【ライブレポート】2人のw-inds.、原点にして最高傑作のライブ

2025.09.20 20:00

Share

w-inds.が今夏、16枚目のアルバム『winderlust』を掲げて全国ツアー<w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust”>を開催した。そのツアーのなかから、7月16日、東京・NHKホールで行なわれたライブのレポートをお届けする。

◆ライブ写真

最新曲でバチバチに踊るというコンセプトに挑戦した“Beyond”ツアー、初期曲のみを披露するというコンセプトに挑戦した“Nostalgia”を経て、“Rewind to winderlust”と銘打った今回のツアーは、最新アルバムを軸に、これまでの既存のレパートリーを巻き戻しながらも、w-inds.の新たなライブ、新たな景色を提示するというものだった。

その内容はというと、基本踊りまくり。サウンドは鉄板曲でさえ「こんな曲だっけ!?」と面食らうほど、音の質感や感触までいまのスタイルに揃えてブラッシュアップ。既存曲と最新アルバムの曲、さらには初披露となったソロ用の新曲までもが混在しているにも関わらず、すべてが同一作品に収まっていてもおかしくないようなスムーズな流れがライブ全編を貫くという驚きと発見に満ちたものになっていた。

2人になっても“いつの日から笑える様に歩きだそう” “諦めない どんな時も” “止めないmusic and dance”(「Beautiful Now」)とw-inds.を続ける道を並々ならぬ覚悟で歩き出し、世界でもあまり例のない2人組ダンス&ボーカルユニット>というものにチャレンジし続けた彼ら。そうして、やっとたどり着いたこれが、2人組w-inds.の原点にして最高傑作のライブだ。こちらの予想をはるかに凌駕するいまのw-inds.の大人カッコいい仕上がり具合に、とにかくぶっ飛ばされた夜だった。

開演時刻、NHKホールが暗転すると、普通ならここで観客たちがペンライトを灯して、会場を青一色に染めあげるのがw-inds.のライブ。だが、今回は違った。本ツアーではw-inds.史上初めて、1曲目のみペンライト使用を禁止。暗闇の中、聞えてきた雑踏音が没入感をより高めていくと、その音がいつしか耳慣れた「Zip It」のイントロになり、ステージ上のライトがパーンと青から赤に切り替わってw-inds.のシルエットだけが舞台上段のステージに浮かび上がる。ライブのオープニングは2人のみ。なのに、なんてショーアップされていて、ラグジュアリーでカッコいいんだろう。期待感はマックスに高まり、ゾクゾクが止まらない。大歓声を上げる観客たちは、ブラックで決めた2人のスタイリッシュな姿を見て、ますます熱狂。

曲の後半、やっと2人が上段から下段のメインステージへと降りてきて、ダンサー陣も加わって踊りだす。間奏ではさっそく千葉涼平がブレイキンを繰り出し、チャックを締める音のところではなんとチャックを締めるフリまで飛びだして、それを見たファンは絶叫しながら大興奮。間髪入れずに「FLY HIGH」が始まると、観客たちはやっと白いペンライトを点灯。ダンサー陣とフォーメーションダンスを華麗にパフォーマンスするなか、間奏では橘慶太、涼平がキレキレのソロダンスで、会場のテンションを上げていって「try your emotion」へと繋ぐ。サビの“try your emotion” “take your dream”は客席にマイクを向けて歌わせる定番のパーフォーマンスはありつつも、サウンドの質感はガラッといま風に。

「Look at me」に曲が変わると、スピーカーからキック音、低音が大迫力で響き渡り、ここでは2段になったステージにw-inds.とダンサーチームが散らばり、美しい構図とため息が出るような細やかなダンスで観客を魅了。ゴリゴリのパフォーマンスで客席を圧倒するのではなく、気品ある歌とサウンド、練り上げられたダンスのクオリティーでスタイリッシュに人々を惹きつけていく彼らのステージングは、本当に華やか。

涼平が「平日にも関わらず、駆けつけて下さってありがとうございます」とファンに挨拶をすると、慶太はWe areツアー、Beyondツアー、Nostalgiaツアーは「自分たちの可能性、あり方を旅のように探し求める3年間だった」と前置きをして「そうしたら光が見えて、前向きになれた。それが今回のアルバム全曲に表れています。それをみなさんに感じてもらえたら嬉しいです」と本ツアーについて説明。

