【ライブレポート】須田景凪、約1年ぶり東京ワンマンで描き出した一筋の光と確かな希望

「“GLIMMER”という言葉には『一筋の光』とか『兆し』という意味があります。生きる中で、うまく行かない日だとか、自分が何者なのかわからなくなる日とかあると思うんですけども、それでも今日という夜の中で、ほんの少しでも前に進めるような小さな光を、ここにいる全員で作っていけたらと思っています」……ツアータイトル“GLIMMER”について、ライブ序盤のMCで須田景凪自身がオーディエンスに語りかける頃には、満場のKanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)はすでにクライマックス級の熱気に包まれていた。
3月15日 大阪・NHK大阪ホール、3月29日 東京・Kanadevia Hallの2会場にて開催された、須田景凪の東阪ツアー<須田景凪 TOUR 2026 “GLIMMER”>。そのツアー最終日にして、昨年4月の日比谷野外大音楽堂公演以来となる東京でのワンマンライブとなったKanadevia Hall公演では、代表曲からレア曲、ボカロP・バルーン時代からの人気楽曲、さらには4月1日配信リリースの新曲「ニーナ」まで幅広く披露。広大なホールの空間が弾けんばかりの高揚感に終始包まれた、最高の一夜だった。

舞台中央の一段高い場所に飾られたフラワーアートが、開演前から目を引いていたKanadevia Hallのステージに、サポートメンバー=竹内亮太郎(G)・モチヅキヤスノリ(Key)・奥田一馬(B)・箱木駿(Dr)がいち早く登場してセッションを繰り広げる。4人のアンサンブルが高まり、音が止むと同時に中央にスポットライトが当たると、先ほどフラワーアートがあった場所に須田景凪の姿が! そんなドラマチックな幕開けの展開から「veil」に流れ込むと、アリーナからスタンド3階席まで見渡す限りのクラップの渦が巻き起こっていく。
「“GLIMMER”東京、楽しみにしておりました! ここにいる全員で、最高の日にしましょう!」と呼びかけてギターを構えた須田は、「メーベル」「雨とペトラ」とバルーンの楽曲を立て続けに響かせ、この日を待ちわびた観客を歓喜の頂へと導いてみせる。「今日、すごい囲まれてるなあっていう感じがします。2階の方も、3階の方も、よろしくお願いします!」と感慨深げに客席を見渡した後、バルーン楽曲「花に風」から「バグアウト」、さらに「ラブシック」のワイルド&ポップな音像を繰り広げると、場内のクラップはなおも熱を帯びていく。

ライブ中盤、「『そういえば、あの曲とかあの曲とか……自分で気に入っているけれど、最近できてないな』っていう曲をいくつか見つけました。俺自身、大切で気に入っている、いい曲なので。懐かしい曲をやらせてください」という須田の言葉に続けて、「MOIL」(2nd EP『porte』/2019年)のイントロが流れると、会場に驚きと喜びの声が広がる。そこからインディーズ時代のフルアルバム『Quote』(2018年)の「シックハウス」と「idid」、1st EP『teeter』(2019年)の「パレイドリア」へ──といった具合に、須田景凪名義での活動初期のナンバーを披露、Kanadevia Hallの没入感と一体感を刻一刻と高めていった。
「俺の中の春のイメージって、憂鬱というか、少し浮遊感がある、そんな季節で。手放しでハッピーに喜べない……それでも自分にとっては大切な季節なんですけど」という須田の春のイメージを重ねた「はるどなり」では、舞台上のキャンドルの灯りと星空の如くライトが、須田の紡ぐメロディを美しく彩り、壮麗なポップシンフォニーを描き出した「ミラージュ」では、レーザービームと光の明滅が《憎たらしいこの心だけ愛してやろうぜ》というリリックと美しく共鳴していた。

「歌ってくれますか東京! 希望の歌です」という須田のコールに応えて「メロウ」では一面のシンガロングが湧き起こり、「ここから後半戦、盛り上がっていきましょう!」と流れ込んだ「ミーム」での熱狂ぶりを「まだまだ暴れ足りないんじゃないですか? 本気見せてもらっていいですか!」と煽りながら、「レド」「ユーエンミー」を連射、客席一丸の熱い歌声を響かせてみせた。「ヤバい、熱気が! なんか……いい夜ですね」と満足げに語る須田の佇まいからも、この日のアクトの手応えが窺える。
「改めて最近、音楽っていうものが不思議だなと思うことが増えたんですよね。衣食住みたいに、人間の生命活動に必ずしも必要なものでもないけど──我々にとっての音楽って、人生のかけがえのない一筋の光だと俺は思っていて。その光を、どれだけ大きいものにできるのか、って考えています。どれかひとつでもいいんで、ここにいるあなたのかけがえのない、大切なものになってくれたらと思っています」……そんな言葉を体現するかのように、「ダーリン」では熱烈なコール&レスポンスが響き渡り、須田の“今”を物語る本編最後の2曲「ラストルック」「リベラ」で圧巻の多幸感を生み出していった。

