【ライヴレポート】Like-an-Angel、ツアー<Crash to Rise>ファイナルに現在地と未来「人に何と言われようと、やりたいことやるよ、俺たち」

2026.02.11 13:55

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Like-an-Angelが1月31日、神奈川・横浜Bay Hallにてツアー<Like-an-Angel TOUR 2025-2026 “Crash to Rise”>のファイナル公演を開催した。同ツアーは2025年12月21日の兵庫・神戸Harbor Studioからスタートし、神戸、名古屋、福岡、横浜といった4都市を回ったもの。そのファイナル公演より2nd STAGEのオフィシャルレポートをお届けしたい。

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ライヴが始まり、2時間が過ぎていた。「ありがとう、本当に」と、tetsuyaが最後の言葉を語りだす。ステージ前では、tetsuya(B)、jekyll(Vo)、reno(G)、saki(G)、hibiki(Dr)が揃っていた。tetsuyaはこう続けた。

「本能のままに生きよう。やりたいことをやろう。人に何と言われようと、やりたいことやるよ、俺たち。(だから)ついてきて」──tetsuya

客席から大きな拍手。「ついていくよ~」という声があちこちで飛ぶ。「どんどん、すごいことになるから、このバンド。皆のおかげで本当に楽しかった。ありがとう」という言葉が、この夜、ツアーファイナルの結びだった。

tetsuya(B)

横浜Bay Hallは、ライヴハウスとしては少し変わった構造だ。ステージに向かって左側にあるドリンクカウンターの上には、大きなシャンデリアが吊るされている。客席は横に広く、キャパシティ以上の解放感がある。

開演前。観客はそれぞれの立ち位置でステージを見据え、これから始まる音を待っている。開演予定時刻を少し過ぎた頃、会場が暗転。闇を切り裂くように、レーザーが走る。フロアのざわめきは次第に熱を帯びていく。興奮が足元からゆっくりと立ち上がっていくようだ。

ラウドでダンサブルなSEの中、Like-an-Angelのメンバーが順番にステージへ。最後にtetsuyaが姿を現すと歓声が一段と大きくなった。メタル的なアプローチも垣間見えたイントロから、オープニングを飾ったのは「YOU GOTTA RUN -English version-」。jekyllの「Clap!」という掛け声に、観客は頭上でクラップしレスポンスする。hibikiのドラムが疾走し、tetsuyaの包容力あるベースがバンドサウンドをまとめていく。renoとsakiは、ギターでバンドサウンドを彩っていく。jekyllが、英語でさらに楽曲にドライヴ感を出していく。サウンドがひとつになって、前へと転がっていく。

jekyll(Vo)

続く「Don’t be Afraid -English version-」ではバンドアンサンブルの厚みが増した。jekyllが後ろを向くと、hibikiが笑顔でアイコンタクト。その様子をステージ下手で見ているtetsuya。そして、ギターのrenoやsakiにも視線を向け、ステージ全体を見まわしている。イントロから大歓声が上がった「CHASE -English version-」では、tetsuyaがギターのカッティングと同じリズムでベースを刻む。

本ツアー中、SNSにポストされていた観客の反応を定期的に閲覧していたが「長年の推しの膝が目の前に!綺麗すぎて驚いた」という書き込みが印象に残った。本ツアーのある公演で、衣装にダメージデニムを着用していたtetsuya。その膝が目の前にあったこと、ライヴハウスでやってくれたことが嬉しいというポストだった。

すべてのメンバーの演奏が、至近距離で聴覚と同時に視覚化される。距離が近いということだけでなく、映像と音像がはっきり記憶に刻まれる。これが、ライヴハウスの醍醐味だ。jekyllの太い声が地を這うように伸びていく。renoはソリッドなカッティングで切り込み、sakiは音色を綺麗な糸のように繋いでいく。

reno(G)

フロアをレーザーが彩り「Spirit dreams inside -English version-」へ。カラフルな照明と対比するように、エモーショナルなパフォーマンスにフロアは全身でレスポンスする。そして「XXX -English version-」。リズムに合わせてライトが明滅する。jekyllにとって、英語詞は日本語詞に比べ、発音を意識的に管理しやすい条件にある。その分、歌唱の自由度が高く、フレーズ全体のコントロールに意識を向けやすい。この日は、ファルセットやブレスの扱いに変化が見られ、長めのトーンでもクレッシェンドを描くなど、歌唱への向き合い方が更新されているように感じられた。

