【ライブレポート】Myuk、東名阪ツアー<Myuk Anniversary Concert Tour 2026>閉幕。「6周年、7周年、10周年を目指して進んでいこうと思います」

Myukが、3月29日に東京・Zepp Diver City Tokyoにて、キャリア史上代最規模となる東名阪ライブツアー<Myuk Anniversary Concert Tour 2026>のファイナル公演をを開催した。あわせて、追加公演<Myuk Anniversary Concert Tour 2026~Extra Edition~>の兵庫・宮城・神奈川でのライブも決定した。
中学生の頃からアコースティックギターの弾き語りを基調にしたシンガーソングライターとして活動してきた“熊川みゆ”は、2020年に自身のシンガーとしての可能性を広げるべく、ボカロPをはじめとする様々な音楽クリエイターとの共作を軸にした音楽プロジェクト“Myuk”を始動。2021年3月にTVアニメ『約束のネバーランド 第2期』エンディングテーマに起用された1stシングル「魔法」でメジャーデビューを果たした彼女は、2025年6月には、ボカロP・Guianoとの4作目のコラボレーションにして、TVアニメ「ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される」のエンディングテーマとなった「マリー」を軸にした東名阪ライブツアー<Myuk Live Tour 2025 Message from “Marie”>を開催。MCではなく、Myukの朗読によってストーリーが展開していくコンセプチュアルなライブとなっていた。

そして、約9カ月ぶりとなる本ツアーは3月21日に愛知・DIAMOND HALL、3月22日に大阪・なんばHatch、そして、3月29日の東京・Zepp Diver Cityの3カ所で開催された。2025年12月にはMyukとしては初となる、熊川みゆ時代からは実に4年ぶりに本人が顔出しで出演したMV「雪唄 -yukiuta-」を公開したことも関係していたのだろう。これまではMyukの世界観に没入させるストーリー仕立ての構成がメインだったが、今回は音楽で紡ぐ物語性はそのままに、これまでの活動を振り返りつつ、観客と一緒にライブを楽しむという新たな要素も加えたステージとなっていた。
バンドメンバーは大久保友裕(G)、山口寛雄(B)、西野恵未(Key)、the peggies・大貫みく(Dr)という前回と同じ面々。開演時間を迎えると、まずバンドメンバーがステージ上にスタンバイし、インスタのリールで1000万再生を突破しているGuiano提供の「Arcana」のアンビエントなインストがSEで流された。続いて、Myukがステージに上がると、SEが止まり、「Arcana」の〈旅の話をしよう〉という冒頭のフレーズをアカペラで歌い始めた。幼少期から歌っていたという彼女のルーツである民謡の唱法を盛り込んだ歌声に勢いよくバンドが加わっていくと、観客は総立ちとなって手拍子を鳴らし始めた。

続く、Guiano作の「愛の唄」では、ダンスビートによって観客のテンションが一気に引き上げられる中で、Myukは観客に向かって、<空いた穴を埋めようぜ>と呼びかけ、前回の “旅”から今回の “空いた穴”へとテーマを緩やかに移行。さらに、ササノマリイ(ねこボーロ)による「encore bremen」で、旅の途中で空を見上げて、ここには居ない君に思いを馳せると、tofubeatsがプロデュースした「Gift」、トラックメイカーでプロデューサーのShin Sakiuraを迎えたラブソング「あふれる」と続けることで、メジャーデビューからの5年間で果たしてきた他者との共同制作の成果をダイレクトに見せつけた。
最初のMCでは「今日、この時間だけは、お仕事や学校のこと、普段のいろんなことを全部忘れて、頭の中を空っぽにして、私の歌と演奏と、二度とない空間の響きに耳を傾けて。一瞬一瞬を全力で味わうように、自由に楽しんでください」と挨拶すると、観客からは大きな拍手と歓声が上がった。そして、「私の一番最初の始まりの1曲。もう会えなくなった大切な人や家族、夢で会えたら、どんな言葉をかけようかなと思い浮かべながら聴いてください」という言葉から、2018年11月に熊川みゆ名義で初めて配信リリースされた「あの日夢を」へ。ルームランプのような淡い光の中で声を響かせた後、フロアの天井に吊るされたミラーボールに光が集まり、「人は死んだらどうなると思う?」というナレーションが流れ、今年2月にリリースした2枚目のアルバム『Celesta』の世界へと突入していった。

