【速レポ】<中津川 WILD WOOD 2025>ACIDMAN、「このフェスの規模がバタフライエフェクトのようにどんどん大きくなることを願って」

2025.09.21 20:27

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日中の暑さがウソのように肌寒くなってきた中津川に響いたのは、ACIDMANの硬質かつ、優しさの詰まった音塊だった。

◆ライブ写真

蒼い照明でステージが照らされる中、3人のメンバーは、SEのリズムに合わせた観衆のクラップに出迎えられた。そして、うっすらと浮き上がる3つのシルエットが鳴らしたのは、「輝けるもの」。ステージに立ち込めるスモークや背後から当たる照明によって、3人の姿は浮かんではまた消えていく。それでも音は切れ間なく連なっていた。浦山一悟(Dr)が描くビートを受け取ったのは、大木伸夫(Vo, G)が優しく紡ぐギターだった。曲は「FREE STAR」。今日は9月21日、中津川はすっかり秋めいていて、18時20分ともなるともうすっかり夜である。秋の訪れを感じさせる中で響くこの曲は、よりロマンチックで、力強くて、グッとくる。

ACIDMANは、2013年から2023年まで毎年開催されていた<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>に毎回出演していた。当然、この街には強い思い入れがある。だからこそ、<中津川 WILD WOOD>開催の報を聞いたときは、「出ます」と即回答したという。彼は中津川駅前の雰囲気が、お客さんの雰囲気が好きだと言い、最後に「でも泊まるホテルは別の街でした」とオチをつけた。

うっすらと息の交じる、一聴してすぐに大木とわかる特徴的なボーカルから始まったのは、<愛よりも大切なモノなんてないはずさ>と歌う「白と黒」。それが終わると浦山のビートが次の曲を煽り、佐藤雅俊(B)は観客にクラップを促す。そして、鳴ったのはあの独特なフレーズ…「リピート」だ。ステージのあちこちでゆっくりと回転するレモン色の照明が幻想的に3人を照らす照明が終始よかった。メンバーの姿がはっきり見えるように照らすのではなく、メンバーの陰影も楽曲の表現の一部のように感じさせる。さっきまで少し寒いと感じていた気温と乾いた空気までもがライブの演出として機能していた。ゆっくりと物語を描いていく「リピート」という楽曲によって、ACIDMANという名の宇宙が中津川に生まれていく。

この世界はいつか終わっちゃうし、自分もいつか死んじゃう。そのことを大事に思っていれば、人にやさしくできる。争ってる暇なんてない、たった一瞬で死んじゃうんだから。そんな話をしたあとに演奏されたのは「季節の灯」だった。フェスの場でバラード、しかも音源では7分近くある長尺の曲を披露するというのは、いくら名曲でもなかなか勇気のいることだと思うが、これは長年かけて中津川との関係性を築いてきたACIDMANからの信頼の証だと思うし、この場所でこの曲を演ることに大きな意味を見出していたのだろう。中津川の街のお陰で、「リピート」から続く素晴らしい名演を堪能することができた。

さらに、「このフェスの規模がバタフライエフェクトのようにどんどん大きくなることを願って」と選んだのは「sonet」だった。<あの日 君が 流したその涙は/遠い国に降り注ぐ 雨になるだろう><僕はそれを奇跡と呼ぶんだ>これは中津川に対するあまりにも力強いメッセージじゃないか。

最後は、ビッグバンのように感情を爆発させた「ある証明」。佐藤が何度も拳を突き上げる。この曲も、この場所だからこそより強く届くパフォーマンスだったと思う。今日は、すべての曲が中津川へ向けたメッセージのように聞こえた。毎年毎年この土地で音を鳴らしてきた彼らだからこその、心と気迫のこもった熱演だった。全国に数あるフェスの1本ではない。2025年9月21日という日に、中津川という場所でしか成立しえない、貴重な1本だった。終演後、興奮気味にライブの感想をまくし立てている男性がいた。バンドの想いはしっかりみんなのハートまで伝わっていた。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎Viola Kam (V’z Twinkle)

■セットリスト

1.輝けるもの
2.FREE STAR
3.白と黒
4.リピート
5.季節の灯
6.sonet
7.ある証明

■<中津川 WILD WOOD 2025>
9月20日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
9月21日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
open10:00 / start11:00 / 21:00終演予定
岐阜県中津川市茄子川1683-797
【Day1:9/20(土)出演者】※A-Z順 
ザ・クロマニヨンズ、Def Tech、04 Limited Sazabys、Hedigan’s、HEY-SMITH、一青窈、jo0ji、JUN SKY WALKER(S)、神はサイコロを振らない、KREVA、日食なつこ、Nothing’s Carved In Stone、奥田民生、レキシ、サバシスター、SiM、土岐麻子、東京スカパラダイスオーケストラ、ヤングスキニー、レトロマイガール!!(Opening Act)
【Star Guitar】DJ 西寺郷太(NONA REEVES)、須永辰緒(sunaga t experience)
【Day2:9/21(日)出演者】※A-Z順 
ACIDMAN、The BONEZ、Chilli Beans.、Dragon Ash、GLIM SPANKY、go!go!vanillas、iri、木村カエラ、Omoinotake、Original Love、Penthouse、Rei、レトロリロン、スガ シカオ with FUYU、水曜日のカンパネラ、打首獄門同好会、w.o.d.、吉澤嘉代子、Khaki (Opening Act)

 

関連リンク
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