そうして、慶太のきらびやかなハイトーンフェイクが前奏から響き渡る「IT’S IN THE STARS」からライブは再開。舞台後方にキラキラの☆マークが照明で映し出されたこの曲と、次に始まった「ブギウギ66」は久々のアクト。にもかかわらず、慶太と涼平は歌いながら客席に近づき、手を振ってファンサをし始める。ここで「ブギウギ66」は“踊らない?”と見せかけておいて、間奏からはじょじょに2人が踊り出してダンサーも加わり、この曲最大の見せ場(ダンサー陣がフロアに横たわり、慶太が上段に登場)もきっちり披露。懐かしいナンバーはサウンドだけではなく、見せ方までもが大人の余裕を感じさせる演出で一新。

彼らのトラップにまんまとやられたあと、場内に重低音が鳴り響き、「Who’s the Liar」が始まると、このツアーで人気を博したナンバーだけあって会場中に緊迫した空気が広がる。飛び交うレーザーと迫力満点のダンス、黒い衣装と赤い照明。すべてが完璧なカッコよさ。新曲とは思えない破壊力でこの曲を場内に打ち込み、盛大なクラップで客席を1つにしたあとは、曲調がガラッと変わって「FAKE IT」へ。空気に溶けていくような涼平、慶太、2人のファルセットが最高に心地いいこのメロウなナンバーを、ライブでは歌詞に描いたメッセージを誓うように、彼らは力強く踊っていく。

そこから、初期ナンバー「Paradox」へと展開。キック音を限界まで詰め込み、どデカい音で響かせたいまのクールなバックトラックや、ダブルボーカルスタイルをここまで極めた2人の歌にスポットをあてるように、この曲も彼らは前半を踊らないという演出で見せていく。2人が奏でる大人な「Paradox」をたっぷり堪能したあとは、「Strip」でさらにアダルトなw-inds.の世界へと誘う。妖艶なムードを漂わせ、ジャケットプレイでファンをうならせたあと、2番ではステージ上段に上がり、そこに置かれた椅子を使ってあの椅子ダンスをアクト。これがいまの彼らにピッタリで、観客たちはとろけそうな視線でステージに酔いしれた。

そこに、聴いたことのないイントロが流れてきて、慶太のソロ「Originalism」(未発表曲)が始まると、ファンは久しぶりのソロコーナー登場に驚愕。慶太のソロは歌い上げるようなバラードでもなく、高音パートもなく、ラップのように言葉をまくし立てていく歌唱で進行。暗めの照明のなか、ステッキを使ったミュージカル風の構成の踊りで、この曲を物語のようにシックに見せていく慶太。対して、涼平のソロ「The End of Waiting」(未発表曲)は、歌モノのポップバラードだった。白いシャツ、キラキラ光るスパンコールがついたパンツに着替えた涼平は、真っ直ぐに伸びていくドリーミーな美声だけでパフォーマンス。慶太が歌って踊り、涼平はダンスを封印して歌に徹するという対照的なソロコーナーの見せ方も、いまのw-inds.ならでは。そして、衣装を着替えた慶太が出てきて「いくぞー!」と叫んで、「Get Down」でステージ上もフロアも大盛り上がりしたところで、再びMCへ。

ここでは慶太から、ソロで披露した2人の新曲はどちらも慶太が本ツアー用に書き下ろしたものであることが告げられた。そうして、2人体制になって以降は、前に向くことで必死にそのときの悩みや不安に打ち勝ってきたこと。やっといま、自然体で前に向けていることを改めて伝え、「みなさんも生きていたら辛いことがあると思います。そんなときも、いつか前を向けると信じてやっていって欲しい。そんな楽曲をお届けしたいと思います」という言葉に続いて、披露したのは「One more time」だった。

本編のなかで「One more time」は、終始2人の歌だけでパフォーマンスするという演出だったからこそ、この曲に込めた彼らの想いがダイレクトに伝わってくる。さらに、最新アルバムから「Rookies」、さらに「Run」を歌もダンスも格別な熱さを放ちながら投下していったところは、彼らが2人になったw-inds.と向き合い、葛藤しながらも光が見えていったリアルストーリーを具現化したような一幕で、グッとくるものがあった。客席が一丸となってその想いを噛みしめ、濃密な空気に包まれていった空間に、サウンドもダンスも洗練されまくった「Time Has Gone」をシャープに響かせると、せつなさがいっきにブースト。「Time Has Gone」で呼び起こされた感傷的な気持ちを「Let’s get it on」で、一瞬にして吹っ飛ばしていくのが我らがw-inds.。マッシヴなハウスビートに呼応したオーディエンスはペンライトを振りながらコールを叫び、会場のボルテージはいっきに上昇していった。

