【インタビュー】NAMBA69のko-heyとROACHのTaama率いるFIRE ON FIRE、メジャーデビューEPにさらなる飛躍「必ず変わる、いや変えられる」

NAMBA69のko-hey(G, Vo)とROACHのTaama(Vo)。旧知のふたりが2023年1月に結成し、その後、配信リリースを重ねながら、自主企画イベント<ON FIRE>をはじめ精力的にライブを続け、ライブハウスシーンで頭角を現してきた4人組ロックバンドが、FIRE ON FIREだ。2025年夏の<NEW HORIZON FEST>など多くのフェスに出演して、その存在をアピールしてきたその彼らが、4作目となるEP『SPARK』でいよいよメジャーデビューを飾る。
現在のラインナップは前掲のふたりにSO(B)、RYO(Dr)を加えた4人。ko-hey、Taamaは言うまでもなく、彼らよりも若いSOとRYOも共に、それぞれにライブハウスでキャリアを積んできたプレイヤーだ。このインタビューを読んでもらえれば、バンドとしては新しいものの、決して新人とは言えない4人が新たな始まりにワクワクしていることがわかっていただけるはず。なぜ、そこまでワクワクできるのか。メンバー達の言葉に滲む思いを、ぜひ汲み取っていただきたい。
EP『SPARK』には「メロディックハードコアという大枠の中にいれば何でもあり」とうそぶきながら、その枠をどこまでも広げることに挑んでいるように聴こえる全6曲を収録。「島唄」のメロディックハードコア・カバーも出色の出来だ。11月5日にリリースされる最新EP『SPARK』と、その後の東名阪ツアーをステップにFIRE ON FIREが目指すのは、さらなる飛躍だ。
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■俺たちもやっぱりステージで
■火を上げるところまで行きたいよねって
──早速ですが、2023年1月に旧知の仲だったko-heyさんとTaamaさんが、“あるタイミングを機に一緒に音鳴らす決意をした”と、いただいた資料には書かれていましたが、結成の経緯をまず教えていただけますか?
ko-hey:厳密に言うと、もうちょい前なんです。2022年10月ぐらいだったかな。そもそもTaamaとは僕がARTEMAをやってた頃からの付き合いだから、もう15年ぐらいになるんですけど。コロナ禍っていう誰も予想していなかった事態になったとき、ROACHはTaamaの判断で一足先に活動を自粛してたんです。僕のほうも2022年8月にNAMBA69の活動が止まり。そんな時、同年代飲み会があったので行ってみたら、他の同年代のバンドマン達がバンドの近況を話しているのを、まだやっているはずのTaamaが寂しそうに見てたんです。
Taama:いや、“俺、話すことが何もねえな”と気づいて、それがちょっとショックだったんですよ。a crowd of rebellionの(宮田)大作にはその前に「ROACHが動けないとしても、曲を一緒に作れるやつ、誰かいないかな?」って話をちょっとしたことがあったんですけど、彼が「Taamaさん、今、相談すべきじゃないですか?」って言うから、“そうだよな”と思って。そうしたら、ko-heyが「なに寂しそうな顔してんだ」と話しかけてきたんで、“そんなふうに言われるのは恥ずかしいな”と思いながら、「バンドをやるってところまで行けるかわからないけど、曲作りか何かを一緒にできるやつ、いないかなと思ってたんだよね」って言ったら、「じゃあ、やろうよ」って言うから、「マジで!?」ってなって。「ko-heyとやるんだったら、やっぱりライブだよね」「ライブをやるってなったらバンドだよね」「じゃあ、やっちゃうか」っていう、その場のノリで結成が決まったんですよ。
ko-hey:で、本当にやるってなって。僕が「どうしても一緒にやりたいドラムがいる」って前のドラムのSHiNを誘ったんです。それが2022年10月とか11月とかで、曲を作り始めたのが2023年1月でした。
──その時はどんなサウンドのバンドをやろうと考えていたんですか?
