【インタビュー】0.1gの誤算、ベーシスト眞崎大輔が語る「憧れの気持ちから“憧れられる存在”へ」

豊洲PITにて行われた9周年記念ワンマンを成功に収め、いよいよ活動10年目を歩み始めたバンド、0.1gの誤算。8月からは過去最大規模のツアー、「Zeppツアー」が予定されている。本インタビューでは、ベーシストの眞崎大輔が登場。憧れの気持ち、理想の姿から芽生えたのは「自分も誰かに憧れられる存在になりたい」という思いだ。
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──幼少期や学生時代のお話を聞かせていただけますでしょうか。
眞崎大輔:生まれは埼玉県で、2つ歳上の兄がいます。幼稚園から小学校の高学年ぐらいまでピアノを習ってました。幼馴染のお母さんがピアノの先生をしていて、うちの母とも仲が良かったので、兄と一緒に習い始めたのがきっかけです。でも、当時はピアノのレッスンに行くのが好きじゃなかったです。発表会も嫌でした。同じ時期、小学1年から中学1年まで器械体操を習ってたんですよ。鉄棒、跳び箱、マットとか。特別レッスンではトランポリンとかもありました。TV番組の『SASUKE』とか『笑っていいとも!』のいいとも青年隊を見て、アクロバティックな動きが格好良いなと思ったことがきっかけで興味を持ったんです。最低でもバク転ができるようになるまでは続けようと頑張っていましたし、「将来の夢は体操選手です」って言うぐらい熱中していました。
──体操を習っていらっしゃったのは少し意外でした。音楽に興味を持つようになったのは、その後ということになりますか。
眞崎大輔:小さい頃も家族でドライブをする時に曲を聴いたり、歌うことが好きでよくカラオケに行ったりはしてましたけど、自分から積極的に音楽を聴くようになったのは中学生からですね。それまでは体操があったし、田舎の小さな小学校だったので、同級生もみんな仲が良く充実していたんですけど、中学入学後は没頭できるものがなかったんですよ。そんなとき、音楽をやっていた親戚が、うちの家にギターとベースを置いていったんです。はじめはギターのほうが格好良いと思って触ったんですけど、実際にやってみると難しくて、ベースに持ち替えてみて、これなら出来そうかもって。気付くと、家でベースの練習をするの時間が一番の楽しみになっていました。
──ベーシスト、眞崎大輔の誕生ですね。バンドを組んで本格的に音楽の道へ進もうと思ったのは高校生のときですか。
眞崎大輔:そうですね。高校では軽音部でした。集団で行動したり人と話すのが得意じゃなかったし、今も得意じゃないんですけど、軽音部でバンドを組むうちに、誰かと一緒になにかをすることが楽しいと感じるようになっていったんです。音楽を本格的にやろうと思ったのはそこからです。1年生の終わりには、音楽系の専門学校に行こうという進路も決めていて。だから卒業後はESPエンタテインメントに進学して、2年間ベースコースで学びました。
──専門学校時代、印象に残っている授業などはありましたか。また、先日は母校にて特別講師として講義も行われていましたね。
眞崎大輔:リズムに対してすごく厳しく指導された覚えがあります。学校では速弾きみたいなテクニカルな部分ではなく、基礎を固めることが重要視されるので。一番印象に残っているのは、ジャンベっていうアフリカの打楽器の授業です。リズム感を鍛えるのにすごく役に立ったなと思います。講師として呼ばれた日は、ファンの方も参加できる形式のセミナーでした。ファンの方の中にも学生だったり就職して働いている人だったり様々なので、来てくれた人たちになにかを残せる講義にしたいなと思って臨みました。なので、音楽的なことばかりじゃなくて、自分のこれまでの経験を含めて、後悔しない生き方や、辛いことがあっても継続することの大切さを伝えられると良いなと思いながら話しました。

──0.1gの誤算を始める前のことやヴィジュアル系というジャンルを選んだ経緯などについても聞かせていただきたいです。
