【インタビュー】NAMBA69のko-heyとROACHのTaama率いるFIRE ON FIRE、メジャーデビューEPにさらなる飛躍「必ず変わる、いや変えられる」

■音楽に人生全振りしてるので
■常に全力でやってます
──さっきko-heyさんは「これから駆け上がって行きたいと考えている」とおっしゃっていましたけど、そういう気持ちになったのはいつだったんですか?
ko-hey:最初からですね。ただ、そもそもFIRE(仮)ってバンド名から始めてるし、Taamaも俺も暇つぶしにやってると思われてたんですよ。俺たちは最初からめちゃめちゃ本気でやってたにもかかわらず、“ただ楽しくやりたいだけなんでしょ?”みたいに捉えられることが多かったんです。
──最初からめちゃめちゃ本気だったのは、やっぱりNAMBA69、ROACHともに不完全燃焼のまま活動が止まってしまったという思いがあったからですか?
Taama:俺はそうです。20年応援してもらって、コロナ禍が原因とはいえ、最後の点も打てずに終わるっていうのは、自分としては解せなくて。だから、最後に一回だけでもライブをやるとか、最後に何曲か新曲を作りたいとか思ったこともあったんです。だけど、そんなふうに思うってことは、終わりが見えちゃってるってことなんで。“燃えることができない。この気持ちはどうしたらいいんだ?”みたいなのもあって。燃えるってことは、人生を使っちゃうわけじゃないですか。それが本気だと思ってるんで。だから、タイミング的にもすごくよかったんです。駆け上がっていくとか、趣味でやるとかはさておき、自分は“バンドってそういうものだ”っていう認識なんですよ。それが違う温度で見られてるのが逆に最初はびっくりで。そこに対しては、けっこう戸惑いはありましたね。
──ko-heyさんも同じですか?
Ko-hey:うーん、NAMBA69に関しては、まだ未来はあると思ってるんで、そういう意味で現状は不完全燃焼かもしれないですけど、音楽に人生全振りしてる人間なので、常に全力でやってます。
──でも、人生を賭けていろいろな思いを燃やすなら、やっぱりバンドがいいっていう。
Taama:そうですね。
ko-hey:そういう4人が揃ったってことなんで。そのへんRYOとSOにも聞いてやってください。

SO:僕はバンドしかやったことがないから、なんでバンドがいいのかわからないですけど。僕が音楽に初めてのめりこんだ時って、ギターをやりたいとか、ベースをやりたいとか、ドラムをやりたいとかって感覚じゃなくて、バンドをやりたいと思ったんですよ。バンドができるなら、正直、楽器は何でもいいぐらいに思ってました。その中で、たまたまベースを選んだ…って言ったらあれなんですけど、バンドっていうものがすごく好きなんですよ。
──RYOさんはTaamaさんとko-heyさんが言い争いになったとき、“バンドっぽい”と思ったそうですが。
RYO:バンドっぽいというか、“これがマジな人たちなんだ”って思ったというか。マジなバンドの内側を見た気がして、“ハンパねえ、これはやらなきゃ”って思いました。
──RYOさんもやはりバンドがやりたい、と?
RYO:はい、バンドがやりたいですね。
──バンドの、どんなところがいいですか?
RYO:他のメンバーがいると視野も広がるし、自分ひとりでやってたら絶対出てこない考えももらえるんで。ひとりでやるよりもでかい活動ができますよね。
──ここまでやってきて、周囲からの見方もかなり変わってきたんじゃないでしょうか?
Taama:そうですね。いろいろなイベントに呼んでもらえるようになりましたし。暇つぶしでやってるなんて思ってる人はもういないんじゃないかな。

