【インタビュー】RAZORS EDGE、結成30周年と『SUPER RED』に溢れ出る“軽い!楽しい!”「メンバーみんなでエンタメをポンと出す、それが今回の作品」

■カレー屋にはライブ感がめちゃくちゃある
■バンドマンは絶対カレー屋したほうがいい
──昨年アタマから頭を切り替えて。まず何から始めたんでしょうか。
KENJI:とりあえず、曲を書く時間も仕事があって制約されるから。僕、ずーっと宅録で貯めてたネタがあったんですよ。40〜50曲くらい。そのデモを一回バーッと聴いて、使えそうなネタをピックアップしていって。
──それは趣味として作り続けていたもの?
KENJI:そうですね。それこそ震災後ぐらいに曲作るモードの時期があって。そん時はめっちゃ作ってた。なんやったらソロでも作ろうかと思ってて。
──ソロって、弾き語りか何か?
KENJI:いや、全部1分だけの曲を20〜30曲くらいソロとして出そうかなって。それこそレイザーズっぽくないメロディックな曲とか、インストの曲とか。結局カタチにはなんなかったですけど、それはずっとやってて。そういうのをまず拾うとこから始めて。当時はあんまりやったなぁっていうものも、今聴くと「これいいよね。いい音楽だよね」って思えたり。価値観がだいぶ変わってることに気づくんですね。これぐらいシンプルでポップなほうがいいなと思った。なんか変な小技をめっちゃ入れたがってた時期があったから。それが『RAW CARD』(2015年/6th)なんですけど。

──あぁ。はい。
KENJI:あれ、自分で聴いても今は楽しくない。ライブでやっても難しすぎて。今の感じで作るなら、それこそラモーンズみたいな、イントロがあって、Aメロ、サビって来るような。ライブで盛り上がりそうな、自分がライブでやって楽しいものが一番いいなぁって。それは自分のデモを聴き直して思ったことでしたね。
──ラモーンズって、型にハマる美学でもありますよね。
KENJI:うん。細かいパートとかなくても、同じことを3回繰り返しても聴けるメロディの強さとか。そこはすごいなって思う。ポップであり、実はめちゃくちゃハードコアであり、ポップミュージックとしても普遍的でちゃんと成り立ってる。俺、ビートルズと変わらへんくらいすごいバンドやと思ってる。
──あと、ドキュメンタリー映画を見ると、自身のポップ・アイコン化にすごく意識的だったりする。
KENJI:うん。あれってアイドルの原型じゃないですか? めちゃめちゃ不良のフリして、ポップマーケットも意識してる。うまい棒みたいな感じじゃないですか。あの形やったら何味作ってもOKなんですよ。
──うまい棒(笑)。今回はちゃんとそういうものを作ってみよう、と。
KENJI:それはテーマでしたね。で、出来上がったものに対して知り合いが「なんかめちゃ楽しそうだね」って言ってくれたり。そう思ってくれるのが一番嬉しいな、とも思った。

──あとはもうひとつのテーマとして、30周年という数字もあります。
KENJI:なんすかね? きっちゃんが周年にこだわるからそうなった(笑)。
──その程度ですか?
KENJI:まぁでもね、いつまでできるかわからへんから。どうせやるならこのタイミングでやんなきゃ。まぁ自分も30年もレイザーズ続けられるとは思ってなかったから、続けられたことに対するありがたさはちゃんと伝えようと。それはバンドメンバーだけじゃなくて、今までいろいろ関わってくれた人たちに対しても。じゃないと「このタイミング逃すって何してんの?」って言われるから。そこは自分を奮い立たせるように。
──そこに重いものが入ってこないのはなぜでしょうね。今の話から「感謝」とか「責任」みたいな言葉が出てきてもおかしくないわけで。
KENJI:あぁ。そうですよね。うーん……たぶん重く捉えようとすればできるんですけど、あんま、そうしたくない性格があるんでしょうね。何かはやらなアカンと思うけど、周りを見てても「30周年!」って頑張りすぎるの大変やなぁと思うし、そんな大それた感じにするのはしんどい。大前提は俺が楽しいか、なんで。お店もそうやしバンドもそう。全部一緒やなと思って、けっこうシンプルに物事を考えられるようになってる。
──それは今だから至れた境地ですか。
KENJI:カレー屋始めてから、よりそれが強くなったかな。結局思いついたものをアウトプットする作業が自分の人生においてはすごく大事で。それがバンドであったし、デザインでもあったし、カレー屋も今は入ってきて。

──ただの生業じゃないですよね。日々スパイス調合を変化させて、客が美味しいって言ってくれるなら、たまらない喜びになる。
KENJI:うん。目の前で食べてる人の顔つき、スプーンが進むスピードでそれはわかるから。ライブもそうじゃないですか。楽しそうにしてるかどうかっていうのは目の前で見てたらわかる。だからカレー屋にはライブ感がめちゃくちゃある。バンドマンは絶対カレー屋したほうがいい。
──言い切った(笑)。そこが満たされているから、レイザーズにはエゴを持ち込まないで済む。
KENJI:すごく楽にできたかな。いろいろ欲を出そうとして作ってなかったし。
──昔はどんな欲がありましたか。
KENJI:なんか、無理してでもIQの高さを示したくて、芸術品作ってやろうと思ってた。ほんとに。アーティストとして芸術品を作ろうと思ってた。
──今回作ったものは、どんな言葉が当てはまります?
KENJI:……なんやろう? 娯楽、とは言いたくないんですよね。もうちょっとプロジェクトっぽい感じ。<STORMY DUDES FESTA>に近いかな。僕がイメージしてるコンセプトがあって、メンバーみんなが賛同してくれて、あとは参加してくれるバンドもいっぱいいて。みんながいるからできる雰囲気、空気感というか。だからエンターテインメントっぽい何かを作ろうとしてる感じやと思う。俺が全部背負って苦しみながら作るんじゃなくて。みんなでエンターテインメントをポンと出す。それが今回の作品に近いと思う。
──テーマパーク的な楽しさに近い。
KENJI:あとは、今回10曲って決めてたんでね。20曲ぐらいのものを今作れって言われても散漫になりそうやったから。もっとキュッと、速く短く。