続いて演奏されたのは「Angel beside yoU」。ロマンチックなメロディーと、ダイナミックなバンドサウンドが並走するミディアムチューンだ。hibiki以外の4人がステージ前に出てきて並ぶと、客席のあちこちで大きく手が上がった。tetsuyaのコーラスが力強く、ヴォーカルを支える。jekyllは全身全霊を使い、エモーショナルな歌声を響かせていく。間奏では、リズムに合わせてjekyllが身体を大きく揺らしながらリズムをとる。その様子に合わせて、観客の体も大きく揺れていた。

saki(G)

「会えて嬉しいです。寒いね」とjekyllが言った後、「抱きしめてあげようか」と少し照れながら日本語でひとこと。この言葉に、客席から黄色い声が飛んだ。その後、ゆっくりと観客にわかるように英語で「本当に来てくれて、ありがとう」と話し始めた。「このツアーでは多くの場所を回ってきた。どの公演もスペシャルだった。それは、ここにいるあなたたちのおかげ。Like-an-Angelをスタートさせた頃から、こうして今日、この場所に立てているのも、あなたたちがいてくれたから。ステージに立つたび、皆の声や笑顔、エネルギーが、いつも僕たちに新しい力をくれる、支えてくれてありがとう、Like-an-Angelと一緒に、歩んでくれてありがとう」と言った後、「今夜を忘れられない瞬間にしよう、OK?」と客席を煽り、大歓声。

その歓声の中に音の破片を落とすように次の曲のイントロが鳴った。「SHINE」へ。jekyllがtetsuyaの方に歩み寄り、肩を組むようなパフォーマンス。右肩をつかまれたtetsuyaは、少しのけぞり、jekyllと高さを合わせる。最後、tetsuyaはベースのネックを揺らして音を出し、この曲の余韻をしっかり音像として残した。

hibiki(Dr)

そして「winter fall」へ。日本語の歌詞が続く中、jekyllは母音をしっかり固定して発音し、倍音で強弱をつけていく。この曲で、jekyllは地声寄りのファルセットを繰り出していた。メロディーから離れてファルセットを置きに行くのではなく、前の音から地続きでファルセットを鳴らしていたのだ。明らかに高音域のレベルが上がっている。次の曲は、イントロが鳴った瞬間、フロアがバウンドした「HONEY」だ。イエローのライトが会場を明るく照らし出す。jekyllはフレーズ歌い出しの子音のアタックを強めに出し、語尾は言葉を放り投げるように歌う。hibikiのダイナミックなドラムが推進力となり、会場全体が前のめりになっていく。renoとsakiはお互いに異なるサウンドレイヤーを加え、楽曲の音圧と迫力をあげた。

曲が終わるとステージが薄闇に沈んだ。メンバーの名前を口々に呼ぶ観客たち。少し前まではtetsuyaの名を呼ぶ声が圧倒的に多かったが、jekyll、reno、saki、hibikiの名が歓声の中で交差している。その声を聞きながら、Like-an-Angelが、観客の中でバンドになったのだと思った。

tetsuyaが前に出て両手を使い“もっともっと!”と盛り上げ、“声を聴かせて”と、手を耳の後ろにかざす。このジェスチャーに、観客の声が一気に大きくなる。両手で歓声をまとめて受け取る……というパフォーマンスを見せたtetsuyaは、その塊を後ろにいたメンバーたちに、放り投げた。“え?”という顔を見せるメンバーたち。sakiは上半身を折って笑い転げている。このパフォーマンスを数回繰り返したtetsuya。途中から、renoが受け止めるジェスチャーまでセットになり、会場を笑顔にした。