ko-hey:ROACHをやっていた頃からのTaamaのアーティストイメージに加えて、英語を普通に喋れるという強みがあったんで、もう英詞で。当時、ヘヴィロックというか、メタルコアとラップを混ぜたようなバンドが海外のトレンドになりそうな気配があったから、そういうデモを2曲ぐらい作ったんですよ。そうしたら、最初はTaamaも「こういう歌詞を乗せたい」って考えてくれたんですけど、突然、「何か違うんじゃないか?」って言い出して。
Taama:何かしっくり来なかったというか、ドキドキしなかったんですよ。ko-heyは俺に合わせようとしてくれたみたいですけど、俺がko-heyに乗っかったほうが早いと思って、「せっかくやるんだから、今まで感じたことがないことを感じたほうがおもしろいと思うんだけど」って相談して、それから曲調をがらっと変えて、デモを作っていきました。

──その3ヵ月後、つまり2023年4月には初ライブをやっていた、と。
Taama:無理矢理やりました。その時はまだバンド名も決まってなかったんですよ。
ko-hey:それまでは、“FIRE(仮)”がバンド名だったんですけど、ライブで“FIRE ON FIRE”って発表しました。本当にね、RYOとSOには申し訳ないんですけど、僕とTaamaとSHiNちゃんで集まったとき、『マッドマックス』の話になって、映画の。「俺たちもやっぱりステージで火を上げるところまで行きたいよね」みたいな話から、「じゃあもうFIREじゃね」「いや、FIREじゃいくらなんでもダサすぎるから(仮)にして、追々しっかり考えよう」って突っ走り始めちゃったんです。
Taama:とりあえずライブを一回やりたいから、ライブの日にちを決めて、そこに向かって走り出しちゃったんですよ。
──最初のライブの出来栄えはどうでしたか?
Taama:俺はめちゃくちゃ楽しかったですけど。
ko-hey:SOは見に来てたんですよ。加入はまだ先なんですけど、普通に客として。TaamaはSOの地元沖縄の先輩っていうのもあるし、なんか俺のこともちょっとディグってくれてたらしくて。デモを聴いて、「かっけえバンドですね。Taamaさん遊びにいっていいすか?」って遊び来てて。
SO:めっちゃダイブしました(笑)。
Taama:どうだったの? 我々の初ライブは。
SO:めっちゃカッコよかったですよ。“とんでもないバンドが出てきた!”って思いました。

──その後、2023年11月にSOさんが加入するわけですが、それはどんなきっかけで?
SO:ライブはめちゃめちゃカッコよかったんですけど、ベースがサポートだったから、“これ、俺が弾いたらもっとカッコよくなるぞ”と思って。「FIRE ON FIREで弾きたいと思ってます」ってTaamaさんに伝えたんですよ。でも、Taamaさんとしても自分の後輩が弾きたがってるからって、簡単に「いいよ」とは言えないじゃないですか。
Taama:だから一回スルーして(笑)。
ko-hey:「SOって知ってるっけ? “弾きたい”って言ってんだけど、俺的にまだだからいいや」って言ってたよね。
SO:スルーされてたんですけど、2023年7月に当時俺がやってたBubble Babyってバンドで、FIRE ON FIREの自主企画イベント<ON FIRE>に出演させてもらったんですね。そのとき、ko-heyさんから「“FIRE ON FIREでベースを弾きたいと思ってる”ってふわっと聞いたけど、それってまだ思ってるの?」って言ってもらえて。俺の中ではもう完全になしになった話だと思ってたんですけど、もちろん弾きたいって気持ちはあったし、その日のライブもめっちゃカッコよかったから、やらせてもらえるならやりたいと思って。その日の打ち上げと後日、ちゃんと話をしてからスタジオに入って、サポートメンバーを経て、正式メンバーになるっていう順番で仲間に加えてもらいました。
──ところで、SOさんがこれまで参加してきたACE COLECTIONもBubble Babyも、ともに歌もののバンドでしたが、現在、FIRE ON FIREでやっているパンク/ハードコア、ラウドロックのバックグラウンドはそもそも持っていたんでしょうか?
ko-hey:むしろスタートがそこだったんだよね。
SO:そうですね、メタルコアとかスクリーモとか。聴いてた音楽も、バンドでやってた音楽もそうでした。そもそもバンドをやりたいと思ったきっかけがマキシマム ザ ホルモンだったんですよ。
──そうでしたか。
SO:20歳ぐらいまでそういうバンドをやっていて、その後、歌もののバンドをやるようになったんですけど、“やっぱりうるさい音楽がいいな”ってなってるタイミングでもありましたね。
──そして、2025年7月からはFIRE ON FIREに専念することになった、と。
SO:はい、専念することになりました。

──そして、2024年10月にSHiNさんが抜けて、RYOさんがサポートを経て、12月に正式メンバーとなって、現在のラインナップが揃った、と。RYOさんはどんな繋がりから加わることになったのでしょうか?
