【速レポ】<中津川 WILD WOOD 2025>、SiMが15年ぶり帰還「世界で闘ううちの1本として来ました!」

2025.09.20 17:55

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SiMは前日の夜、東京でライブをし、自分たちがステージを終えたあとも、対バン相手のライブ終了までその場に立ち会っていた。自分もその場にいたので、これが事実だと言い切れる。そして今日、彼らは中津川にいた。自分は彼らとほぼ同じ行程を辿っているので、今日14時半に東京から約300km離れたこの場所にいる凄さはよくわかる。しかも、自分とは違い、彼らはこれからパンクの苛烈なライブを行うのだ。パフォーマンス以前に、彼らの気力、体力、バンド力には敬服するしかない。しかも、終わってみれば疲れなんて微塵も感じさせない、ブルータルなライブを繰り広げたのだからなおさらだ。セットリストだって前日とは全然違う。<中津川 WILD WOOD 2025>という場所にしっかりと照準を合わせたものを用意してきていた。今や世界を舞台に躍動するバンドの底力をまざまざと見せつけられた。ライブ後、自分に残された感情は、感動なんてものではなかった。そんな次元を超えた、畏怖だった。

◆ライブ写真

まず4人は、「ANTHEM」「TxHxC」「paint sky blue」というレゲエパンクの真髄といえる初期楽曲を3発立て続けに放った。「ANTHEM」では冒頭のコールアンドレスポンスで声が小さかった観客に対し、「声ちっさ!」とMAHが苦情をひとつ。「TxHxC」では「回れー!」とサークルピットを煽り、「paint sky blue」では「まだレゲエで踊れるっ!?」と芝生を埋め尽くした観客にダンスを促し、「音を泳ぐイメージ!」とレゲエにおけるノリ方を指導するなど、荒々しくも丁寧にFools Goldを引っ張っていった。

さらにMAHは、「すごい変な形してますね、ここ」とFools Goldのステージ周辺の作りに対して感想を述べたあと、ひと案浮かんだのか、暴れたい連中を上手側へ行かせ、元々小さい子どもたちが多く集まっていた下手側をモッシュ禁止とする、この場限定の特別ルールを敷いた。そして、準備が整ったところで「Blah Blah Blah」を投下。見事な差配で全員が思う存分に楽しめる空間を作り出した。

「ついにSiMが中津川に帰ってきたぜー! 15年前、中津川Breathでライブをやりに来て以来、15年ぶりに帰ってきました!」というMCを聞いてふと思ったのだが、ライブ冒頭を2008年から2010年にかけて発表された初期曲で固めたのは、15年前のライブを思ってのことだったのかもしれない。そして、中津川への愛を「死ねー!」というひと言に込めて披露したのは「KiLLiNG ME」。多くの観客が草の上で繰り広げる2ステップが気持ちよさそうだ。

それにしても、音がいい。これだけラウドなサウンドでありながら、SHOW-HATE(G)、SIN(B)、GODRi(Dr)、3人それぞれの音の粒がはっきりと感じられる。もちろん、PAの力量もあるが、長年にわたって磨き上げられてきたアンサンブルの強靭さにヘドバンが止まらない。

あと、2日連続で彼らのライブを観てはっきりと見えたことなのだが、この2日間でSiMのステージングは全く異なる。ライブ本数が多いバンドにもかかわらず、ちゃんとその場に合わせたものになっているのだ。初めてSiMのライブを観る人が多そうなことを察知したのか、丁寧なステージ運びをしていたし、セットリストに関しては前述のとおり。MCもそうだ。

「こういう田舎に来るとね(笑)、優しい気持ちになりますね。でも、田舎でこうやっていっぱいフェスが開催されるのは素晴らしいことだと思うんですけど、それが地元・中津川の連中に火を点けないと意味がないと思うから」と、今日遊びに来ている小さい子どもたちが10年後にバンドを組んで、このフェスのステージに立つことを期待した。

話はさらに続く。「俺ら、この15年、中津川に来てない間に“世界のSiM”になってしまいました」と冗談交じりに話し(でも、発言の内容は正しい)、皆を笑わせた。しかし、そのあとの言葉にグッと来た。ニューヨークやロンドンと同じように、ここ中津川でのライブも「世界で闘ううちの1本として来ました!」とMAHは叫んだのだ。そして、「ここでまた観たいヤツはどでかい声で歌ってくれ! 歌えるかー!?」と彼らの世界進出の足がかりとなった「The Rumbling」をプレイ。この熱い言葉に心が震えない地元民はいなかっただろう。

「踊れよー! 手を上げるだけでも立派なダンスだから!」という言葉に促され、「DO THE DANCE」で最後のダンスタイムを繰り広げたあと、これが終わりでないことをわかっていた観客は、前の曲の余韻が残っている最中、上手側の客席エリアに巨大なモッシュピットを作り出し、最後の曲に備えた。その曲は、そう、「f.a.i.t.h」。15年ぶりとなるSiMの帰還を、観客はモッシュピットという大きな花で盛大に祝ったのだった。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎木下マリ

■セットリスト
1 ANTHEM
2 TxHxC
3 paint sky blue
4 Blah Blah Blah
5 KiLLiNG ME
6 Dance In The Dark
7 Devil in Your Heart
8 The Rumbling
9 DO THE DANCE
10 f.a.i.t.h

 

■<中津川 WILD WOOD 2025>
9月20日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
9月21日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
open10:00 / start11:00 / 21:00終演予定
岐阜県中津川市茄子川1683-797
【Day1:9/20(土)出演者】※A-Z順 
ザ・クロマニヨンズ、Def Tech、04 Limited Sazabys、Hedigan’s、HEY-SMITH、一青窈、jo0ji、JUN SKY WALKER(S)、神はサイコロを振らない、KREVA、日食なつこ、Nothing’s Carved In Stone、奥田民生、レキシ、サバシスター、SiM、土岐麻子、東京スカパラダイスオーケストラ、ヤングスキニー、レトロマイガール!!(Opening Act)
【Star Guitar】DJ 西寺郷太(NONA REEVES)、須永辰緒(sunaga t experience)
【Day2:9/21(日)出演者】※A-Z順 
ACIDMAN、The BONEZ、Chilli Beans.、Dragon Ash、GLIM SPANKY、go!go!vanillas、iri、木村カエラ、Omoinotake、Original Love、Penthouse、Rei、レトロリロン、スガ シカオ with FUYU、水曜日のカンパネラ、打首獄門同好会、w.o.d.、吉澤嘉代子、Khaki (Opening Act)

 

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