──RYOさんが加わってからそろそろ1年経ちますが、逆にこの4人の関係性はどんなふうに変わってきましたか?
Taama:年齢も違うし歩んできた人生も違うから、いきなりは無理だったかもしれないけど、ライブを重ねながら、ちょっとずつ噛み合ってきたってすごく感じますね。特に今回のEP『SPARK』を作ってみて、それはすごく実感しました。「STAY」って曲を先行配信したんですけど、スタジオで一発目の音を出した時に、“何か今までと違うな”っていうのが体感としてありましたから。言葉にしづらいんですけど、すごくしっくり来たというか、これまでとは違うパワーを感じたので、何かまたここから始まるのかなっていうのは、僕はすごく感じました。
──その「STAY」はベースから始まりますね。
SO:“ついにそういう曲が来た”と、ベーシスト目線では思いましたね。「STAY」を含め、『SPARK』を聴いたとき、全曲に爆発力と言うか、“うわっ、ヤバ!”っていうのを感じました。僕はko-heyさんが作る曲にそういうものをめちゃめちゃ感じるので。もちろん過去作もそうなんですけど、それを『SPARK』から感じてもらえたらうれしいですね。バンドが好きな人は確実に好きなんじゃないですか。
──そんなEP『SPARK』をもって、FIRE ON FIREはVAPからメジャーデビューを飾るわけですが、その意気込みを聞かせてください。
ko-hey:もう今の時代、メジャーとインディーでメリットもデメリットもない、と正直俺は思っていて。むしろ誰とやるかだと思うんですよ。VAPの担当者はこのFIRE ON FIREを立ち上げる前の、とあるプロジェクトの時からの付き合いで、そのプロジェクト後も俺と「何かやりたい」って言ってくれてたんです。だから、一緒にできてうれしいはうれしいですね。
──メジャーデビューだからって、そこまで気負ってはいないぞ、と?
ko-hey:ただ、メジャーデビューを発表して、改めて思いました。“メジャーデビューって言葉はやっぱり強いな”って。反響が大きかったですからね。
──さて、そのEP『SPARK』はどんな作品になったという手応えがありますか?
Taama:さっきも言いましたけど、やっぱり始まった感はありますよね。FIRE ON FIREとして、最初に『IGNITE』(2023年7月発表)ってEPを自主で出したんですよ。発火を意味する『IGNITE』ってタイトルは、FIRE ON FIREってバンド名から連想して付けたんですけど、今回も歌詞を書きながら、“タイトルどうしよう?”って考えてたら、ko-heyが『SPARK』って提案してくれて。それを聞いた時に“感じてることは一緒なんだな”って思いました。始まりを連想させる言葉を、ここでもう一回持ってきたこともそうですけど、この4人のメンバーが揃ってからの初作品ってこともそうだし、メジャーレーベルと契約が決まったこともそうだし、もう一回原点に立つと言ったら早すぎるかもしれないけど、最初の足跡をしっかり残す作品になったのかなと個人的には思ってます。
──全曲の作曲とプロデュースをko-heyさんは、今回の曲を作り始めるときにEPとしてどんな作品を目指したんですか?
ko-hey:“俺が聴いたことない音楽をやる”っていうのは、もう決まってるんですよ、FIRE ON FIREは。なので、変なコードを使ったり、クロマチックスケールでわざとカオティックにしたり、そういうものをふんだんに入れてるのは、けっこうそういう理由で。メロディックハードコアっていうパンクの大枠の中にいれば、何でもいいのかなって思ってます。
──なるほど。
ko-hey:だから「ここはラップなんだよね」って言ったりもするし。5曲目の「CAGE」は、ライブのことしか考えてないんです。1分間、みんなにダイヴしてもらって、最後モッシュで終わる曲が欲しいと思って作りました。
──でも、「CAGE」は今回の全6曲中、ギタープレイが一番フラッシーでメタリックという。
ko-hey:元々ルーツにメタルやメタルコアがあるので、避けすぎているような印象も良くないと思うんですよね。“ko-heyが作ってるのに”みたいに思われるのもイヤなんで。
──そんな「CAGE」も含め、メロディックハードコアの大枠の中にはいると思うんですけど、どの曲もタイプが違うという振り幅も聴きどころになっていると思います。
ko-hey:俺が曲ネタを作ってるんで、俺ばっか喋っちゃって申し訳ないですけど、そこは意識してますね。
Taama:1曲作ったあと、「次はどうしようか?」ってたまに電話が来るから、そういうところは意識してんだなって。
──ko-heyさんが曲を作って、アレンジまでしたデモを受け取って、Taamaさんは歌詞を書くと思うんですけど、リズム隊のふたりはまず何をするんですか?
RYO:デモが送られてきたらめちゃくちゃ聴きます。そして、食らいます(笑)。めちゃくちゃ難しいんですよ。もうデモの段階で死ぬほどカッコいいので、途中から、覚えるために聴くんじゃなくて、普通に好きだから聴いちゃうみたいになっちゃうんですけど。
ko-hey:ありがとうございます(笑)。
──中には、すぐには叩けない曲もあるんですか?
RYO:全曲漏れなく、すぐには叩けないです。だから、『SPARK』の曲もめちゃくちゃ練習しました。
ko-hey:でも、ドラムフレーズはRYOのことを考えて、アレンジしてるんですよ。特にブレイクダウンパートはできるだけダイナミックに作るって決めてます。RYOは絶対そっちのほうが似合うので。もちろん、細かいビートも踏めるんですよ。踏めるんだけど、そういうRYOは見たくないって思ってます。バーン!バーン!しかやらないRYOのほうがカッコいい。







