【ライブレポート】[Alexandros]、2日間計16,000人を動員した<VIP PARTY ’25>に15年前から変わらぬ闘志「ここから一緒に歴史を作っていきたい」

2025.12.19 21:00

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[Alexandros]が12月13日および14日、東京・TOYOTA ARENA TOKYOにて<[Alexandros] 15th Anniversary VIP PARTY ’25>を開催した。両日各8,000人、2日間計16,000人を動員した同公演のオフィシャルレポートに続いて、2日目12月14日のBARKSオリジナル詳細レポートをお届けしたい。

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「15周年のライブをやるんだったら、やっぱり<VIP PARTY>だろう。普段、そういうことをしないオレらが周年を謳うんだから何かを特別なことをしたい」──磯部寛之(B, Cho)

<[Alexandros]15th Anniversary VIP PARTY ’25>と題したライブの最中、磯部、そんなふうに語ったのだ。<VIP PARTY>は、[Alexandros]が改名以前の[Champagne]時代から、リリースのタイミングやバンドの節目に開催してきたファン感謝祭的なスペシャルライブだ。これまで2012年の渋谷CLUB QUATTRO、2015年の日本武道館、2018年のZOZOマリンスタジアムなど、さまざまな会場で開催され、リリースツアーとは一味違う選曲で彼らのファンを楽しませてきた。

デビュー15周年を謳って、12月13日(土)と14日(日)の2日間、TOYOTA ARENA TOKYOで開催した今回は、前掲の磯部の言葉通り<VIP PARTY>史上最もスペシャルなものとして、これから彼らのヒストリーの中で語り継がれることになるはずだ。アリーナに伸びた花道にメンバー4人がいきなり登場するというオープニングの演出からして心を踊らされたが、何がそんなにスペシャルだったのか。ここではそこに着目しながら2日目のライブをレポートしたい。

大きな見どころは3つ。まず1つ目は、クライマックスに向けてライブの流れを加速させることが多い「Kick&Spin」を、いきなり1曲目に演奏してアリーナ全体を揺らしたあと、お馴染みのSE「Burger Queen」から生の「Burger Queen」へ。そこからなだれこんだダンスロックナンバー「クソッタレな貴様らへ」以降のセットリストだ。

「レアな曲めちゃめちゃ満載です。最近([Alexandros]を)知った人、すみません! おいてけぼりにするかも。いや、楽しませます!!!!」という川上洋平(Vo, G)のMCからもセットリストのテーマは明らかだった。キャリアを重ねる中でいつしかライブでやらなくなっていった曲や、[Alexandros]が一方で持つある意味マニアックな面が濃すぎるせいか、ライブであまりやることがない曲の数々に今一度光を当てようということなのだと思う。おいてけぼりにされるどころか、そんなレアの曲の数々を歓迎するように反応を返す観客の盛り上がりがレア曲の数々の浸透度を物語る。

川上がMCで語ったところによると、セットリストを作るにあたって、なぜ、この曲をやってくれないのかというファンのクレーム、いや、リクエストに応えたいと考え、曲の人気調査を行い、「Waterdrop」「She’s Very」「FISH TACOS PARTY」などを選曲したのだそうだ。イントロに歓声が沸いた「?」「Dear Enemies」も人気曲なのだと思うが、ファンのリクエストに応えるだけじゃ、つまらないと思うところが川上洋平だ。

「そこに入っていない曲をやろうかな。いや、名誉のために言うと、入っていたけど、(やって欲しいという声が)少ない曲。みんながどうせやらないと思っている曲を連発します!」──川上洋平

そんな言葉とともに披露したのが、「Dance With the Alien」と「Adam’s Apple Pie」だった。2011年発表のシングル「spy」のカップリングだった前者は磯部が作曲した重心の低いファンクロックナンバー。一方、2015年発表のシングル「ワタリドリ」のカップリングだった後者は、白井眞輝(G)が作曲したロックンロール。ともにレア中のレア曲と言える2曲に観客は大歓び。2010年代半ばの一時期、川上以外のメンバーも曲作りに取り組むという試みは、磯部曰く「洋平の曲がやりたくて、このバンドをやっている」ということからもう久しく行われていないが、川上以外のメンバーによる曲はもう1曲、局所性ジストニアの為、2021年3月にバンドを勇退した庄村聡泰(Dr)による「Onion Killing Party」というフリーキーなパンクロックナンバーがあった。そしてなんと、その「Onion Killing Party」を、「玉ねぎが苦手な前のドラマーを紹介してもいいですか!?」と川上が庄村を呼び込み、庄村とリアド偉武(Dr)のツインドラムで披露するというサプライズが飛び出して、観客を狂喜させる。