アンコールでは、須田が話し始める前に客席から「新曲やって!」の声が上がり、「新曲持ってきました!……言わせてよ、俺から(笑)」という須田の返しに場内が沸き返る。「俺は『誰かを嫌いになった自分自身』が嫌になる、みたいな面倒臭い人間で。それってすごく傲慢だなっていうか、馬鹿馬鹿しいなって思うんですよ。何年生きても変わらない自分を認めて生きていくしかないし、日々すごい速さで移り変わっていく感情とか価値観を認めて、受け入れて共に生きていきたいなって」──そんな最近の須田自身のテーマを託したという新曲「ニーナ」は、春風のように爽快に吹き抜けるサウンドスケープの中で《君は春の風 言葉を捨てて/君は夏の雨 嵐を待った》という鮮やかなイメージと《醜い心も私がきっと愛していたい》というシリアスなフレーズがコントラストを描く、須田の最進化形を印象付ける名曲だった。
ここでさらに、次回の東京ワンマンライブが9月19日(土)、自身初のライブ会場となるSGC HALL ARIAKEで開催されることが須田から発表されると、場内の熱気はなおも高まりを見せていく。「こんなにめちゃくちゃ人いてくれてるのに、今日よりもでかいんですって、場所が。今日より大きいということは、今日よりもすごいことができるっていうことですから!」……そんな言葉に膨れ上がる須田景凪の「これから」への期待感を、バルーンのマスターピース「シャルル」では熱いシンガロングへと昇華し、この日ラストの「エイプリル」では春の陽気と響き合わせてみせた。

「本当に、心から幸せな時間でした。また、たくさん音楽を作って帰ってきますので。また生きて会いましょう」。そう語る須田の姿に、惜しみない拍手喝采が降り注ぐ。歌と言葉への真摯な想いが、ライブアーティストとしての肉体性と高次元で融合した名演だった。
5月には須田景凪初のアジア単独公演として、<須田景凪 TOUR 2026 “GLIMMER” in ソウル>(5月23日/ソウル・ROLLING HALL)、<須田景凪 TOUR 2026 “GLIMMER” in 台北>(5月30日/台北・LEGACY TAIPEI)の開催が決定している。なお、9月19日(土)のSGC HALL ARIAKE公演<須田景凪 HALL LIVE 2026>の公演タイトルは後日発表される。なおチケットは須田の公式アプリ「yawn」にて4月8日(水)23時59分までプレミアム会員先行受付中。
さらに、<須田景凪 TOUR 2026 “GLIMMER”>のオフィシャルグッズ事後通販も4月12日(日)まで受付中となっている。

文◎高橋智樹
写真◎藤井拓
セットリスト
プレイリスト:https://keinasuda.lnk.to/GLIMMER
M1. veil
M2. メーベル
M3. 雨とペトラ
M4. 花に風
M5. バグアウト
M6. ラブシック
M7. MOIL
M8. シックハウス
M9. idid
M10. パレイドリア
M11. はるどなり
M12. ミラージュ
M13. メロウ
M14. ミーム
M15. レド
M16. ユーエンミー
M17. ダーリン
M18. ラストルック
M19. リベラ
EN1. ニーナ
EN2. シャルル
EN3. エイプリル
■<須田景凪 HALL LIVE 2026 >
2026年9月19日(土) SGC HALL ARIAKE
OPEN17:00 / START:18:00
チケット:¥8,800 (全席指定席)
問い合わせ:SOGO TOKYO 03-3405-9999 (月~土12:00~13:00 / 16:00~19:00 ※日曜・祝日を除く)
須田景凪 公式アプリ「yawn」プレミアム会員先行
期間:2026年3月29日(日) 21:00 – 2025年4月8日(水) 23:59
Official HP:https://www.tabloid0120.com/
◾️「ニーナ」
2026.4.1 Digital Release
Streaming & Download:https://keinasuda.lnk.to/Nina
作詞・作曲:須田景凪
編曲:久保田真悟(Jazzin’ park)
dアニメストア CMタイアップソング

◾️ライブ情報
<須田景凪 TOUR 2026 “GLIMMER” in ソウル>
2026年5月23日(土)
ソウル・ROLLING HALL
OPEN 17:20 / START 18:00
チケット 99,000ウォン(オールスタンディング)
主催 AMUSE ENTERTAINMENT
<須田景凪 TOUR 2026 “GLIMMER ” in 台北>
2026年05月30日(土)
台北・LEGACY TAIPEI
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット $2700 NTD (オールスタンディング)
主催:Amuse Taiwan







