【インタビュー】michi.、2026年の濃厚なソロ活動、ALICE IN MENSWEARとMASCHERAの再生、KOJI追悼イベントを語る「絶対不可能だと思っていた」

2026年、michi.の活動が精力的で意欲的だ。現在発表されているすべての公演が重く大きな意味を持つ。ALICE IN MENSWEARとMASCHERAの再生、そしてLa’cryma ChristiとAlvinoとのジョイントイベントなど、想像を超えた領域に突入していると言ってもいい。
まず、KOJIの誕生日である4月12日に東京・豊洲PITで、KOJI追悼イベント<KOJI Memorial & Birthday Live 2026 〜Eternal Blue〜>と銘打ち、KOJIが在籍したLa’cryma Christi、Alvino、ALICE IN MENSWEARが集結。ジョイントイベントを開催する。
4月25日に東京・赤羽Reny alphaで開催されるmichi.のワンマンライブでは、KOJIの息子さんであるKAZUKIをゲストギタリストに迎え、ALICE IN MENSWEAR名義の新曲が披露されることも明らかとなっている。
さらに8月1日には同会場で、MASCHERAとALICE IN MENSWEARのツーマン公演を開催するほか、年内中にmichi.ソロ名義として初のフルアルバムをリリースすることもアナウンスされるなど、フルスロットルで日々を駆け抜けていきそうな勢いだ。
かけがえのない相棒だったギタリストKOJIを失い、悲しみに呑み込まれそうになりながらも、KOJIの作ったALICE IN MENSWEARの楽曲を歌い継いでいきたいという一心で、michi.はライブ活動を続けてきた。ファンに支えられながら、2025年には満を持してmichi.ソロ名義の新曲を発表。「音楽を生み出すエネルギーが自身の中から湧き上がってきた時に、様々なことが新しい風が吹くように動き出していった」と振り返ったmichi.は、「新たな扉を次々に開いていきたい」と、このインタビューで語っている。BARKSでは怒涛の2026年、新曲誕生エピソード、そして偽りない今の心境に迫った。

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■果たせなかったKOJIとの約束
■ソロ1作目ではそれを成し遂げた
──2026年、発表されたmichi.さんの活動内容が濃厚です。その前に昨年を振り返りたいのですが、2025年はmichi.ソロ名義による初の楽曲をライヴで発表しました。新たな一歩を踏み出した1年だったと思います。michi.ソロ名義による始動ライヴは2023年1月のことで、当初はMASCHERA、S.Q.F、ALICE IN MENSWEARのセルフカバー曲でライヴのセットリストを構成していましたが、michi.名義の新曲制作にじっくり時間をかけたかったんでしょうか?
michi.:今だからこそ言えることなんですが、KOJIが他界(2022年4月)して以降、メンタル的に弱っていた時期があったんです。実際ドクターストップもかかっていました。でも活動を休止するわけにはいかないと思いながらも、やはり身体も心も動かすのが辛い状況が続いていて、新しい曲を作るパワーが自分の中から溢れ出てこなかった。それでもKOJIが作った曲を歌い継ぐという意志があったので、ALICE IN MENSWEARの曲だけではなく、S.Q.F時代やMASCHERA時代の楽曲についても考えるようになったんです。
──「KOJIが作った曲を歌い継ぐ」というお気持ちは、以前のBARKSインタビューでもおしゃってました。
michi.:はい。過去のバンドの曲を封印されるアーティストもいらっしゃる中、僕自身もそういうところがあったんですが、“活動は止めたくない。KOJIの作った曲は歌い続けていきたい”と思った時に自分の中で枷のようなものが外れたんです。“だったら、MASCHERAのTAKUYAやHIROやTOMOが書いてくれた曲、S.Q.Fの(菅)大助さんはじめ歴代メンバーやサポートメンバーが書いてくれた曲もライヴで歌っていこう。そうすることによってリハビリも兼ねた意味で活動を続けていけるんじゃないか”と思ったんです。自分に鞭打って頑張っていた面はありましたね。
──自らを奮い立たせる必要があったんですね。
michi.:そうなんです。とは言え、過去の楽曲をセルフカバーして歌うスタイルが受け入れられるかどうかもやってみないとわからなかったし、恐怖とまで言ったら大袈裟かもしれないですが、ファンの方々がついてきてくれるかなという不安はありました。でもいざステージに立ってみたら、それは杞憂に過ぎず、みんなが受け入れてくれて自分のメンタルも安定するようになっていったんです。居場所があるんだなって思えたことで救われた気がしたんですね。そこから徐々に創作意欲が湧いてきて、50歳という節目を迎えた時に一念発起じゃないけれど、新曲を作ってみようって。