さらに庄村のドラムでもう1曲、庄村加入後初の楽曲となったエモーショナルなロックナンバー「city」を、同曲の“空き缶 しばいた”という歌詞が庄村によるものだったというエピソードとともに披露。デビュー前の焦燥感を、観客のシンガロングとともに蘇らせると、今度は「実は聡泰の前にもう一人ドラマーがいたんです」とサプライズを上書きするように川上が初代ドラマー、イッシーこと石川博基を呼び込む。病状回復後、再びドラマーとして活動し始めた庄村はまだしも、まさか2010年3月の脱退以降、引退状態だったイッシーまで迎えたのだから、<VIP PARTY>史上最もスペシャルという前述の表現が全然大袈裟なものではないことがわかっていただけると思う。3つあると書いた見どころの2つ目は、この歴代ドラマーとの共演だ。

そのイッシーと演奏したのは、川上曰く「路上ライブ時代、彼とよくやった曲」という「温度差」だ。曲に滲むメランコリーがその後、川上が作る曲と比べるとちょっと異色に思える、すっげえいい曲。2021年3月にリリースしたベストアルバム『Where’s My History?』に収録された新録バージョンを聴き、「なんでこんなにいい曲が今まで未発表だったのか、理解に苦しむ」と感動を伝えたところ、メンバー達はそうでもない感じで、その温度差に驚いたことは、いい思い出だが、イッシーとともに演奏するその「温度差」は、やっぱりすっげえいい曲だった。

再び聡泰、リアドを呼び込み、トリプルドラムで演奏した「Adventure」なんて、もう二度と聴けないだろう。

「イッシーの代わりに加入して、ファンからいろいろ言われながら、文句も言わずに“ドラムで認めさせる”とがんばっていた聡泰の姿が頼もしかったです。デビューして3ヶ月でやめやがったけど(笑)、イッシーにはそれまでの10年を支えてもらいました。メンバーがぶつかったとき、なだめるのがドラマーの役目だと思うんだけど、それを一番やってくれました」──川上洋平

庄村とイッシーに改めて感謝を述べた川上は続けて、「加入した時はオレたちの求めるものが多すぎて、まあ大変だったと思うけど、文句も言わずに血ヘドを吐くような努力をして、プレイで跳ね返した。それがカッコよかった。リスペクトします。うちらのドラマー」と改めて現在のドラマー、リアドを紹介。「3人目じゃない。最後のドラマーです!」という川上の言葉にぐっと来た人は少なくなかったはずだ。

「ここから一緒に歴史を作っていきたいと思います! まだまだ遊べますか!?」──川上洋平

川上が声を上げ、白井による空間系のギタープレイが新境地を思わせた「金字塔」からなだれこんだ後半戦は前半戦から一転、「Starrrrrrr」をはじめ、彼らの代表曲と言えるシンガロング必至のアンセムに「風になって」「閃光」といったリアド加入後、彼とともに作ってきた代表曲の数々を交えながら、最新型の[Alexandros]を見せつけていく。それが3つ目の見どころだ。

そんな後半戦のハイライトは、“VIP PARTY”というネオンサインが燃えながら、崩れ落ちる映像を映し出しながら、本編の最後を飾った「Girl A」。2015年のリリース以来、何度もライブで演奏してきた曲だが、現在は爆音のダンスロックナンバーにアップデイト。ラウドに鳴るリアドのキックの4つ打ちが観客とともにアリーナ全体を揺らしたのだった。

後半戦ずっとバンドとともに歌い続けた観客を、「最高のファンを持ちました。新規も古参も関係ない。みんな同じ友達以上、恋人以上の存在です!」と川上が称えると、バンドはアンコールに応え、壁など恐るるに足らずと不屈の闘志を謳いあげる「NEW WALL」他3曲をさらに披露。再びトリプルドラムで演奏した「ワタリドリ」でダメ押しするように観客にシンガロングさせると、「今日を超えていこうぜ。もっともっとでかいところに行こうぜ!」と川上が声を上げ、15年間のライブ映像とともにエモーショナルなロックナンバー「超える」を響かせ、エンディングを迎える……はずだった。しかし、演奏しているうちに持ち前の闘志に火が点いてしまったようだ。

「もう1曲やっていいですか?」──川上洋平

演奏したのは、メランコリックなメロディーに世界を求める野心が滲む「Famous Day」。1万人キャパのアリーナを2日間いっぱいにしながら、その大団円と言える2日目のアンコールが印象づけたのは、15年前から変わらない闘志と野心だったというところが [Alexandros]らしい。それもまたこの日の大きな見どころに数えるべきだろう。だから大きな見どころは3つではなく、4つ。

