【ライブレポート】BRAHMAN、<tour viraha final>東京ガーデンシアター公演にて30周年記念プロジェクト完結「初めてツアーが終わらなければいいって」

2026.06.02 20:00

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BRAHMANが5月15日、7thアルバム『viraha』レコ発ツアー<tour viraha>最終公演にして、結成30周年記念プロジェクトのグランドファイナルにあたる<tour viraha final>を東京ガーデンシアターにて開催した。

◆BRAHMAN ライブ画像(16点)

BRAHMANは2024年11月の横浜BUNTAI公演<六梵全書>より、30周年記念プロジェクトをスタート。以降、2025年2月に7thオリジナルアルバム『viraha』をリリース、3月より<tour viraha>開催、11月に幕張メッセ国際展示場9-11ホールにて3DAYS公演<尽未来祭2025>開催、2026年1月より<tour viraha 2026>開催、2026年3月にはPICTURE LP BOX『七梵全書』をリリースするなど、約1年半にわたる怒涛のアニバーサリーイヤーを駆け抜けてきた。そのグランドファイナルが<tour viraha final>となる。

19時12分、SEが流れるとKOHKI(G)、MAKOTO(B)、RONZI(Dr)のメンバー3人がステージに現れ、最後にTOSHI-LOW(Vo)が登場した。「charon」でライブがスタートするや、スクリーンに映された波の映像と連動する形で会場が激しく揺れる。ド頭からここに集まった観客を覚醒させる幕開けだ。

「1年2ヵ月にわたる、全国3万kmにわたる、3万7千人の前にわたる、<tour viraha>、全ヵ所満員御礼! お礼は、俺たちにはこれしかできねぇ。全力でBRAHMAN、始めます!」──TOSHI-LOW

2曲目「賽の河原」に入ると、“オイ!オイ!”の歓声が一段と熱を帯びた。無理もない。バンドサウンドはヘヴィさが増し、その迫力はスクリーンに浮かぶ骸骨とシンクロするなど、ステージから放出される熱量の高さが圧倒的。特にMAKOTOの歪んだベースは雷鳴のようで、すべてを薙ぎ倒して進む重戦車を彷彿とさせた。

その勢いをさらに膨らませたのは「恒星天」「雷同」だ。スタンディングのフロアにはダイヴの波が広がり、2階〜5階のバルコニー席が波打つなど、約8000人を収容してソールドアウトとなった東京ガーデンシアターが巨大なライブハウスと化していく。その後も「BASIS」「春を待つ人」と畳み掛けるノンストップのパフォーマンス。BRAHMANにとっては通常運転であり、それに食らいつく観客もあっぱれだ。

「SURVIVOR’S GUILT」ではグリーンとマゼンタの照明が映えて視覚に訴える演出も素晴らしい。東京ガーデンシアターという広大な空間を彩る照明とスクリーン映像は、このグランドファイナル<tour viraha final>ならではのもの。バンドサウンドの屈強さや強靭さ、その一方で併せ持つ美しさや儚さが浮き彫りになって、BRAHMANの本質を改めて再認識することができた。

さらに、1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』から「SEE OF」「GOIN’ DOWN」が披露されるとフロアが暴発。ジャンプやダイヴ、モッシュなどのカオス状態へ。ツアーファイナルにして、30周年アニバーサリーのグランドファイナルという祝祭感にスイッチが入った瞬間だろう。“最終の章を開けた 後悔を叩き割って 解けて 解ける 走り去って行く前に”と歌う「最終章」が終わると、自然発生的に万雷の拍手が巻き起こり、超満員の会場全体がBRAHMANサウンドを称えた。

そしてKOHKIのオリエンタルなギターが響くと、会場の雰囲気が変わった。コロナ禍にリリースされた静と動、繊細さと激しさが同居する「Slow Dance」だ。すると、待ってました!という観客の歓喜に包まれるように、会場の気温がぐっと上昇したことを肌で感じた。“静かに 踊れ 激しく Slow Dance”という歌詞にある通り、埋め尽くされたフロアもバルコニー席も踊りに興じる人ばかり。今やBRAHMANの代名詞のひとつとも言える名曲だが、その輝きが一段も二段も増していたようだ。

12曲目に披露された「A WHITE DEEP MORNING」では、スクリーンに森林の映像が映し出され、KOHKIのクリーンギターがマイナスイオンを発するようで清々しい。その後半は壮大な雲海の映像が流れるなど、大自然と共鳴するサウンドスケープに引き込まれた。「PLASTIC SMILE」「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」「BOX」「BEYOND THE MOUNTAIN」といった初期曲がシームレスに繋がれた中盤。TOSHI-LOWが手拍子で煽ると、観客もハンドクラップでそれに応えるなど、<tour viraha final>のお祭り感が倍増するばかり。