「何もしゃべらんで、盛り上げたな」とtetsuyaの第一声に、会場がドッと笑う。「お元気? 元気ですか?」といういつもの挨拶に、客席から「元気~」の声。ここでtetsuyaが投下したのが“ドッチーモ”のネタ。懐から何か取り出そうとして、「今ドッチーモ持ってたらよかったよね」とひとこと。ドッチーモとは、1999年頃に発売された、携帯電話とPHSの機能を1台にまとめた複合端末のこと。「演奏もいいけど、LikeはMCも面白いよね。演奏もMCもドッチーモ」というところから、本ツアー中のMCでも何度か話題にのぼったそうだ。「みんな、ドッチーモ知ってる? スタッフが秋葉原まで見に行ったみたいなんだけど、見つからなかったらしい」と笑みをこぼす。さらに、“ドッチーモ!”で観客とコールアンドレスポンスしながら話は展開していく。メンバーに、ドッチーモになんか演奏つけてよとリクエスト。tetsuyaが“ドッチーモ”という語感を使ったリズムパターンを提案すると、戸惑いながらも、即興で演奏するメンバーたち。「新曲にしよう」というtetsuyaのひとことに観客もメンバーも大爆笑。「SEにしてもいいね」と、さらに面白く転がす。

観客に「僕と同じくらい(の年齢)でしょ? 知らない? 知らないんだ、僕がL’Arc-en-Cielってバンドをやってること、知らない? ご存知?」と、どんどん観客に問いかける。どっからボールが飛んでくるかわからない状態。そこを、笑いながらもしっかり「知ってる」「知らない」「ご存知」とキャッチして投げ返す客席もさすがだった。

ツアーを振り返る中、神戸でのライヴの際、ひとり京都に赴き“ブラッチング”したと話し出す。自由に転がるトーク中に、いつの間にかhibikiがステージ前方へ。jekyllはドラムの前に座っている。「TikTokに面白い切り抜き映像が上がっているんですよ」とhibikiが言えば、「僕、TikTok、一時期すごく見ていたけど、視聴時間の結果をみてアプリを消した」とtetsuya。まるで楽屋にいるような話がステージ上で繰り広げられていく。sakiが、「tetsuyaさんのMCが毎回、やんわりツボ、ずっと面白い」と話せば、「僕、何も面白いこと言っていない」とtetsuya。「ブラッチングって言葉、本当にあるんですか」と、笑いながらsakiが返す。最後は、「ごめん、この話、どう終わろうか考えていなかった」というtetsuyaのひとことに、会場は大爆笑となった。

hibikiがヴォーカルを務めるコーナーへ。jekyllからのリクエストで「winter fall」を歌うことに。「今日サングラスしてないから恥ずかしいな」と言いながら「Are you ready?」と繰り返しシャウトするhibiki。途中で「Are you fuckin’ready?」と叫び、「やりたいこと、全部やっていくんで!」とhibikiは歌詞を見ながら「winter fall」を歌唱。最後に「ありがとうございました!」と、演奏を締めるジャンプをしたが、着地のタイミングではなく、飛んだタイミングに演奏終わりの決めが合うという、滅多に見られないレアな瞬間を作り出した。

ライヴは後半へ向かう。hibikiがドラムセットの前に。jekyllはステージ中央に。jekyllが「Thank you. Thank you」と感謝の気持ちを述べる。そして英語でこう続けた。「次の曲に行く前に少し話をしたい」と言った後、「音楽はいつでも息ができる場所、正直になれる、自分のまま(ありのままの自分)でいられる場所、今夜は、このライヴが皆さんにとっても同じ場所になれたら」。この言葉に客席から拍手と歓声。

披露されたのは「賽は投げられた」。楽曲が生き物のように、一気に立ち上がっていく。hibikiはリズムの切り替わり、アクセントの位置を明確にしながら楽曲を前へ押し出し、tetsuyaのベースは中音域を滑らかに移動しながら空間を満たしていく。renoとsakiのギターは、お互いを尊重し合いながらも、それぞれの特色が出る音色で美しさを描いていく。メンバー全員が、Like-an-Angelを、演奏を、音楽を謳歌している。その気持ちが伝わってくる演奏に、観ていて心が熱くなった。

「Driver’s High」では赤いレーザーが走る。jekyllとtetsuyaが向き合う。jekyllはtetsuyaの右手のあたりを見つめながら歌い、最後にtetsuyaと目を合わすと、サビで客席へ視線を移す。renoはギターを弾きながら、ひとりずつ観客を指さし、目を合わせて笑顔を返す。この一連のパフォーマンスの流れがとても美しく、彼のギターの個性と重なった。客席の大合唱。sakiも観客と一緒に右手を上げ、歌っている。jekyllのヴォーカルは、勢いに任せることなく、言葉を届けていく。全員の安定感が、楽曲の持つ疾走感をより確かなものにしていた。