眞崎大輔:専門学校在学時に先輩たちとロックバンドを組んで、新宿や高田馬場あたりでよくライヴをしてました。そのバンドは半年ぐらいで解散したので、2年次に同級生でヴィジュアル系をやりたいっていう友達から誘われてバンドを組んだんですけど、それも半年ぐらいで解散しちゃって。学校卒業と同時に、新たにヴィジュアル系バンドを組んで、それは2年ぐらい続きました。その後が、0.1gの誤算です。もともとヴィジュアル系がすごく好きっていうわけではなかったんですけど、メイクも音楽性も表現のひとつですし偏見は全くなかったです。
──音楽にはどのようなこだわりを持っていらっしゃいますか。
眞崎大輔:歌モノが好きですね。なので、曲を作るときもベースラインはメロディアスなものを意識して取り入れてます。音に関してもこだわりが強くて、一番大切にしているのは、バンドの中で適度に埋もれることです。やっぱり自分の楽器が一番聞こえたほうが気持ち良いと思うんですよ。でも、ベースって本来がっつり聞こえるのが気持ち良いパートではないと自分は思っていて。適度に埋もれて、おいしいところだけ聞こえれば良いかなって思います。なので、「抜ける音」を出すことがこだわりですね。音をしっかり聞かせようと、音を浮かせるんじゃなくて、適度に埋もれることで音を馴染ませるイメージで弾いてます。ただ、ライヴでは聴覚だけじゃなくて視覚でもみんな音楽を楽しむので、難解なフレーズを一生懸命に弾くのはちょっと違うなって。今までは音源だけじゃなくてライヴのステージでもベースラインのこだわりを大事にしていたんですけど、9周年の豊洲PIT公演から「魅せるベーシストになろう」っていう思いが強くなったんです。メンバーと一緒にL’Arc〜en〜Cielのライヴに行った時に、「自分が憧れていた光景ってこれだ」と思って、それと同時に、どうすれば憧れの存在を自分のものとして表現できるかなって。そう考えた結果、ライヴってやっぱりフレーズはもちろんですけど、それよりも動きとか表情とか、パフォーマンスで魅せることも重要なんだなって改めて感じました。
──0.1gの誤算では海外公演もありましたね。ライヴの盛り上がりなどはどうですか。
眞崎大輔:海外のライヴのノリはすごいですね。会場が盛り上がってくれるとやっぱり嬉しいです。0.1gの誤算のライヴを初めて観る人もたくさんいたんですけど、そういう方も初っ端から盛り上がってくれるので、こちらも楽しい気持ちになります。演奏中の盛り上がりやMCの反応は、日本のライヴでも更に広がっていってほしいですね。今後もヨーロッパとかアメリカとか、いろんな国に行ってみたいですし、国ごとのライヴの空気の違いを感じてみたいです。

──衣装など、ヴィジュアル面でのこだわりはありますか。
眞崎大輔:衣装に関しては曲のコンセプトや自分のこだわりたい部分を衣装さんに伝えて、ラフ案をもらってから一緒に作っていくことが多いんですけど、よくオーダーするのは、ちょっと太めのパンツです。ライヴでの立ち姿を見たときに、それが一番しっくりくるし、動きやすいので。ヴィジュアル面に関しては今まではそれほどこだわりはなかったんですけど、今は髪型ですね。ブレイズにして、今後も続けていきたいなって思ってます。会社に勤めていたら絶対にできない髪型だけど、せっかくバンドをやってるんだから挑戦したいなという気持ちがあって。編み込みってやっぱりちょっと怖く見えるので、最初は「あまり好きじゃないです」っていう声もあったんですけど、いまは気に入ってくれてるファンの方も多いです。
──眞崎さんの好きなものや嫌いなもの、それから、ルーティーンなどがあれば教えていただけますか。
眞崎大輔:静かな場所が好きです。自分の部屋とかもそうですし、田舎の道とか、終電とかで誰も車両にいない電車の中とか、そういう穏やかな場所が好きですね。嫌いなものは、うーん……。小さい頃から周りのことにあまり興味を持つタイプではなかったので、嫌いになるよりも先に興味がなくなってしまうんですよね。だから、嫌いなものは……ないですね(笑)。ルーティーンもあまりないかな。家でベースの基礎練習をすることぐらいですかね。自由に生きていたいので、自分でルーティーンを決めると縛られちゃうかなって。ただ、ライヴの日に限ってはルーティーンのようなものがあって、本番前はできるだけ一人で落ち着いた場所に居ることを心がけてます。うちのメンバー賑やかなので(笑)、出番の直前まで楽屋にいると素の自分のままなんですよ。オン・オフの切り替えが苦手なので、僕の場合は、意識的に静かな場所に行って、時間をかけて徐々にスイッチを入れていく必要があるんです。