<tour viraha final>後半戦の口火を切ったのは、アルバム『viraha』に収録された3曲の連投。起伏激しい「知らぬ存ぜぬ」では、メンバー4人の呼吸がピタリと重なり一枚岩となった鋭いグルーヴと、重い言葉にただただ圧倒された。そして「Ace Of Spades」へ。ご存じモーターヘッドの名曲カバーだが、BRAHMANが手掛けた同曲は、中盤から祭囃子を施した大胆アレンジへと変貌。MAKOTOはレミー・キルミスターばりの激重ベースを掻き鳴らし、ライブは数倍の爆発力で観客を踊らせまくる。その熱気をRONZIのドラムが雷鳴轟かすような「笛吹かぬとも踊る」で倍増させ、場内はとんでもない盛り上がりを記録した。

「知らぬ存ぜぬ」も「笛吹かぬとも踊る」も示唆的な歌詞が鋭く重いナンバーだ。歌詞の一言一句がバズーカ砲のごとく胸に迫ってくるが、気づけばライブは後半戦。にもかかわらず、TOSHI-LOWの歌声には微塵も翳りが見られない。日頃の丹念と言えばそれまでだが、汲めども尽きぬ無尽蔵のエネルギーに改めて驚愕した瞬間でもあった。続く「空谷の跫音」での伸びやかで鮮烈な歌声もその印象を色濃くした。

そして「鼎の問」へ。スクリーンには震災時の映像が流れ、当時の福島第一原発で働く作業員たちの声を映すスクリーン映像とメッセージ、BRAHMANのサウンドは、怒りや悲しみを伝え、多くの人たちの心を揺さぶる。

終盤は怒涛にしてライブに欠かせぬナンバーの連発。「ARRIVAL TIME」を終えた頃、TOSHI-LOWのマイクスタンドはグニャっと折り曲げられるなど、佳境を迎えてその勢いが凄まじい。名曲「ANSWER FOR…」では会場全体を見渡すように丁寧に歌を届け、“WHAT DID YOU SAY?”という文字がスクリーンに大きく映し出されてコール&レスポンス。「でかい声で歌ってよ!」と呼びかけた「今夜」では瞬く間に大合唱が広がり、TOSHI-LOWが“あの街に行こう”の歌詞を“有明に行こう”に変更、「一番いい夜は、今夜だったろ!」と叫ぶなど最高の景色を描き出した。

しかしライブはまだまだ上昇気流を描き続ける。YUSUKE CHIBA -SNAKE ON THE BEACH-のカバー「星の少年」に続いた「最後の少年」で、サプライズゲストの登場だ。BARKSのアルバム『viraha』インタビューにて「デモを作ってる時に、コーラスは俺じゃない人がいいなと思って。浮かんだのが茂木だった」とTOSHI-LOWが語ったが、G-FREAK FACTORYの茂木洋晃がこの夜を祝福するように登場。お互いを兄弟と語る茂木とTOSHI-LOWの握手と抱擁に感動せずにはいられなかった。

さらにサプライズが続く。「WASTE」では細美武士(ELLEGARDEN / the HIATUS / MONOEYES / the LOW-ATUS)が駆けつけた。同曲の歌詞は細美武士との共作によるもの。BARKSのアルバム『viraha』インタビューでは「作品となると、自分と同じレベルで血が通ってる人じゃないと嫌で。この二人のヴォーカルに関しては、俺が好きというのもあるし、通じるものがあるし、世の中の“仲良しだよね”というレベル以上の話ができる人たち」と語っていたが、それがライブの場で再現されるシーンに客席から大きな歓声が上がった。

最高潮を迎えた<tour viraha final>。ラストナンバーを前にTOSHI-LOWが想いを語った。

「30周年、よく考えたら一昨年からやってる。横浜の全曲ライブ<六梵全書>をやって、去年<尽未来祭>をやらせてもらって。そして今日、ファイナル。満員御礼。チケットが全部売り切れるのが昨日の真夜中、ほぼ今日。キャパ設定ピッタリってことじゃん(笑)」と会場の笑いを誘って言葉を続けた。

「“MCしねえほうが好きだったよ”みたいなことを言われるんだけど、MCしなかっただけだよ。俺はバンドを始めたガキの頃から、ずっと反戦反核。なぜなら俺たちは、そういう先輩バンドたちを見て、そういうバンドに憧れて、ここに立ってる」という発言は、日本のパンクシーンに脈々と受け継がれてきたレベルミュージックとしての精神と、アーティストとしての誠実なスタンスを端的に表した重い言葉でもある。TOSHI-LOWは3.11以降、ブレない芯を、あえて言葉にして手渡してきた。そして、結成30周年記念プロジェクトグランドファイナルに相応しい言葉を続けた。