──michi.さん自身が気持ち的に安定したのはいつ頃だったんですか?
michi.:徐々にですが、2024年の50歳記念ライヴの締めくくりの時ですね。
──2025年に入って発表した新曲は現在、michi.さんのオフィシャルYouTubeチャンネルで歌詞のテロップが入ったライヴ映像としてアップされていますが、各楽曲についてのエピソードを教えていただけますか?
michi.:もちろんです。
──まず、2025年4月の東京・赤羽ReNY alpha公演で披露された「Dance in the rabbit hole」はALICE IN MENSWEARの世界観に通じる曲ですね。
michi.:一番最初にお披露目するmichi.ソロ名義の曲として考えていました。生前のKOJIと「シャッフルの曲がほしいよね」っていう話をしていたんです。それが実現しないまま、KOJIが旅立ってしまったので、ソロ1作目は果たせなかった約束のシャッフルの曲でいこうと。
──タイトルに“rabbit hole”という言葉もありますし。
michi.:はい。曲調だけではなく、歌詞にもスチームパンクだったり、ALICE IN MENSWEARの要素を入れて、ALICE IN MENSWEARとソロの架け橋になるような曲になったらいいなと思っていました。
──この日は、michi.さんのダークサイドの真骨頂とも言える「INCUBUS」も披露されました。
michi.:この曲はS.Q.F初期のオルタナロックや洋楽を意識した楽曲とかに通じるものがあります。とは言え、懐古主義ではなく、そこからさらに進化したmichi.ソロとしての新曲にしたいなと。自分が好きなジャンルの曲を純粋に作ってみたいと思って生まれた曲ですね。
──ゴシックでオルタナティヴで突き抜けるサビが気持ちいいですよね。
michi.:「Dance in the rabbit hole」が背負ったものに真摯に向き合って作り上げた作品だとしたら、「INCUBUS」はやりたいことを衝動的にぶつけてみようと。その炸裂感がサビでうまく表現できたと思います。
──そして2025年8月のライヴ<A Midsummer Night Reign>の1曲目を飾った「バイナリ・ラブ」は、テクノポップの影響を感じさせる衣装とともに衝撃を受けました。
michi.:そうですね(笑)。僕自身、ミュージシャンになる前に様々な音楽を聴いてきたので、もちろんオルタナもメタルも好きだし、意外だと思われがちなんですが、テクノやユーロビートも好きなジャンルなんです。
──michi.さんの音楽ルーツ自体、幅広いんですね。
michi.:デッド・オア・アライヴやカルチャー・クラブとか1980年代の曲も好きなので、ニューウェイヴやユーロビートの要素を含んだ曲を作りたかったんです。ロックとダンスを融合させた「バイナリ・ラブ」をオープニングに持ってきて勝負したいという気持ちがありました。初見であってもノってもらえるだろうという自信もあったので。
──実際、ファンの方々は踊ってましたし。同日にはドラマティックな「Deeper than Darkness -漆黒の瞳-」も披露されました。
michi.:S.Q.Fのメインコンポーザーであり、michi.ソロにも参加してくれている大助さんに作っていただいた曲です。デモ段階ではもっとストレートなロックだったんですが、初めて聴いた時、曲のメロディにALICE IN MENSWEARのダークサイドテイストを感じたので、アレンジャーの方に僕からリクエストして今の形になりました。
──それでインダストリアルロックのテイストが盛り込まれているんですね。リドリー・スコット監督のSF映画『ブレードランナー』(1982年公開映画)やアニメ『攻殻機動隊』(1995年劇場用アニメ映画)にインスパイアされた「CYBER RAIN」については、いかがですか?
michi.:自分は音楽以外に映画やアニメとか、いわゆるサブカルチャー的なものにも影響を受けているので、「CYBER RAIN」は今おっしゃっていただいた作品にヒントを得ています。『攻殻機動隊』はハードボイルドな世界観ですが、『ブレードランナー』にはロマンスの要素もあるので後者に近いですね。
──『ブレードランナー』はずっと雨が降っている映像が印象的です。だからタイトルが「CYBER RAIN」なんですか?
michi.:はい。映画の中で降り続く酸性雨をイメージしています。それとこの曲は『マトリックス』(1999年公開のSFアクション映画)の影響も受けているんです。『ブレードランナー』のバックに流れる音楽はオーケストレーションが多いけれど、『マトリックス』はデジタルロックで、あの映像に絡んでも違和感がない曲を作りたかったんです。







