【ライブレポート】華風月、豪華編成で魅せた14周年記念<新春和ノ奏>

2026.02.25 12:00

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和風ユニット・華風月が2月7日(土)、東京 ニッショーホールにて<華風月周年記念── 新春和ノ奏2026 —>を開催した。

華風月は鈴華ゆう子(歌, ピアノ,詩吟)、神永大輔(尺八)、いぶくろ聖志(箏)によるアコースティックユニットで、2012年に結成された。このメンバーはのちに洋楽器や和太鼓、津軽三味線をメンバーに加え、“和楽器バンド”としてメジャーデビューを果たすのだが、そのルーツとも言えるのが華風月。結成から14年が経ち、この日はそれを祝す華やかな宴が繰り広げられた。

健康祈願や厄除けの意味を持つ麻葉模様が描かれた背景を背に、神永大輔といぶくろ聖志が誰もが一度は耳にしたことがあるだろう、お正月の定番曲「春の海」を静かに弾く。それにあわせ鈴華がゆったりと舞い、まさにタイトル通り“新春和ノ奏”が幕をあけた。

そこから鈴華のアカペラから始まる「深紅」。今回の公演は、華風月の3人に加え、notch(Per)、わちゅ〜(B)、匹田大智(津軽三味線)、仁(囃子)、広田圭美(Pf)が参加するという豪華編成。もともとはアコースティックスタイルの華風月なので、このメンツで奏でられる「深紅」のアレンジが新鮮で、尚且つそのドラマティックなサウンドに圧倒される。ファンも大満足のようで、早速サビでは曲にあわせて大きく揺れるペンライトの波が生まれる。

「今日はともに最高の1日を作っていきましょう!」という鈴華の声から、「塒」へ。鬼面を使って舞いながら鈴華が歌う妖艶な詞とダークなサウンド、それに仁の小鼓と様々な鳴物が加わることで物語性が生み出され、どんどん深淵へ向かっていくようだ。そこから広田の雨音のようなピアノに導かれ、「幻想夜」。鈴華は和傘を使いながら透明感ある声を聴かせる。

「みなさんこんばんは、華風月です。今年は特にボリューミーな内容で、特別な新春ものとして、今までで一番豪華な公演となっております」との鈴華の挨拶を経て、新春の詩吟が披露される。そもそも華風月が結成されたのも、いまは宗家として「吟道鈴華流」を立ち上げている鈴華が、詩吟をいろいろな場所で演奏とともに披露したいという思いがきっかけとなっているという。12年前、渋谷のスタジオNOAHで初めて3人で集まって音を出し、そのまま2階のサイゼリヤにいってユニットをやることが決定。そこのペーパーナプキンにユニット名のアイディアを書き出していった、という思い出も語られた。

和楽器バンドでも、鈴華のソロライブでも詩吟が披露される場面はあったが、今回はより本来のスタイルに近い、尺八と箏とのシンプルな構成だ。題は「春の花を尋ぬ」。初春に梅の花が南側から咲いていることを見つけ、“春は東方から”という常識に対してユーモアを持って詠うという詩だ。なかなか普通の生活で本物の詩吟に触れられる機会は少ないので、宗家の詩吟をコンサートで聞けるというのはとても興味深い。朗々とした詩吟に圧倒された会場からは、大きな拍手が起こった。

そんな和風の一面とは打って変わり、今度は鈴華がピアノを弾き華風月の3人でインスト曲「機械島」を披露。機械だらけの島がやがて朽ち果て、植物で覆われていく──そんな世界を描いたエモーショナルな一曲だ。尺八は風、箏は月にみたて華風月というユニット名になったそうだが、その名の通り、神永の尺八は島を駆け抜ける風のようで、いぶくろの箏の音は月や星の瞬きように聴こえてくる。歌がないゆえに、たっぷりと曲の情景に浸ることができ、とても素敵な時間だった。

続いては鈴華が「人生の中で経験した思いをいつまでも大切に残しておきたいという思いで作った曲です」と述べて、「あのね」という曲へ。母になった鈴華だからこそ歌える、子を思う歌。《あのね》という優しい語りかけが、涙腺を刺激する。その雰囲気を引き継ぐ「かざぐるま」から、「月に照らされ、風に揺れる華」ではnotchも入り、2番からは広田が鈴華のピアノに連弾で加わる。間奏でピアノを離れた鈴華はマイクを握り舞いながら力強く歌い、劇的に曲を締め括った。

暗くなったステージに響く尺八の音。傘を被った男性、日本壮心流の入倉昭鳳がそろりと舞台に姿を現す。そこへ白い布を纏った鈴華が現れ、入倉と対になって踊り始める。尺八と箏の本格的な現代邦楽曲「双魚譜」だ。箏の繊細な音は次第に水音に聴こえはじめ、2人の舞は鯉の姿に見えてくる。幻想的な一幕に目を奪われていると、凛と響く鈴(レイ)の音が。仁の締太鼓にあわせ、入倉が次々と居合の技を繰り出していく。振り下ろされる刀の音が、場に静謐な緊張感を生み出す。そんな空気感に匹田が弾く津軽三味線の華やかで激しい旋律が加わり、どんどん引き込まれていった。華風月の公演ならではの、伝統芸能が楽しめる贅沢な一幕だった。

紫の衣装に着替えた鈴華が登場し、ここから後半戦。まず披露されたのは、鈴華が三線を弾きながら歌う新曲「海の道しるべ」。琉球音階の、その名の通り海の景色が浮かぶようなゆったりとした柔らかな曲だ。「出会いと別れの季節に聴いてもらいたい」という「Friends」を経て、バンドメンバーを紹介。それぞれ一流であるだけでなく、人柄も華風月の雰囲気にぴったりの最高のメンバーだ。女性からの人気が高いという「そそら巡り」は、華風月の3人に加えnotch、広田、わちゅ〜という新鮮な編成で届けられた。原曲よりもジャジーなアレンジで、どこか色っぽさも感じる。