その光景を見て「凄かった。みんな綺麗だったぁ~!」と涼平が真っ先に会場に語り掛ける。慶太は「まだツアーは始まったばかりなのに、すごい充実感。今日はファイナルぐらいのテンション」と興奮気味に話すと、涼平も「僕らもやってて新鮮だからね」と続けた。新曲に加えて、昔の曲も新鮮さを放つ今回のツアー。慶太はそれについて「みんなの思い出を消しちゃったらどうしようって怖かったりもしたけど、Nostalgiaのツアーをやって昔のナンバーをもっとカッコよく見せられる自信がついたので、今回はもっといってやろうっていうのでお届けしてます」と明かした。

そしてライブはオシャレになった「Boom Word Up」から終盤へと突入。最新のw-inds.のニュージャックスイング曲「Feel the beat」から、コール&レスポンスを挟んで、懐かしい「Feel The Fate」へとつないでったところは見応え十分。昔の曲も古さを感じさせない音像へとアレンジして、この曲で大合唱を巻き起こしたあとは、J-POPの王道「変わりゆく空」をいまの彼らが歌って踊る。これがじつに素晴らしかった。凜と響きわたる2人の歌。流れ星のような照明の光、ダンサーたちと戯れるときにこぼれる2人の笑顔、円になってみんなで気持ちを1つにしていくコリオ。これまで感じたことがないような希望感あふれる「変わりゆく空」が、ここでは自然と見るものの感動を呼び起こしていって、魂のクライマックスを生み出す。

その感動に浸る間もなく、高らかに「New World-Remix-」のイントロが立ち上がる。w-inds.のライブのハイライトは、やはりダンスナンバーだ。きらびやかでハードエッジなサウンド、躍動感に満ちたキラーチューンが煽情的に興奮をかき立てていく。観客たちは大歓声を上げながらいっきに頂上までのぼりつめ、ステージと客席がフィジカルでもクライマックスを向かえたところで本編は終了した。

「Imagination」で幕開けしたアンコール。「苦しいときも僕らを支えてくれたみんなは家族のような存在だと思います。今日は特別に家族のような仲間が来ています」と慶太が伝えると、事務所の先輩である島袋寛子、続いてLeadの谷内伸也、DA PUMPのKIMIがゲストとして登場。いっきに華やかになったステージで、アルバムでコラボした「Like a Fam feat.島袋寛子,谷内伸也(Lead), KIMI(DA PUMP)」を5人揃って初披露するというゴージャスなサプライズに、場内は当然のように狂喜乱舞。楽曲同様、場内はすぐさま温かいムードに包まれ、多幸感が広がっていく。歌い終えた慶太は、島袋を呼び込むとき「“ヒロコー!”と今日はリハも含めて3回も呼び捨てにしてしまいました(笑)」と嬉しそうな笑顔を浮かべて恐縮。涼平は、慶太に本人がいないところでは「寛子さん」ではなく「ヒロちゃん」と親しげに呼んでいることをバラされ「なんでいうんだよ~」と照れながら島袋に向かって頭を下げると、場内にはさらにアットホームな雰囲気が広がっていった。

ゲストを送り出したあとは、慶太が「旅の物語を巻き戻して、最後は僕たちのデビュー曲をお届けして終わりたいと思います」という言葉を添えて、w-inds.の始まりとなった「Forever Memories」をこれまた最新型のトラックで披露。最後の大サビで、いつものようにファンを巻き込んだ大合唱を呼び起こしていってアンコールはフィニッシュ。

6人のダンサーを一人づつ紹介したあと、全員で手を繋いで最後の挨拶を終えると「また会いましょう!」という言葉を残して、ステージを後にしたw-inds.。国内ツアーを終え、このあと彼らは同ツアーを持って香港、さらに台湾でも公演を行なうことが決定している。

ここからさらに、w-inds.は想像を超越して、さらに勢いを増して走り出す。そんな彼らにいまこそ「You’re beautiful now!」という言葉を贈りたい。

・香港公演
<w-inds. LIVE TOUR 2025 “Rewind to winderlust” in in Hong Kong>
2025年10月4日(土)
17:30開場/19:00開演(現地時間)
会場:AsiaWorld-Arena

・台湾公演
<w-inds. LIVE TOUR 2025″Rewind to winderlust” in Taipei>
2025年11月29日(土)
18:00開場/19:00開演(現地時間)
※当日の状況により変更の場合があります。
会場:TAIPEI INTERNATIONAL CONVENTION CENTER

取材・文◎東條祥恵
写真◎宮脇進

前のページへ
1 / 3

Related Tags関連タグ