──8月からはZeppツアーが始まりますね。単発の大箱ワンマンだけでなく、遂にZeppツアーか!と、僕もわくわくしてます。
眞崎大輔:自分が憧れていたバンドが通ってきた道なので、同じ舞台に上がれることがすごく嬉しいです。今後の活動で、更にステップアップして箔のある自分を見せられると良いなと思います。ステージセットや詳しい内容はまだ構想中ですが、ベースの台をドラムと同じぐらいの高さにして、パーソナルスペースを整えたいなって。実は、先日の誤算の日に初めて試みたんですけど、すごく馴染みましたし、ファンの方からも見やすいという声をいただいたので、動きやすい環境を作って、最高のパフォーマンスができれば良いなと思っています。

──今後の目標を聞かせていただけますか。
眞崎大輔:ミュージシャンとして10年程やってきて、自分も「誰かに憧れられる存在になりたい」っていう気持ちが芽生えました。自分を見てベースを始めましたとか、バンドを組みましたっていう人が出てきてくれたら良いなと思います。せっかく憧れていた人たちと同じステージに立つことができるんだから、10周年に向けても、それ以降もずっといまの気持ちを大切にしていきたいです。
──眞崎さんにとって、0.1gの誤算とはどういう存在でしょうか。
眞崎大輔:「恩人」です。前のバンドが解散した時に、もう音楽を辞めようと思っていたので。0.1gの誤算がなかったら多分、いまのような楽しい人生は歩んでいない気がします。今まで集団行動も苦手だったし、今でもそんなに得意ではないんですけど、そのうえで、心から楽しいって思えるんですよね。「自分らしくいられて、自分らしくない部分も引き出してくれる場所」。一人の時間を好む本来の自分も受け入れてくれるし、みんなと楽しくいられる時間もあって、ちょうど良いバランスなんです。これは、0.1gの誤算じゃなきゃ、他のバンドじゃ絶対に味わえないものだったと思います。とにかく、いま楽しいです。
──いまが楽しいって、なかなか言えないですよ。素晴らしいことですね。
眞崎大輔:楽しいって思えるのは、メンバーやファンのおかげです。本当に感謝してます。いま何かに迷ったり悩んでる方がいるなら、自分自身が最も楽しく生きられる道を選んでほしいです。この記事を読んでくれた人、応援してくれている人に、0.1gの誤算の活動を通して、僕の「後悔しない生き方」をこれからも残していければ良いなと思います。
写真◎上野宏幸 Linksolu Inc.
文◎藤代冬馬
<頭振らなきゃ祭りじゃねえ!!-5人の鬼教官による悪魔的じゅ業->
2025年
5月16日(金)福岡DRUM LOGOS
5月17日(土)福岡DRUM LOGOS
5月31日(土)Veats Shibuya
6月6日(金)名古屋DIMOND HALL
6月12日(木)福岡DRUM Be-1
6月20日(金)Veats Shibuya
6月29日(日)渋谷WWWX
7月16日(水)赤羽ReNY alpha
7月21日(月)GORILLA HALL OSAKA
7月27日(日)札幌Cube Garden
7月28日(月)札幌Cube Garden
緑川裕宇&河村友雪生誕記念!4大2000キャパツアー
<最強AB型組に続け!灼熱の大旋風!>
2025年
8月13日(水) Zepp Diver City
8月20日(水) Zepp Osaka Bayside
8月21日(木) Zepp Nagoya
9月10日(水) LINE CUBE SHIBUYA
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