──今回なぜ7曲入りのコンパクト・アルバムとして『PLUS
ONE MORE』をリリースすることにしたんですか?
マツキタイジロウ(G/以下、マツキ):
普通だったらシングルを出すタイミングなんですけどね。去年の夏に『Beautiful Days』という聴かせる感じのアルバムを作ったんですよ。でもそれは、ライヴで再現しにくいもので。この収録曲をライヴでやると、他の曲としっくりいかないというか。つまり、今までの勢いでガーッと行く部分が、このアルバムにはなくて。ライヴでできないんですよね。それに違和感というかストレスみたいなものを感じてたところがあった。なので、結局アルバムリリースしたにも関わらず、ことごとくライヴのセットリストから除かれたという(笑)。あのアルバム自体を否定しているワケじゃないんですけどね……。次に曲を作るなら、まずはライヴでやれるものをやりたいと思って。みんなで盛り上がれるものを作ったんです。
──では、『Beautiful Days』の世界観は、とりあえず完結って感じですか?
マツキ:
この1枚があって『Beautiful Days』が完結する感じ。静と動というか。『PLUS ONE MORE』は動盤って感じですね。次はそれが重なり合ったものを作ることになるかな。
──なるほど。にしても『PLUS ONE MORE』で改めてスクービードゥーはライヴ・バンドであることを証明する、熱くて、ファンキーな1枚ですね。
ナガイケ ジョー(B/以下、ナガイケ):
そう感じてもらえてうれしいですよね。でもライヴの勢いだけでじゃなく、ある程度計算しつつ、僕らが得意とするソウル/ブラック・ミュージックに通じるリズム感を強調したものを作ったつもりなんです。
オカモト“MOBY”タクヤ(Dr/以下、MOBY):
レコーディングは、ライヴを1本やった感覚で完成した1枚でね。基本的に全曲一発録りでやったんですけど。いろいろ考えるのは抜きにして、“せーの、ドカン”と作った感じ。もちろん録音する前に曲のイメージは固めてましたけどね。レコーディングスタジオでは何も考えずに演奏しました。つまり、追求する部分はきちんとして、アウトプットする際はシンプルにした感じです。そのほうが聴いている人は気持ちいいんじゃないのかな、と思うし。また、いろんな知識をためこんで、曲作りをするのはもういいやって自分たちも思っていたんで。
コヤマシュウ(Vo/以下、コヤマ):
歌録りに関しても一発録りだったんで、すごくラクだったな。今回は、ライヴアレンジの曲を音源にそのまま出したかったというか。それを聴くと、ライヴに行きたくなる気分にさせるものを作ったつもり。また「PLUS
ONE MORE」なんて最初は3分くらいのものだったんですけどいろいろアレンジを加えた結果5分の曲になったんですよ。その加えた2分が、僕らには重要で。2分が入ることによって、他のロックバンドとは異なる部分を、僕らにしかない部分が出せたんだなってと完成してから思いました。
──なるほど。確かに7曲というタイトな曲構成のせいか、どの曲もバンドの濃い味が、バラエティに富んだサウンドで表現されてますね。
マツキ:
選んだ7曲というよりは、できた7曲なんですよ。選ぶ余裕などなかったですから(笑)。ただ曲を作るにあたって大切にしたのは、シンプルさと高揚感。あとはオーバーダビングしないことですね。アレンジだったり、演奏の妙とか、歌のハマり具合とか。一番みんながいい感じで演奏できるものをいろいろと探りながら制作した感じです。
──何か今回のアルバムで新しい試みをしたことはありますか?
MOBY:
インストで「PARTY DAWN」という曲があるんですけど。これは初めてレコーディング・スタジオで作った曲なんですよ。確かこれはスタジオでマツキがギターを弾きだして、それについて行ったら完成しちゃったという。
──ラストの「TIGHTEN UP」はArchie Bell&The Drellsのカヴァーですよね。
マツキ:
これは、ライヴでよくやっているんですよ。今回って、一発録りとかいろいろありますが、テーマはファンクなんですよね。ファンクでも特にディープな、かなりコアな部分を表現したつもり。これがリアルなファンク、ダンス・ミュージックだよ、と提示したい気持ちがあって。でもなかには、わかりやすいものも必要だろうな、と思ってこれを収録したんです。まぁ「PLUS
ONE MORE」とかもわかりやすいんですけど。この機会を逃したらレコーディングすることはないだろうなと思ったし、入れたんです。
──こうなると、間もなくスタートするライヴツアーがかなり楽しみです。
マツキ:
東京はリリースしてすぐのライヴになるんですけど、ちょっとでも聴けば、楽しめると思う。あとはスペシャルグッズを作ったんで。ライヴで盛り上がるようなものを。バンドグッズとしては、なかなか見ないモノですよ。
コヤマ:
アイドルコンサートばりの!?
マツキ:
そうそう。……ってワケないじゃん! とにかく楽しみにしてほしいですね。
MOBY:
あと、ライヴ後にアフターパーティをする場所もあるんで、それも来てほしいですね。
コヤマ:
とにかく騒ぎに来てほしい。僕らは、人力だけでどれだけファンキーでアッパーになれるか?に興味があって。ライヴはそういう気分になれる場なので。できる限り、ファンキーにアッパーになりたいと思います。