「レコ発の長いツアーはいつも“早く終わればいい”と思っていたのに、30年やって初めてツアーが終わらなければいい。みんなでまだ旅をしていたい。去年のツアー、ウチのスタッフのそいつは、闘病しながら手伝いに来ていた。“せめて<尽未来祭>まで”って言っていたのに、間に合わず逝っちまって。一人ではたぶん耐えらんなかった。こんだけバンドを続けて来れて、ひとつ言えることは、俺達が…というよりは俺がとっても運がいい。ほとんど変わらないメンバーと全国を旅しながら、こんなにワガママでも一緒に働いてくれるスタッフ、仲間がいて。ファイナルだって言ったら、忙しいだろうに飛び込んでコーラスしてくれる仲間がいて。俺は誰よりも恵まれている。ただ、これからも俺は歌うでしょう。世の中への怒りを、愛する人を失う悲しみを、病気の辛さを、そして逃れられない死っていうそのことを、これからも歌い続けるでしょう。それでも、決断していちいち考えて前へ進んでいきます。永遠に終わらない旅だっていうのもわかってる。それでも俺たちは最後までゴールを目指す。俺の人生の最後のゴールを切る、そのゴールのテープの向こう側に先にいったあの人もあいつも、全員並んでてくれる。「俺たちがいなくなった後の人生はどうだった? お前の人生どうだったのか?」って聞かれる。そのとき俺はこう言うよ、順風満帆!」──TOSHI-LOW

TOSHI-LOW一流のユーモアを交えながらの感動的なMCを経て、<tour viraha final>を締めくくる曲は、アルバム『viraha』のオープニングを飾る「順風満帆」だ。振り返れば、横浜BUNTAIの全曲ライブ(その最後に同曲MV初披露)も、<尽未来祭>最終日も、BRAHMANは「順風満帆」で締め括った。“逆風張帆 順風満帆”と綴る同曲は、失敗も成功も、幸福も不幸も、すべてが表裏一体であることを歌ったもの。この世の乱調の中で、メンバーがいること、命があることへ感謝し、困難な状況を乗りこなし、自らの力へと変えていく生き方、その先に進む意志が込められているように感じた。生命力溢れるサウンドをもって8000人の心を鷲掴みにし、グランドファイナル<tour viraha final>は盛大に幕を閉じたのであった。

最後に両手を挙げ、満面の笑顔を浮かべるTOSHI-LOW、KOHKI、MAKOTO、RONZI。メンバー4人がステージ袖に消えた後、スクリーンにはツアーに関わったスタッフや関係者、ツアー日程(対バンのクレジットも)が流れ、まるで1本の映画を見終えたかのような充実感。万感の思いがこみ上げる素晴らしいシーンとなった。だが、そう思えたのはエンドロールだけではない。

<tour viraha final>の始まりはアルバム『viraha』収録曲の「charon」だった。この曲名はギリシャ神話に出てくる死者の魂を舟に載せて冥府へ運んだ人物のこと。歌詞はこの世を去った仲間に向けられている。この日披露されたチバユウスケとモーターヘッド(※開演前後に同バンドの楽曲をBGMとしても使用)のカバーは言うに及ばず、TOSHI-LOWのMCにもあったように身近なスタッフの逝去など、30年バンドを続けていれば人の死と直面せざるを得ない。それこそ、アルバム名の『viraha』はヒンディー語で“離れたことで初めて気づく相手の大切さ”という意を持つ。大切な仲間を失い、大切な仲間に囲まれながら、BRAHMANは今、心の空白をストレートに表現し、その空白を補って余りあるエネルギーを放出している。陰と陽が織りなすサウンドのドラマ性のリアルは、前例のない領域に到達していると言える。30年という道のりを昇華したハッピーエンドの映画、これ以上に最高のものがあるだろうか。

取材・文◎荒金良介
撮影◎三吉ツカサ (Showcase)

 

■<tour viraha final>2026年5月15日(金)@東京 GARDEN THEATER セットリスト
SE: Molih ta, majcho i molih
01.charon
02.賽の河原
03.恒星天
04.雷同
05.BASIS
06.春を待つ人
07.SURVIVOR’S GUILT
08.SEE OFF
09.GOIN’ DOWN
10.最終章
11.Slow Dance
12.A WHITE DEEP MORNING
13.PLASTIC SMILE
14.CHERRIES WERE MADE FOR EATING
15.BOX
16.BEYOND THE MOUNTAIN
17.知らぬ存ぜぬ
18.Ace Of Spades
19.笛吹かぬとも踊る
20.空谷の跫音
21.鼎の問
22.ARRIVAL TIME
23.ANSWER FOR…
24.今夜
25.星の少年
26.最後の少年
27.WASTE
28.順風満帆

 

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