そんなことを考えていると、ステージ背後のLEDスクリーンに映し出された“You guys are Very Important People. We’re all love you. Merry Christmas & A Happy new year.”というメッセージに続いて、2026年4月からのファンクラブ会員限定のライブツアー<ACCESS ALL AREA>、6月からのライブハウスツアー<YOU ARE WELCOME TOUR>、そして10月31日と11月1日に主催フェス<[Alexandros] presents THIS FES ’26 in Sagamihara>を開催することが発表され、興奮冷めやらぬまま、その余韻に浸っていた観客に快哉を叫ばせたのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎河本悠貴

 

■<[Alexandros] 15th Anniversary VIP PARTY ‘25>12月14日(日)@TOYOTA ARENA TOKYO セットリスト
01 Kick&Spin
SE Burger Queen ~ 生Burger Queen
02 クソッタレな貴様らへ
03 She’s Very
04 Dear Enemies
05 ?
06 My Blueberry Morning
07 Kiss The Damage
08 FISH TACOS PARTY
09 waterdrop
10 Dance With the Alien
  Adam’s Apple Pie
  Onion Killing Party
11 city
12 温度差
13 Adventure
14 金字塔
15 Starrrrrrr
16 風になって
17 This Is Teenage
18 閃光
19 PARTY IS OVER
20 Girl A
encore
en1 NEW WALL
en2 ワタリドリ
en3 超える
en4 Famous Day

 

■<[Alexandros] 15th Anniversary VIP PARTY ’25>Streaming+配信
アーカイブ配信:12月15日(月)18:00〜12月21日(日)23:59 ※両日共通
配信メディア:イープラス“Streaming+”
https://eplus.jp/streamingplus-userguide/
▼チケット
・通し券:¥8,000
・単日券(13日):¥4,500
・単日券(14日):¥4,500
販売期間:12月5日(金)18:00〜12月21日(日)21:00
※ご利用には「e+(イープラス)」への会員登録が必要となります(入会金・年会費は必要ありません)
販売URL:https://eplus.jp/alexandros-st/

 

■<FC TOUR “ACCESS ALL AREA”>
▼2026年
4月10日(金) 神奈川・横浜ベイホール
open18:00 / start19:00
4月23日(木) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
open18:00 / start19:00
4月30日(木) 愛知・名古屋ダイアモンドホール
open18:00 / start19:00
5月08日(金) 香川・高松festhalle
open18:00 / start19:00
5月09日(土) 広島・BLUE LIVE HIROSHIMA
open17:00 / start18:00
5月21日(木) 群馬・高崎スタジオシアター
open18:00 / start19:00
5月24日(日) 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
open17:00 / start18:00
5月28日(木) 新潟・新潟LOTS
open18:00 / start19:00
6月05日(金) 京都・KBSホール
open18:00 / start19:00
▼チケット
スタンディング 8,800円 (D代別・税込)
*高崎公演のみ 1Fスタンディング 8,800円 (税込)、2F指定 11,000円(税込)
※未就学児童のご入場はできません/小学生以上はチケットが必要になります
【[Alexandros]CREW会員先行】
受付期間:12月15日(月)18:00~12月21日(日)23:59
※同行者もCREW会員であることが必要

 

■<YOU ARE WELCOME TOUR>
▼2026年
6月14日(日) 愛知・COMTEC PORT BASE
open17:00 / start18:00
6月22日(月) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
open18:00 / start19:00
6月28日(日) 宮城・SENDAI GIGS
open17:00 / start18:00
7月03日(金) 北海道・Zepp Sapporo
open18:00 / start19:00
7月09日(木) 神奈川・KT Zepp Yokohama
open18:00 / start19:00
7月22日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
open18:00 / start19:00
7月30日(木) 愛知・Zepp Nagoya
open18:00 / start19:00
8月06日(木) 大阪・なんばHatch
open18:00 / start19:00
8月20日(木) 福岡・Zepp Fukuoka
open18:00 / start19:00
8月26日(水) 東京・Zepp Haneda(TOKYO)
open18:00 / start19:00
▼チケット
スタンディング 8,800円(税込 / 別途ドリンク代必要)
2F指定 11,000円(税込 / 別途ドリンク代必要)
※未就学児童のご入場はできません/小学生以上はチケットが必要になります
【[Alexandros]CREW会員先行】
受付期間:2026年1月19日(月)~1月26日(日)23:59
※同行者もCREW会員であることが必要

 

■<[Alexandros] presents THIS FES ’26 in Sagamihara>
日時:2026年10月31日(土)、11月1日(日)
会場:相模原ギオンフィールド、及びその周辺

 

関連リンク
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