【ライブレポート】CleeNoah -クレノア-、5周年ツアー完走。重ねた日々が響きあった、かけがえのない一夜

2025.08.08 20:00

Share

7月20日、恵比寿ザ・ガーデンホールにて<クレノア 5th Anniversary Live Tour
『Wonder Clover』>のファイナル公演が開催された。

◆ライブ写真

開演の時刻を迎え、壮大なSEが複雑に絡み合いながら会場を包み込む。カラフルなペンライトが揺れる中4人がステージに登場し、最初に「Wonderment!!!!!」を披露。FAKE TYPE.がクレノア5周年のために書き下ろした、1曲目にふさわしいナンバーだ。オープニングナンバーから見事な超高速ラップをかまし、開演を待ち侘びていたリスナーたちの心を一気に高揚させていく。続く「ファタール」ではセンターに置かれたお立ち台に座ったり、メンバー同士が向かい合って歌ったりと、自由な動きも取り入れながらの歌唱で魅了。3周年記念楽曲「四つ色星のクロニクル」では、これまでの確かな歩みを改めて噛み締めた。

挨拶や自己紹介タイムを挟んだあとは、それぞれの持ち味やキャラクターを存分に発揮したソロ曲パートへと展開。トップバッターは、しるばーな。“三度の飯よりピザが好き”と豪語する彼らしいキャッチーなナンバー「こるにちょーねっ!!!」をコール&レスポンスも交えながらパフォーマンスし、会場を盛り上げていく。2番手スタンガンが「ブルーローズ」を得意の高音を交えた透き通るような歌声で響かせると、3番手のまるぐりは「届」をエネルギーに満ちたパワフルボイスでリスナーへ届ける。最後のバトンを受け取ったしゃけみーが「ヒーローインタビュー」を真っ直ぐな芯のある歌声で披露。このパートでは、ソロを披露するメンバーのカラーに合わせてリスナーたちがペンライトを灯し、会場を鮮やかに彩っていた。

再び4人がそろい、ライブはカバー曲パートへ。「チャンカパーナ」と「初心LOVE」では、しるばーなの指導で習得したというダンスを交え、観客の視線を釘付けにした。曲はじまりや合間の黄色い歓声だけでなく曲終わりには「可愛い!」という歓声もあがり、リスナーたちのテンションの上がり具合が伝わってくる。

リバイバルヒット中の「右肩の蝶」や「ロミオとシンデレラ」でクールな一面を見せたかと思いきや、MCになると一気に和やかなムードになるギャップも彼らの魅力。しゃけみーによる自作のなぞなぞ「おばあちゃんが苦労したときに握りしめている植物はなに?」(答え:クローバー)という見事な前振りで、「アンラッキー・クローバー」へ。その後も後半戦は軽やかなアップテンポの「みりおんとらべらー」、爽やかなラブソング「おれじゃなきゃ見逃しちゃうね」といった人気曲で会場を沸かせていく。

ここまでオリジナル曲とカバー曲を織り交ぜたセットリストを展開してきた彼ら。ライブ終盤は「クラウンナイト」「ヒレフセ」「ハレ時々ボク」といったキラーチューンを畳み掛け、一気に会場の熱気を最高潮に持っていく。曲の雰囲気に合わせてメンバーの表情やステージ上のライトも次々と変化し、夢中で見つめるうちに、気づけば本編ラストのMCに辿り着いていた。

「本当に素敵な景色をありがとうございます。楽しい時間もなんとやらということで、次が最後の曲になります」「最後の曲、みんなでたくさん歌ってほしいです。大きな声聞かせてくれますか?」と伝え、披露したのは彼らのはじまりの曲である「RE:Unison」。先の見えない世界でそれでも走り続けるという楽曲のテーマが彼らのこれまでの歩みと重なり合い、積み重ねた年月の意味を深く実感する場面となった。愛と感謝を込めた、全身全霊の歌唱が響き渡った。

アンコールでは、ステージ衣装からラフなTシャツ姿にチェンジした4人が登場。「アンコールありがとう!」とお礼を告げ、「アドベントクローバー(2025ver)」を歌い始める。クレノアが結成前に制作した初めてのオリジナル曲をアレンジした本曲。「間違いだらけの足跡も刻んできたけど 握りしめたその手振りかざせ 願いにこの身を咲かすのさ」という歌詞は、まさに彼らを象徴しているかのよう。5周年ツアーのファイナルという記念すべき日に聴けたことが、改めて感慨深い。新曲「ワスレノート」もサプライズ披露したあとは、メンバーからの感想タイムへ。

しるばーなからは、楽曲制作した「ワスレノート」に込めた想いが語られた。もともと気持ちを言葉にするのが得意ではなかったという彼にとって、曲を書くことが本音を伝える手段だったそう。そして、それができたのは「クレノアという場所があったから」と感謝の言葉を繰り返した。失敗や後悔を抱えながら、それでも前に進もうとする想いをつづった「ワスレノート」。忘れようとせずに向き合い続けた先で、いつか笑える日が来るようにと、真っ直ぐな言葉を紡いだ。

「今日でツアーが終わると思うと、明日から暇になっちゃう」と笑いながらも、活動を続けてきた5年間を振り返ったのは、まるぐり。クレノア結成前に仕事に追われて活動から遠ざかっていた時期、スタンガンに背中を押されたことが再出発のきっかけだったという。また頼もしく見えていたメンバーたちも実は多くの苦労を重ねてきたことを知り、「自分も一緒に頑張らなきゃ」と感じるようになったと語った。最後は「この5年間、ほんと頑張ったなあ」としみじみと締めくくった。

「今朝は終わってしまう寂しさで胸がいっぱいだった」と語ったのは、しゃけみーだ。仲間の努力や変化をそばで見守ってきた彼。他のメンバーに対して気後れしていたと吐露したまるぐりに対して「この5年で一番リスペクトが増したのはあなただよ」と伝える熱いシーンも。結成当初は自信のなさからリスナーたちに言えなかった「これからも僕たちについてきてくれますか?」という言葉を、真っ直ぐに投げかけていた姿が印象的だった。

そしてリーダーであるスタンガンからは、メンバー一人ひとりへの感謝の言葉が贈られた。しるばーなには、クレノア結成前「人前に立つより裏方がやりたいと言われたことが悔しかった」と当時の想いを明かしつつ、今では一緒に活動をできていることの喜びを伝えた。まるぐりには、歌い続ける力を与えてくれた存在として深い信頼を寄せ、「彼のアドバイスがなかったら、今僕は歌い手をやってなかったかも。これからも歌い続けてください」と語った。そしてしゃけみーには、かつての挫折を経て今も変わらず支えてくれることへの感謝を言葉にし、「リーダーとして未熟な自分を導いてくれる存在」として特別な思いを語った。

涙を流すしるばーなとスタンガンをしゃけみーとまるぐりが慰める姿にもグッときたところで、ラストナンバーの「約束のウィンクルム」へ。このときの客席を埋め尽くす緑のペンライトがクローバー畑のように広がる光景はきっと、会場にいた全員の心に刻まれたはずだ。そして最後にもう一度、「Wonderment!!!!!」を全力で歌い上げ、3時間超の濃密なライブの幕が下ろされた。それぞれの歩みと想いが交差した5年間。そのすべてを祝福するように咲いたクローバーの光景は、クレノアとリスナーが紡いできた物語の確かな証となった。

取材・文◎伊藤美咲
写真◎山田飛鳥

前のページへ
1 / 2