 JPJ=JOHN PAUL JONES(ジョン・ポール・ジョーンズ) SH =STEVE HACKETT(スティーヴ・ハケット) PG =PAUL GILBERT(ポール・ギルバート) NB =NUNO BETTENCOURT(ヌーノ・ベッテンコート)
●東京での二日間の公演を終えての感想は? 特に楽しめた曲は?
JPJ:全員と何らかのコンビネーションで演奏することができたけど、ヌーノの「GRAVITY」やスティーヴの「DARK TOWN」など他人の曲をやるのは楽しいもんだね。。他人の曲だとリラックスしてプレイできるんだ。もちろん、私のソロの曲もツェッペリンの曲も少しずつやったけど。ポールと二人、マンドリンとギターだけで演奏したのもよかったなあ。通常ではやらないことをやれたのが嬉しかった。  SH:ジョンの言うとおり、自分の曲は100年もプレイしてるからあまり驚きはないけれど、他人の曲はそう言った意味でも楽しいよ。特にアンコールは楽しかったな。ハーモニカも吹けたしね。僕は、ギターを弾き始める10年も前からハーモニカを吹いていたんだ。だから、今回の演奏を見て雇ってくれる人を待ってるよ! ギャラはビール代だけでいいかな(笑)。
PG:僕個人としては、ステージ横でスティーヴのクラシック・ギターを見てた瞬間が最高に幸せだった。彼の手にかかると、ギターがまるで別の楽器に見えてくる。あの右手の動きは本当にスゴイよ。ギターという楽器を完全な形で扱ってる。僕には考えつかないことだらけだったよ。ヌーノは、最初にLAで会った時、似たようなバックグラウンドを持ちながら、こうも違うんだなと実感した。彼のリズミックなプレイは大好きなんだ。ドラマーの心を持つギタリストだね。ソロもウマイし声もいいし。昨日最も感動した瞬間は、ジョンとツーショットで「GOING TO CALIFORNIA」を演奏した時。もう少しで泣くところだった。
JPJ:そんなに酷かった?
PG:(笑)  NB:スティーヴと二人で飛び出してって、もう少しで君を抱きしめるところだったよ!(笑)
PG:本当に感動した。あまり考えすぎないように自然体でプレイしたのがよかったのかも。彼は僕らに大きな影響を与えた。ツェッペリン時代はもちろん、ソロの曲もとても興味深い。しかも、あのラップスティール! 昨日の「NOBODY’S FAULT BUT MINE」で弾いたラップスティールは世界一アグレッシヴだと思うよ。マンドリンも素晴らしかった。僕の曲では、初めてライヴでやった「VIKING KONG」がよかったな。スピーディーな曲だけど実際はスローなパートも多くて、ありとあらゆるチョーキングを駆使してみたよ。僕はトレモロアームを使わないから、指で思いっきりチョーキングしてね。
NB:僕にも教えてほしかったな!
PG:あとはお客さんもとてもよかったね。  NB:僕は今12歳だから2歳の頃聴いてた音楽を…じゃなくて、とにかく、「LOS ENDOS」を演奏したことが嬉しかった。っていうか信じられなかった。だって僕は大ファンで、ジェネシスもスティーヴの音楽も全部聴いていたからさ。それに、まさかこの自分があのジョン・ポール・ジョーンズと「NOBODY’S FAULT BUT MINE」を演奏するとは思わなかった! この曲は全員が参加したという意味でも特別だったし、一人でも間違うととんでもないことになっちゃうから、みんな祈るような気持ちで演奏していたんだよね。だから無事演奏し終えた時には思わず手を挙げて「やった!」って叫んじゃったよ。あと、今回大好きになった曲が(ジョン・ポール・ジョーンズの)「TIDAL」。リハーサルの時ジョンが「誰か手伝ってくれるギタリストはいない?」と訊くから必死にアピールして使ってもらったんだよ(笑)。あのリフのパワーは僕の体内へ染みこんでいったね。あと、ポールの「I LIKE ROCK」も、あのラモーンズばりのノリが楽しかった。とにかく全部が全部楽しかった。自分が出てない時でもずっと聴いていて、早く出たくてしょうがないって気持ちだったんだ。最高だね。
SH:やっぱりアルバム作る?  NB:いいねえ。ライヴ盤?
●ヴォーカルのゲイリー・シェローンの参加はたった3日前に決まったと聞いたのですが、彼の参加についてはみなさんどう思われました?
JPJ:よかったと思うよ。特にツェッペリンの曲に関してはね。ソロの曲はスティール・ギターじゃないと高音が出ないから頼めなかったけど。
NB:犬にしか聞こえない周波数なんだ(笑)。
JPJ:ゲイリーは空港からリハーサル・スタジオに直接やって来て、待ち受ける我々に挨拶するやいなや、いきなり「ROCK AND ROLL」を歌い始めたんだ。 素晴らしかったよ。声もいいし動きもいいし背もちょうどいいし(笑)。
SH:彼はとてもラウドなシンガーだね。
NB:エクストリーム時代からそうだった。しかも、ライヴの時はステージ上のすべてのモニターから自分の声を出していた。後ろのスロープの途中にあるモニターからもね。ありとあらゆるところから彼の声が聞こえてくるんだ。あれだけ動き回るからしょうがなかったけどさ。
●ツェッペリンの曲はどのようにして選んだんですか?
PG:他に好きな曲がなくてさあ(笑)。 NB:僕らはツェッペリンの曲は全部知ってるから、ジョンに向かって何気なくサインを出したんだ。「この曲はどう? こっちはどう?」ってね。強引に演奏してみたものの、次々却下されてしまった。一番無難なヤツが残ったってカンジかな。
JPJ:いや、実は覚えてる曲が少なくてね!(笑)
NB:僕らの存在が怖かったらしいよ。
JPJ:彼らの前で「忘れた」とは言いたくなかったんだ。だから「その曲はちょっと…」って遠慮してみた(笑)。  ●でも「ROCK AND ROLL」は当然のチョイスでした?
NB:そう、楽しい曲だよ。特に昨夜のヴァージョンは凄かった。
SH:素敵な曲だ。
JPJ:みんなが参加するにはもってこいなんだ。ソロ・パートもあるし、いろいろなことができるから。
●他にどんな曲をやってみたかったですか?
NB:それを話し始めたら一晩かかるよ。ツェッペリンの音楽の問題点は素晴らしすぎるってことなんだ。アルバム1枚の中に、平均的なバンドが生涯でやっと達成するようなことが全部詰め込まれている。ジョンの前で改めて言うのも何だけど、ツェッペリンの音楽に退屈な瞬間はないんだ。だからすべての曲をやりたかった。「THE OCEAN」とかも試したし。
●「NOBODY’S FAULT BUT MINE」のラップスティールには感動しましたが、ツェッペリン時代からかなり弾いていたんですか?
JPJ:ソロになってからやるようになったけど、ツェッペリン当時は、ホテルの部屋で練習するために持っていたんだ。部屋で一人ベースを弾いててもちっとも楽しくないだろう? スチュワート・ハムならともかく(笑)。でも、ツェッペリンの時にステージで演奏したことはなかった。ソロになって、ベースとキーボード以外の“声”を探していた矢先に、ディアマンダ・ギャラスとコラボレートすることになり、彼女が「その楽器は何?」と訊くんだ。最初は躊躇していたんだけど、一度ライヴの時に使ったら凄くいい感じだったんで、それがきっかけになって使い出したんだよ。
>>>Part 2に続く>>>
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