MCがわりのナレーションが教えてくれるのは視点の変化だ。最初のナレーションでは星を眺めていた主人公の体がふわりと宙に浮き、やがて空に同化していく様が描かれた。アコギを置き、ハンドマイクでワルツを踊るように歌ったアルバムのタイトル曲「celeste」、メジャーデビューシングル「魔法」では星が煌めく夜空の全体像を見せた。2つ目のナレーションでは空から地上を見ると、見覚えのある人影を見つけ、それが自分自身であることに気づく。ステージ前方に踏み出し、拳を力強く握りながら、〈大丈夫、ちゃんと生きていける〉と歌いかけた人生讃歌「じゅもんを唱える」。観客一人一人を見つめながら、真っ直ぐに手を伸ばして、<もう大丈夫だから>と繰り返す「シオン」。そして、〈ただ君のそばにいたい〉と願い、遠く離れた場所にいても、〈これからもずっと色付けていく〉と約束し、〈もうひとりじゃないよ〉というフレーズを観客と共有した「ひとりじゃないよ」。明日を生きる意味や勇気を与えてくれるメッセージソングを続けた彼女の歌声は観客の心にまっすぐに飛び込み、ステージと観客の距離をグッと縮める時間となっていた。
3つ目のナレーションではまだ、天から地上にいる私を俯瞰で見ている様子が知らされ、その視点はさらにズームインしていき、内面を深く掘り下げていく。「まだダメだ。もっと上を目指さないと/どうして何者かになりたいと思ってしまうんだろう」という言葉に導かれた攻撃的なロックナンバー「フェイクファーワルツ」では他者への嫉妬や羨望といったマイナスの感情に苦しめられるが、はぐれ者に捧げるアコースティックなダンスポップ「Black Sheep」では、Myukもバンドも観客も自然と体を弾ませ、〈WOW WOW〉のシンガロングも沸き起こるなど、場内が心地いい一体感で包まれた。

そして、4つ目のナレーションで「何者にもならなくていい。人と比べなくていい。何色かに染まらなくていい」と気づき、過去を振り返りながらも、今、現在にしっかりと足をおろし、未来を見据えている「グライド」「まるまる」で沸き起こったクラップや合唱再で再び会場を1つにすると、異国情緒漂うメロディがドラマティックに広がる「マリー」では観客に〈忘れないで/あなたは美しい〉というフレーズを送った。
最後となる5つ目のナレーションでは「人は死んだらどうなると思う?」という最初の問いかけに、数億年前の光を届けている星たちが「今の君の輝きも誰かの道標になるんだ」と答えた。そして、熊川みゆ時代の2020年にリリースしたフォークロック「わたしね、」で、悩んだり、迷ったり、寂しくなったり、〈大丈夫?〉と言い合いながら手を取り合って歩いていこうと約束し、約2年ぶりの自作曲ながらもこの冬にSNSでバズを巻きこした最新シングル「雪唄-yukiuta-」で“これまで”と“これから”を鮮やかに繋いで本編を締め括った。
桜の花びらが舞うような映像と照明をバックに歌った「Sakura」でアンコールを始めたMyukは、6歳で日本民謡をはじめ、10代の頃から夢だったというZeppのステージに立てた喜びと地元の熊本で支えてくれている家族や友達、スタッフ、関係者、バンドメンバー、ファンへの感謝を涙ながらに伝えた。さらに、お客さんが少なかったという10代の頃を振り返りながら、「自分の歌が誰か一人にでも役に立てばいいなと思って歌ってきて。今日、こんなにたくさんのみなさんがいてくれて、一緒に歌ってくれて、こんなに幸せなことはありません。今日まで歌を続けてきて良かったと心から思います」と感慨深く語ると、会場からは温かい拍手が送られた。
さらに、今回は2ndアルバム『Celeste』を引っ提げたツアーであることに触れ、「天空や空色、空っぽを掲げています。私はこの5年間、空っぽの心と向き合うことがありました。空をぼうっと見上げながら、空っぽも同じ漢字を使うなと思って。空っぽな自分は、何もないとか、無力感とか、ネガティブな言葉で捉えられることもあると思うんですけど。裏を返せば、空のように果てしなくて、まっさらで、無限で何にでもなれる、そんな美しい状態なんじゃないかと思えるようになりました。空っぽの心に気づけたことが意義があって、始まりなんだっていう願いを込めたタイトルになってます。空っぽの心がくれた出会いがたくさんありました。空っぽの心はそう悪いことじゃないと強く思います」と胸を張った。