RYO:繋がりは、まったくなかったですね。
Ko-hey:俺から話しちゃいますけど、前のドラムのSHiNちゃんはプロドラマーとしての活動が忙しくて。たとえば半年後に企画を打とうと思っても、「土日はもう全部埋まってます」って。そう言われちゃうと、SOが正式加入したことも含めて、始動から1年でそこまで持ってきたのに、その先の点が打てなくなる可能性が出てきたぞって。ドラムのことを考えなきゃいけないかもって状況になってたんです。
──なるほど。
ko-hey:それで、懇意にしている渋谷CYCLONEのPAに相談したんですよ、「いいドラマーいないかな?」って。そうしたら、「いますよ。RYOっていうんですけど」って言われたんですけど、「RYOは元々、PET SHOPっていうビートダウン系のハードコアバンドをやってる」って聞いて。ハードコアバンドの方々って、ライフワークとしてバンドをやることも多いじゃないですか。だから、そういうスタンスでやっているドラマーだったら、これから駆け上がって行きたいと考えている俺たちとは足並みが揃わないかも、と思って2ヵ月ぐらい寝かせてたんです。そうしたら、幸か不幸か、その間にRYOもハードコアという音楽は好きだけど、これまでドラマーとしてがんばってきたんだから、ドラマーとして上を目指して……っていう言い方は正しいかわからないけど、もっと夢を見たいと考えるようになったらしいんです。同じ頃、俺らもTaamaとふたりで何人かのドラマーに会ってたんですけど、ハマる人がいなくて。
Taama:ko-heyは判断がめっちゃ早いんですよ。
ko-hey:それは別にここで言わなくてもよくない(笑)?
Taama:会いに行って5分ぐらい喋って、「違うわ」って言うんですよ。どこで判断したんだろう?みたいな(笑)。「どこでジャッジしてんの?」って、俺、真剣に相談しましたもん。一回酷い時があったじゃない?
ko-hey:あー、ちょっといいなと思ってた子がサポートで叩く現場があって。知り合いがいたから、「口説きに行きたい」ってゲストで入れてもらったんですよ。で、ライブが終わってから、その子とちょっと話したんですけど、2〜3分で“あー、わかった”と思って、俺は友達のところに飲みに行っちゃって。あとはずっとTaamaが喋ってたっていう。
Taama:だって、もうすでに“この子じゃない”ってエアがko-heyから出てたけど、もうちょっと話してみないとなって思ったから。
──どこで判断したんですか?
Ko-hey:いや、わからないです。たぶんバイブスですよ。感覚の違いっていうのかな。バンドマンを長くやってると、“こいつバンドマンなのかな?”って思うことがあるんですよ。すっごい極端に言うと、“お金を稼ぐことがメインなのかな? ちょっと違うかもな”って思った瞬間がその2分の間に二回ぐらいあって。で、俺は友達のところに行ってしまいました。
──そういうことだったんですか。
ko-hey:話を戻すと、そんなわけで、やっぱりドラマーがいないから、「断られるかもしれないけど、試しに会ってみよう」ってRYOに連絡したら、すごく前のめりだったんで、「スタジオに入る前に、一回飯に行かないか?」って誘ったんです。
──そこでko-heyさんはRYOさんに同じバイブスを感じたわけですね?
ko-hey:めちゃめちゃ良かったですね、バイブス。その日、Taamaと俺がバンドのことで真顔の言い争いみたいになったんですよ。空気が悪くなると思って、一回外に出たんですけど、戻ってきたときにRYOが「こういうのがバンドですよね。憧れます」って言ったんですよ。最高だな!って思いましたね。それから1ヵ月ぐらい、SHiNちゃんとスイッチするのに時間があったので、並行しながら、週イチか2週に一回ぐらいスタジオに入ってから、まずサポートで入ってもらって、その後、正式に加入してもらいました。







