ちゃんと付け直してみる、みたいな感じでやってるんです。

──歌詞もまずは適当にノリまかせで乗せてみるわけですよね? だからこそ好きなワードも出てきやすい。この曲の歌詞にも出てきますけど、Garaさんは“午前2時”が好きですよね?
Gara:好きですね。時間や季節も、聞いた人はイメージしやすいですし。あとはさっきも話に出たように、この曲は大佑君を想って作ったところがあるわけですけど、彼から電話が来るのがたいがいその時間帯だったんですよね(笑)。
──僕にもそんな記憶があります。“夢芝居”なんて言葉が出てくるのもGaraさんらしいです。「梅沢富美雄か!」と突っ込みたくなりますが。
マッド:確かに。そのあたりもGara節だな、と思います。
Lotty:ただ、メロディも歌詞も何回か変わった記憶があります。この曲を最初に録った時点ではまだGUMMYっていうワードも出てなかったし、バンド名が決まった後に録り直そうという話も出てきたり……。
マッド:ただ、「そこは敢えてプロトタイプの段階での空気感を残したほうがいいんじゃないか」みたいな話になって。しかもそれが結果的に評判良くて。MVを撮ったことも含め、我々のレパートリーの中で、我々のキャリアを知ってる人たちが最初に聴く曲になるだろうと思ったし、入口としてちょっと優しい曲、比較的わかりやすい曲にしてあげようと思って。そこはちょっと狙いましたけどね。
康太:確かにわかりやすい。フォロワーたちが入りやすいというか、知らない人たちも入りやすい曲だと思いますね。
マッド:こういう曲もないと、ロックンロールばかりになっちゃうんで。
──この曲のギターソロがまた破滅的でカッコいいです。
マッド:同じことは二度と再現不可能ですけどね(笑)。適当に弾いていい感じのやつを選んだだけで、自分でもどうやったのかわからないです。
