「Private Laughter」 Warner Music Japan 2004年1月21日発売 WPCL-10066 1,200(tax out) 1 Private Laughter 2 1・2・3 3 Maze of Love(GULA SESSION) 4 Private Laughter(Instrumental) | ※全ての画像と文章の無断転用を禁止します。 | ――今回のシングルは、収録されてる3曲とも、初めて聴いた瞬間からスッとなじむものばかりで。 「そうですね。結構さわやか系ですよね!って自分で言うのもなんですけど(笑)、私の声質がね、どんなに努力してもドロドロ系の声にならないもんですから。トーレ・サウンドの特性としても、キラキラしてる印象を残すサウンド作りをするんですよね。重すぎず軽すぎず、ポップなのが上手ですよね」 ――その声が、詞や曲作りに影響を与えてたりします? 例えば"こういう世界観の歌は合わない"とかいう具合に。 「本当は声質にこだわらず、いろいろやりたいんですけどね。ただ、自分が好きで家で聴く音楽と、自分が挑戦してうまくいくのは、別だと思っていて。それに、ただ単純にジャンルって分けるんじゃなく、いろんな要素を一つの曲の中で取り入れて、混ぜてこねて"BONNIE PINK"っていう形で出してるんですね。それが例えば、“直球のファンクをやろう”ってなった場合、その世界のミュージシャンを集めてやってもたぶん形にはなるんだろうけど、それだとファンク以外の“BONNIE PINK”の要素が消えちゃうじゃないですか? BONNIE PINKの音楽っていうのは、もともといろんなものがミックスされてるものだと思うから、結局、何をやっても自分の好きなようにできてるんですよね(笑)。曲も、無意識のうちに一番自分の声に合うキーで書いてるし。けど、本当はもっと崩していきたいので、普通だったら歌わないような高いキーで書いたり低いキーで書いたり、そういうことももうちょっとやっていきたいなって。それは今、試み中ですね」 ――あら!そうなんですか?! 「うん。何か変化がないと、自分に飽きちゃうんですよね」 ――今回あらためて、ボニーさんの声の持つ"やわらかさ"をすごく強く感じました。3曲すべて、ハッピーな状況を歌っている曲ではないんですが、音に包まれて届く歌声はどれもやわらかくて心地よくて。 「よかったです(笑)。年明けに出るシングルなのに暗いのを作っちゃってもね、めでたくないじゃないですか。"Be positive"というか、"Stay positive"が私の生き様なので、そういう感じで年が明けるといいなと思ったし。「Tonight the Night」から一年ぶりのシングルなので、“また出ました!”みたいな感じでお届けしたいなって思って。レコーディングでも、今までは座って歌うことが多かったんですけど、今回は、立って腹から声を出して歌入れしたので、その辺がライヴに近い声になってると思います」 ――座って歌ってたのは何か理由があったんですか? 「んー、なんかラクだし(笑)。それに、小さい声で抑揚を効かせながら歌う事ができて、それも好きな録り方なんですけど、今回のような曲はサビでの爆発力が重要なので、座ってちゃ歌えないと。たぶんカラオケで歌ってもらえるとわかると思うんですけど、このサビは座った状態だと歌いにくいと思いますよ。「Tonight the Night」もそんな感じでしたよね。トーレとやると爆発系が合うみたいですね(笑)」 ――(笑)じゃあ、来たるアルバムも爆発系で? 「アハハ! アルバムはずっと爆発だと耳がツラいから、もうちょっとヴァラエティに富んだ感じで、箸休め的な曲も織り交ぜつつ。彩りよく、幕の内な感じにすると思います」 ――さっき“Be positive”って言われましたけど、だからといって詞も曲もすべて明るく楽しく幸せに、というわけではないんですよね。 「そうですね。それは、最後はそう思っていようってことであって、迷ったり悩んだり、落ち込んだりは毎日誰だってしてると思うし。ただ、一日の終わりに、暗いことを考えて寝るよりも“今日は悩んじゃったけど、明日は明日でいい日が来るさ”って思って寝た時のほうが、翌日の目覚めがイイと思うんですね。例えば誰かとケンカしても、ちゃんと決着をつけてから次の日を迎えたいっていう性格なんですね。たとえ一方通行であったとしても、手紙を書いて言いたいことを吐きだしてから寝るとか。じゃないと次に進めないんですよ。それに、変に深く考えちゃうと眠れなくなるし、夜更かしするのもイヤだし(笑)。やっぱりこう“ヘルシー”っていうのは重要だと思うんですよね。なので、なるべく前向きに」 ――確かに。じゃあ、寝る前に「Private Laughter」を聴いてから休むと、いい日が迎えられますね(笑)。 「OKだと思いますよ。でも3曲目の「Maze of Love」って、「ゴールはあるのか?」って歌って終わってるんですけど、これはどうなんですかね?(笑)」 ――アハハハ!確かにそうですね。 「でも本当は、「ゴールなんかないのは当たり前さ」っていうことなんですけどね。ないんだから別に目指さなくったって、毎日同じこと考えながらでも前に進んでいければいいじゃないって歌で。ゴールよりも道のりが大事なんだっていう歌なので、それもまぁ“positive”な歌ってことで(笑)。今まで再録音ってしたことなかったんですけど、今回やってみて、昔はすごいオモロい曲を書いてたんだなって自分に関心したりしましたね。そうやって自分を振り返るのも大事かなって思いました。常に“前!前!”って感じでめったに振り返らないんですけど、こうやって昔の曲を前にすると、自分も成長したのかな~って。成長というか、変化かな? それは感じましたね」 ――では、新しいアルバムも楽しみにしてます。 「はい、いいのを作りますから。楽しみに待っててください!」 取材・文●梶原有紀子 | |