濃いブルーのライティングの中、ブルーのレーザーが空中を切り裂く。「いばらの涙」だ。重心の低いバンドアンサンブルと緊張感のある楽曲展開。客席がサウンドそのものに集中していくのがわかる。観客の反応が、この曲の持つドラマ性をより強調していると思った。観客は歓声を上げることよりも、まず音を受け止めることを選んだのだ。

アンコールでは、厳かなコーラスが流れ、メンバーが再びステージに姿を現した。繰り返されるコーラスのメロディー。Like-an-Angelの2ndシングル「Crash to Rise」だ。

イントロから“Oh〜 Oh〜”のシンガロングが起こる。この「Crash to Rise」が初披露された時にも思ったことだが、本ツアーのこの演出を見て、tetsuyaはこの曲をLike-an-Angelのアンセムソングにしようとしているのではないかと確信した。Aメロが始まる前に右手に持っていたスティックを空中に投げ、くるりと回すhibiki。reno、sakiもステージ前で、前のめりになり観客を見渡している。一歩ひいてメンバーと観客の様子をしっかり見ているのがtetsuya。

さらに「Crash to Rise」は英語詞の中に、曲のテーマとなる日本語の歌詞がワンセンテンスずつ、3回出てくる。英語と日本語、それぞれの発音構造の違いを、jekyllは身体、もっと厳密にいえば、耳と喉で知っている。だから言語が切り替わっても、音の流れが途切れることはない。むしろ、言語の差異が楽曲の肝として機能しているように感じられた。最後は“Oh〜 Oh〜”の大合唱。どこか讃美歌を彷彿させる荘厳なスケール感。観客と一緒に作り出したこのムードをLike-an-Angelは、そのまま次の曲「雪の足跡」に繋げた。

聖歌のような趣を感じる「雪の足跡」は後半、ステージが淡いピンクに染まった。一貫して、丁寧で丸みのある発音で聴かせたjekyll。続いて、優美なファルセットが特徴の「MY HEART DRAWS A DREAM」。メロディーの高低差もあるこの曲で、jekyllは低音~中低音を太く鳴らし、高音域では、地声から続くファルセットを披露。ヴォーカリストとして明確に進化していることを感じさせた。

この日、最後のMC。jekyllがマイクをとった。「今日が、ここまで来られたのは、皆のおかげです、ありがとう、支え続けてくれて、本当にありがとう」と感謝を述べた。そして、「今夜がツアーのファイナルかもしれないけれど、さよならじゃない、また必ず会おう、僕たちはLike-an-Angel。心から愛しています」と言葉にした。

jekyllが言った“僕たち”の中には、この日、横浜Bay Hallにいた観客はもちろん、各地でツアーを観に来てくれた人、そして行きたかったけどどうしても来られなかった人、そしてスタッフ、すべてが含まれていたと思う。

ラストを飾ったのは「瞳の住人」。最後、jekyllが手を左右に振りながら、観客へ一緒にというジェスチャー。観客も一緒に大きく両手を振っていた。

年末から続いたツアーのファイナルとなったこの夜。Like-an-Angelは何かを完結させたのではない。この日のステージから立ち上がってきたのは、何かを回収する感覚ではなく、Like-an-Angelというバンドが現在どこに立ち、どこへ向かおうとしているのかを、はっきりと示すエネルギーだった。

終演後。暗くなったステージに降りてきたスクリーンにて、今後の活動が発表になった。2026年、ソロ活動25周年を迎えるTETSUYA。2025年のBillboard LIVEで「音楽ばかりの毎日が楽しい、幸せ」と語っていたが、2026年には、これまで以上に音楽活動を活発化させる。

取材・文◎Aki Ito
撮影◎Tetsuya Matsuda

 

■Like-an-Angelライヴアルバム『LIVE 2025“THANK YOU”』
2026年3月10日デジタルリリース

 

■TETSUYAライヴアルバム『LIVE 2025“THANK YOU”』
2026年3月10日(火)デジタルリリース

TETSUYAシングル「何があっても」
2026年7月1日(水)リリース

■<TETSUYA 25th ANNIVERSARY LIVE>
7月11日(土) 東京 Zepp Shinjuku 

■<TETSUYA Billboard Live Tour 2026>
9月03日(木) 神奈川 Billboard Live 横浜
9月05日(土) 大阪 Billboard Live 大阪
9月12日(土) 台湾 Billboard Live 台北