【ライブレポート】UVERworld × SEKAI NO OWARI、初のツーマンが武道館で実現「かっこいい音楽にジャンルの壁なんてない。好きなようにいこう」

UVERworldとSEKAI NO OWARIによるツーマンライブ<UVERworld VS シリーズ UVERworld vs SEKAI NO OWARI>が2025年12月26日、東京・日本武道館にて開催。詰めかけた両バンド1万2千人のファンを歓喜の渦に巻き込んだ。
<VS シリーズ>とはUVERworldが主催する対バン企画のこと。これまでにもSUPER BEAVERやBiSH、Official髭男dismら、ジャンルを問わずさまざまなアーティストを招いており、その真剣勝負は毎回注目の的となっている。
当然ながら今回のSEKAI NO OWARIとのツーマンライブも開催が告知されるや大きな話題に。今年デビュー20周年のUVERworldと、来年メジャーデビュー15周年を迎えるSEKAI NO OWARI。それぞれにオンリーワンな世界観を有し、ともに日本の音楽シーンを牽引するツートップとも目されるバンドだが、意外なことに両者が同じステージに立つのは今回が初めてだという。互いのバンド名になぞらえるならば“世界”対決とも呼びたい今回の顔合わせ、はたしてどんなシナジーが生まれるのだろうか。

舞台を囲んで360度、全座席が開放され、アリーナはもちろん、2階スタンドの最後列までびっしりと埋め尽くされた客席の期待が募りに募るなか、先攻として登場したのはSEKAI NO OWARIだ。四つ打ちのビートを基軸にしたダンサブルなアッパーチューン「Death Disco」をオープナーに「RPG」「Habit」と代表曲を次々に披露して、会場をたちまち熱狂の坩堝と化してゆく。なお、この日のMCでFukaseが語ったところによればSEKAI NO OWARIが日本武道館でライブを行うのはなんと14年ぶり。「UVERworldのみなさんに呼んでいただいたおかげで武道館に帰ってくることができました」とバンドを代表して感謝を告げるFukaseに大きな拍手が注ぐ。

UVERworldのTAKUYA∞とは数年前からお互いのライブを観に行き来する仲ではありつつも、一緒に食事などはまだしたことがないというFukase。だが、このライブの翌日、ついにTAKUYA∞を自宅に招き、プライベートな打ち上げをする予定なのだと嬉しそうに明かす一幕も。さらに「俺、UVERworld大好きだから」と今日のセットリストがかなり力の入ったものであることを告白。いつになくシャウトが多めなのもUVERworldとの対バンがそうさせているらしい。すっかり汗みずくになりながらも全身全霊で届けた「Fight Music」の力強いエールにSEKAI NO OWARIファンはもちろんUVERworldファンも全力で応え、ラストの「Dragon Night」では会場一体となったシンガロングが日本武道館いっぱいに響き渡った。

多幸感に満ちた余韻も冷めやらぬままスタートした後攻・UVERworldのターン。扇情的なオープニングSEから真太郎のドラムソロと、のっけからオーディエンスの興奮を煽り、「7th Trigger」「ナノ・セカンド」「Don’t Think.Feel」と選りすぐりのアグレッシブナンバーを容赦なく叩きつけてくるのだからたまらない。
年間50本にも及ぶワンマンライブを行い、現在も全国ツアー<UVERworld 2025 WINTER TOUR “BOOM GOES THE WORLD”>を敢行中のUVERworld。前日にもこの日本武道館にて毎年恒例のクリスマスライブ<~PREMIUM LIVE on Xmas 2025~>の昼夜2公演を終えたばかりとあって、場内のボルテージを瞬時にピークへと導く手腕は圧巻の一語。

「どっちがどっちのファンとかどうでもいいんだ。かっこいい音楽にジャンルの壁なんてない。そんなものぶち壊して楽しもうぜ。好きなようにいこう」と呼びかけたTAKUYA∞の言葉が客席をますます血気盛んにする。
「SEKAI NO OWARIにしかできない音楽がある。そして、これがUVERworldにしかできない音楽」と2025年7月にリリースした最新アルバムからの楽曲に加え、未発表の新曲「Zero breakout point」をドロップするなど一貫した攻めの姿勢に呼応して天井知らずの盛り上がりを見せる場内。SEKAI NO OWARIの音楽が生み出す繊細で美しい共鳴と、個々の殻を打ち砕いてカオスを形成するUVERworldの爆発的なエネルギー、同じ一体感でもこうも違うものかと目をみはらずにいられない。それぞれのファンが互いの流儀を尊重し合い、どちらも同じように楽しんでいる光景のなんと美しいことか。これこそが対バンの醍醐味というものだろう。

「いつも通りが観たいならワンマンライブに行けばいい。でも今日は対バン。普段ならありえない二つのバンドが最高の1日にしようとしている、その想いを感じてくれ。今から数分間、世界の中心はここ武道館だ」とTAKUYA∞が宣言、突入した「IMPACT」で狂騒はクライマックスへ。
オーラスはUVERworldが数年前から奏で続け、今もいちばん大切にしている楽曲、「EN」が飾った。“忘れるな! お前の人生はお前の為のもの!”“見つけろ! お前にとっての「全て」”──全身全霊を懸けた彼らのメッセージが一人ひとりに手渡され、奮い立たせていく様がはっきりとわかる。UVERworldとSEKAI NO OWARI、それぞれの音楽が融け合って一つの大きな熱となり、灯りとなってここにいる全員の心を明るく照らしていることも。

振り返ればセッションも記念撮影もない、潔いまでに音楽のみでぶつかり合った今回の<VS シリーズ>。最後に改めてSEKAI NO OWARIに感謝を述べ、これをきっかけにさらに関係性を築いていきたい、明日のFukaseとの打ち上げも失礼のないようにビシッとしてくるよ、と意気込んでいたTAKUYA∞だが、夢の再戦もそう遠くないかもしれない。
なお、SEKAI NO OWARIは2026年夏に京セラドーム大阪、東京ドームにて<DOME TOUR 2026「THE CINEMA」>を開催予定。UVERworldは2025年12月30日・31日に<UVERworld 2025 WINTER TOUR “BOOM GOES THE WORLD”>のファイナル公演をマリンメッセ福岡A館にて開催、また、新曲「EVER」がテレ東系「ウィンタースポーツ2026」のテーマソングを務めることも決定している。両バンドのさらなる活躍に期待しつつ、再びの共演を心待ちにしていよう。

文◎本間夕子
写真◎鳥居洋介(UVERworld)、横山マサト(SEKAI NO OWARI)






