【俺の楽器・私の愛機】2033「親子3代~100年の歴史を繋ぐ古民家ギター」

2026.05.27 10:23

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【Provision Guitar】(山口県下関市 パブロ・ギルベルト 48歳)

三年前、我が旧家を解体しました。子供は3人。全員男の子。全員本気で野球。当時住んでいたアパートも手狭となっており、このままでは生活が立ち行かない…と実家を建て替える事にしたためです。

旧家は築80年のいわゆる古民家。尊敬する祖父が建てたその建物は宮大工の手によるもの。壊してしまうにはあまりに偲びないとは思いつつ、そこは家族優先と割り切るしかありませんでした。

ところがそれに異を唱えたのは、地元下関の後輩であり様々な著名アーティストのバックを務めるベーシスト“多田尚人”です。古民家をこよなく愛する彼は断固として解体に反対…とはいえ我が家の事情を汲むと致し方なく。そんな彼から折衷案が持ちかけられました。

『解体した材木でギターを作りませんか?』

ありがたい事に山口県には尚人がエンドース契約を結んでいる老舗ギター工房『Provision Guitar』があり、オーダーするのであれば紹介してくれるとのこと。

親子3代の歴史を繋ぐのに、これは実に壮大な構想であるな…と私も気持ちが昂り、この尚人の提案に乗ることにしました。

解体業者にも協力を仰ぎ、厳選した材木をProvisionへ持ち込みました。(従来、材木の持ち込みはNGということですが、今回は私の強い思いを汲んでくださり、ご対応いただきました)

まずは持ち込んだ材木たちを製材に回し、それらがギターへと生まれ変わる事が出来るのか、そのポテンシャルをはかることに。

数カ月の時を経て、梁→ボディ(バック材)、天井板→トップ材として使用可能との結論を得ました。その他にも何種類か持ち込んだ材木たちは、ギターという楽器として耐え得る強度を有していないということで、使用不可とのお断りが。最終的にネックはProvisionより支給していただくことになりました。

今の私にとってシンプルかつ理想的、実践的な究極の仕様にて正式オーダー。そこから2年の時が流れることになります。

新居も竣工し2年半。リハーサルスタジオを併設した我が家に、旧家の歴史がギターという形になって戻ってきました。

客用の表玄関には旧家より欄間や飾り棚、床柱等の数々を移設しており、まずはそれらとの再会。その素晴らしい仕上がりにはただただ感動するばかり。

トップ材の飴色に輝く艶と美しき杢目。バック材に刻まれた木目と滲むシミは歴史の重みを感じさせます。

楽器としての性能も最高。初めて手にした瞬間からまるで長いこと共に過ごしてきたかのように違和感なく手に吸い付く感覚(ちなみにネックは私が18歳の頃から愛用しているIbanezの96年製J’customのそれをトレースしてもらっています)。サウンドもナチュラルで歪みがスムーズに溶け込む感覚…ハードに歪みを纏いながらもクリーンな音像。

全てにおいて最上級の満足感。芸術品といっても過言ではない、我が家100年の歴史を継承するに値する、極上の1本となりました。

あまりにも素晴らしすぎて、このギターをライブで演奏したりで持ち出すことが出来るのか…ずっと飾って愛でていたい…それだけが心配です。

   ◆   ◆   ◆

これは凄い。ロマンが笑顔でこんにちわしとるよ。何代もの人生をギュッと抱きしめたようなファンタジーやん。「古民家ギター」というタイトルの言葉を見て、廃材でギターを作ったドキュメンタリー映画『カーマイン・ストリート・ギター』を思い起こしましたが、そこで見るような傷や汚れを前面に推し出すのではなく、ギターという新たな生命に完全転生させる清き息吹を感じさせるギターになっているところに感動を覚えました。新築家屋にフィットする清き仕上がりであることも重要なポイントだったのですね。Provisionも男気溢れる対応で素晴らしき。てか、家の中にスタジオがあるなんてユートビアじゃん。(BARKS 烏丸哲也)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。
(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
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