そして、「6周年、7周年、10周年を目指して進んでいこうと思います。これからもMyukと旅を続けてくださると嬉しいです」と未来に対する決意を口にし、「月に還ってしまったかぐや姫を一途に思い続ける恋心を歌った曲です」という言葉から、この一番大きいクラップと声が湧き上がった「花はかぐや」で月の映像が浮かぶステージから銀テープが華やかに舞う中でライブはエンディングを迎えた。少し蛇足ではあるが、秋の季語である“灯籠”が登場する「わしたしね、」から、冬の「雪唄」、春の「Sakura」、春夏秋冬の風景を盛り込んだ「花はかぐや」と四季をめぐる楽曲で締め括ったのも彼女らしい。そんな音楽で物語を紡ぐストーリーテラーとしての才能だけでなく、シンガーソングライターやライブパフォーマーとしての魅力も最大限に発揮するようになったMyuk。この先の更なるステップアップにつながる、まさに気づきの多い、意義深いツアーになったと思う。
文◎永堀アツオ
写真◎河本悠貴
◾️<Myuk Anniversary Concert Tour 2026~Extra Edition~>
▼福岡
2026年5月18日(月)福岡INSA
OPEN 18:30 / START 19:00
全自由 ¥5,500-(税込/ドリンク代別)
INFO:キョードー西日本 TEL:0570-09-2424
https://www.kyodo-west.co.jp/
▼北海道
2026年5月23日(土)札幌近松
OPEN 18:00/ START 18:30
全自由¥5,500-(税込/ドリンク代別)
INFO:SMASH EAST TEL:011-261-5569
http://www.smash-east.com/
▼台湾
OFF TIME presents:Myuk Live in Taipei 2026
2026年5月16日(土)
台湾 SUB
18:00 OPEN/ 19:00 START
愛心票NT 1000/ 一般預售NT 1,700 / 現場NT1900
▼チケット
全席指定 ¥5,500-(税込 / ドリンク代別)
※年齢制限:未就学児童の入場はお断りいたします。(小学生以上入場可、ご入場される全ての方にチケット必要となります)
<Myukオフィシャル ファンクラブ「Secret Hz」先行 【抽選受付】>
2026年4月8日(水)18:00~4月12日(日)23:59
https://yodel-app.com/myuk/
<オフィシャルHP先行 【抽選受付>
2026年4月13日(月)18:00~4月26日(日)23:59
https://l-tike.com/myuk/
▼MyukオフィシャルFC ”Secret Hz”
Myukの最新情報やオフショット、ここでしか見られないスペシャルコンテンツをお届け
https://yodel-app.com/myuk/
◾️2ndアルバム『Celeste』


2026年2月4日(水)CD&デジタルリリース
サブスク予約リンク:https://myuk.lnk.to/EMibEA
CD予約リンク:https://myuk.lnk.to/Rkd5Ui
特設サイト:https://www.myuk-celeste.com/
▼通常盤(CD only)
¥3,500(税込)
デジパック初回仕様
▼完全生産限定盤(CD+BD)
¥7,000(税込)
三方背デジパック仕様
BDにて 「Myuk Live Tour 2025 Message from “Marie”」
2025.6.7(Sat)@東京 Shibuya WWW X ライブ映像 を収録
▼収録曲(通常盤 / 完全盤 / 配信 共通)
M1.雪唄 – yukiuta Prod by Myuk ※新曲
M2.まるまる Prod by 大橋ちっぽけ ※新曲
M3.Sakura Prod by 山口寛雄
M4.BlackSheep Prod by Guiano
M5.マリー Prod by Guiano
M6.じゅもんを唱える Prod by センチミリメンタル ※新曲
M7.花はかぐや Prod by ナツノセ
M8.グライド Prod by knoak
M9.Celeste Prod by Suiet ※新曲
▼2ndアルバム『Celeste』 Myuk本人によるコンセプトメッセージ
心に空っぽを感じることがあった。
「この手には何にも無い、何者にもなれない」
そんな無力さ。
この5年、歌を通して出逢えた色がそんな空っぽに意味を与えてくれた。
茜、群青、黄金色、漆黒、
四季折々の美しさ。
自分の空っぽを知れたから自分だけの空色を描ける。
それは0であり、無限であるということ。
空っぽも、きっとそう悪くはない。
悲しみも喜びも、音の中で頷き合えますように。
あなたと紡いできたMyukの5年間を詰め込みました。
虚っぽな空色 「Celeste」
あなたのそばにありますように。