そしてここからはまた驚きの場面が。鈴華がピアノに座り、華風月の3人で童謡「通りゃんせ」が始まった──と思っていると、子どもたちを含む30名ほどの合唱団が入場。鈴華の歌にコーラスを加えていく。そのまま「朧月夜」「赤いやねの家」も歌われた。鈴華は「ずっと子どもたちとのコラボレーションがやりたくて」といい、昔自身がピアノを教えていた東京音楽大学に関連する合唱団を呼んでその夢を実現したという。華風月らしいコラボレーションだ。バンドメンバーも全員加わり、「千本桜」をこの大編成で披露。数々の場面で鈴華の歌う「千本桜」は聴いてきたが、ここまでの人数は初めてかもしれない。ファンも一緒に声を出し拳を振り、会場にはまさに大団円の盛り上がりが生まれた。

いよいよ公演もラストスパート。ここでリリースされたばかりの「江戸時空列車」が披露された。江戸と現代をタイムリープするストーリーの楽曲だ。活動休止中の和楽器バンドの風味もどこかに感じられるようなモダンな楽曲だが、会場のファンも一緒に歌ったりと、会場でも楽しめる曲に仕上がっていた。

「はじまりのひかり」「物ノ怪かぞえ歌」もペンライトを振ったりタオルを回したりと、会場には一体感が生まれていく。鈴華と神永も客席に飛び込んで練り歩くなど、楽しく明るいサウンドで大盛り上がり。全員が笑顔になって、本編が終了した。

アンコールの拍手に呼ばれステージに戻ってきた華風月の3人は、インスト曲「悠久の地」を演奏。厳しくも優しい大自然の中にいるような、荘厳な曲。和楽器は自然の音を表現するとも言われるが、まさにそれを実感できるような美しい曲だった。

最後に鈴華から挨拶。「華風月は決してキャッチーなバンドではありません。流行りとかは関係なく、自分たちが携わってきた音楽を届けることに特化、人の心に寄り添うような音楽を中心に活動してまいりました。伝統芸能に近いものを表現するということにもこだわってまいりました。癒し空間と言われるこのスタイルは変わらずに歩んでいくことになります。ですがその中でも挑戦したいこと、新しいことは出てきます。華風月はそのときどきでやりたいことをありのまま楽しみ、その姿を共有して、みんなにも楽しんでくれたらなと思ってます。たくさんの笑顔をこれからも作っていきましょう」そんな鈴華の思いを体現したような名曲「笑っていて」で、すべての演目が終了した。

老若男女に優しい、福利厚生の整ったユニット・華風月。椅子に座って聴くもよし、タオルを振り回して楽しむもよし、子ども連れでも、カップルでも、おひとりでも、どんな人でも参加することができる優しい世界だ。記念すべきこの公演で、改めてそれを実感することができた。華風月は14周年を超えたそのさきも、永く永く楽しめる音楽を作ってくれるのだろう。これから4月にはNEW EP「時空ノ扉」のリリース、リリース記念ライブの開催も決定しているので、それも楽しみにしていたい。

取材・文◎服部容子
写真◎KEIKO TANABE

セットリスト
M1.春の海
M2.深紅
M3.塒
M4.幻想夜
M5.詩吟「春の花を尋ぬ」
M6.機械島
M7.あのね
M8.かざぐるま
M9.月に照らされ、風に揺れる華 
M10.双魚譜×詩舞
M11.居合&剣舞 × 和楽器(太鼓・小鼓、津軽三味線)
M12.海の道しるべ
M13.Friends
M14.そそら巡り
M15.合唱コラボメドレー(通りゃんせ、朧月夜、赤いやねの家)
M16.千本桜
M17.江戸時空列車
M18.はじまりのひかり
M19.物ノ怪かぞえ歌

ENCORE
M20.悠久の地
M21.笑っていて

<華風月EP発売記念公演〝時空ノ扉〟in大阪>
【開催日程】
2026年4月11日(土) 16:00開場 / 17:00開演
【会場】
大阪市立こども文化センター https://www.ko-bun.jp/
〒554-0012 大阪府大阪市此花区西九条6丁目1−20
【チケット】
前売 ¥9,500(税込)
学生割引チケット ¥3,500(税込)※18歳未満対象
※3歳以上有料/3歳未満は膝上可
【席種】全席指定

プレリクエスト先行抽選
受付期間:2026年2月25日(水)12:00〜3月3日(火)23:59
結果確認&入金期間:2026年3月6日(金)15:00〜3月10日(火)23:00
発券開始:2026年3月28日(土)15:00〜公演日開演時刻まで

一般発売日(先着順) 
販売開始:2026年3月14日(土)10:00〜4月10日(金)23:59

EP「時空ノ扉」
2026年4月8日(水)リリース

オフィシャルストア販売予定
 2026年4月8日(水)00:00~
 https://hanafugetsu.official.ec/

配信開始予定
 2026年4月8日(水)00:00~

1.江戸時空列車
作詞・作曲 鈴華ゆう子
2.海の道しるべ
作詞・作曲 鈴華ゆう子
3.あのね
作詞・作曲 鈴華ゆう子
4.機械島
作曲:鈴華ゆう子
5.空っぽロボット
作詞:いぶくろ聖志
作曲:鈴華ゆう子
6.笑っていて(Arrange ver.)
作詞・作曲 鈴華ゆう子

◆華風月 オフィシャルサイト