B'z松本孝弘の最新シグネチャーモデル「TAK MATSUMOTO FIREBIRD」とはこんなギターだ

ギブソン・カスタムから、B'zのギタリスト松本孝弘の新たなシグネチャーモデル、「TAK MATSUMOTO FIREBIRD」が登場する。もちろん名機といわれるギブソン・ファイアーバードをベースとしたモデルだ。日本人ギタリストとして初のギブソン・レスポール“シグネチャー・アーティスト”となり、キャナリーイエローのレスポールやエピフォンDCなど、同社の様々なシグネチャーモデルを使用してきた松本孝弘だが、2013年秋からはギブソンカスタム製ファイヤーバードのプロトタイプを使用。長い時間をかけて仕様を細部まで詰めていたが、それがようやく完成し、この3月からシグネチャーモデルとして発売されることが決定した。カラーはVINTAGE SUNBURSTとTRANS BLACK BURSTの2タイプが用意され、希望小売価格はどちらも698,000円（税別）。

◆「TAK MATSUMOTO FIREBIRD」～画像～

ファイアーバードは歴史のあるギターだ。1963年にギブソンから発表された当初は、1弦側のボディが上に突き出し、抱えた時にペグが下側に来る、いわゆるリバース・ボディ。その革新的な構造とデザインは衝撃的だったが、1966年には左右を反転させたノン・リバースにモデルチェンジ。その後一度は生産中止になったものの、現在まで何度もモデルチェンジしながら再生産されてきた。サウンドの特徴はモデルごとに若干違うものの、ギブソンギターらしい音の太さとその独特のルックスから愛用者も多い。ブルース・ギタリストのレジェンドの一人であるジョニー・ウィンターやローリング・ストーンズのロン・ウッド、エアロスミスのジョー・ペリーなど、ブルース色の濃いギタリストが好んで使用する傾向にあるが、そのほかにも幅広いジャンルの多くのギタリストに愛されてきたギターだ。

松本孝弘もファイアーバードに魅せられたギタリストの一人で、ファイアーバードVを愛用していたという。そして2012年11月に、松本からギブソンに対して“「気に入っているファイアーバードのデザインはなるべくそのままに、演奏時のボディ・バランスと操作性を好みによせたモデルが作れないか」という申し入れ”があったのだそうだ（オフィシャル・リリースによる）。これに対し、ギブソン・カスタム開発チームは“本人、我々ともに納得のいく、新たなTAKモデルと呼ぶにふさわしい完全新設計のファイアーバードを作ろう”（同）と、2013年からTAK MATSUMOT FIREBIRDプロジェクトを本格的に始動させた。

新たなシグネチャー・ファイアーバードに対する松本の希望は、“レス・ポール・ヘッドストック、DCのスタイルを継承するネックのプレイアビリティとコントロール・レイアウト、そしてカラーリング”（同）で、ギブソン側からはフレイム・メイプル・トップを提案。こうして決められた仕様により制作された最初のプロトタイプは2013年9月、日産スタジアムの公演直前に松本の手元に届き、同公演のリハーサル時にサウンド・チェックが行われた。この段階でトーンはすでに実用レベルの仕上がりだったが、ボディのサイズをわずかに小さくして操作性を向上させたいという松本からの新たなリクエストに応え、そこから“数パーセント単位でボディを縮小したセカンド・プロトの制作”（同）にとりかかることになる。


2014年5月、これらのすべての課題をクリアしたセカンド・プロト2本（サンバースト＆チェリー）が完成、＜Tak Matsumoto LIVE 2014 New Horizon＞のメイン・ギターとして投入されることになった。このセカンド・プロトには「期待以上にクオリティの高いサウンド」という最高の賛辞が贈られ（同）、製品化が決定。2014年9月には新たに追加されたトランス・ブラック・バーストの最終プロトも仕上がった。そして2015年3月、B'zの新作アルバム『EPIC DAY』と同時に「TAK MATSUMOTO FIREBIRD」としてリリースされることが決定した。

「TAK MATSUMOTO FIREBIRD」の仕様は下記のとおりだが、メイプル・トップ、3ピースのマホガニーバックのリバース・ボディ、1ピースマホガニーの“TAK DC”セットネックなど、松本孝弘のこだわりが随所に見受けられる。また、ギブソンBurstbucker（マグネットにアルニコ5を採用）を2つ配置し、レスポールタイプのヘッド・ストックなど、ルックス面でもかなりユニーク。明るいVINTAGE SUNBURSTもダークなTRANS BLACK BURSTもメイプルの木目が美しく、高級感が漂う仕上がりはとても魅力的だ。