| ──自分のことをゴスだと思いますか? それともアウトサイダーだと? エイミー:何が言いたいのか分かるわ。でもこの2つの言葉“ゴス”と“アウトサイダー”って一緒じゃなくてもいいわけよね。私は間違いなく、いつだってアウトサイダーよ。でもいつも黒い服を着てたわけじゃないし、片隅にいて手首切ったり、自傷行為を繰り返してたわけじゃないわよ。違うわ! そういうタイプじゃない。ひとりでいることは間違いなく多かったし、美術を勉強していて、それに夢中で、ランチのときでさえ、ホールで芸術作品を作ってたけど。それかクワイアのリーダーだったり。ぱっとしなかったかもしれない。でも、「彼女っておたくよね」って感じじゃあなかったわ。というより「あの子、誰?」って感じ。人とは違う格好して、多くの人とは話さなかった。1人か2人、親しい友人がいたってだけ。 ──もし歌っていなければ、いま何をしていたと思います? エイミー:まったく歌ってないとしたら、それはそれでおもしろいかもね。でも不幸せだとは思ってないでしょうね。やりたいことは山のようにあるもの。歌うのが好きなのは、魂が話しているように感じられるからよ。でもそれだけじゃなくて、死ぬまでにやりたいと思うことはいっぱいあるの。子供のために、美術か音楽の先生になりたいわ。いつもそう思ってたの。近所の子供たちにピアノを教えていたこともあったわ……。資格持ってるわけじゃないから違法なんだけど(笑)。それに、何があるかしら。ヴィジュアル・アートも好きなの。ずっとやってきたし、今もそう。いつか、すごいショウを開きたいわ。(やりたいことは)いっぱいあるのよ。 ──今やっていることに、組み合わせることもできますよね。 エイミー:その通り。それってスゴくいいわよ。今やってることに服のデザインを組み合わせてるわ。クールでしょ。最初はそれほど真剣じゃなかった。かっこいいけど、衣装のことなんてふつう、誰も気にしないでしょ。でも、バンドや詩、それに自分たちのやってることを服のデザインを通じてヴィジュアルに表現できるの。おもしろいわよ。 ──バンド最大のブレイクは何だと思いますか? エイミー:私たちが注目されるようになった出来事? “ええ、マジ!”って思ったことは何度かあったわ。中でも覚えてるのは、VMA(MTV Video Music Awardsの授賞式。多くのセレブが集まる)にいたとき。毎年観てたから、ちょっと衝撃だった。大したことじゃないし、有名人に興奮したわけでもないけど、その場にいたのはクールだったわ。「私たち、ホントにここにいるんだ。それに、みんな私たちが誰か知ってるんだ!」って思った。まあ、何人かはね。実際、ほとんどの人はそうじゃなかったけど! そんなことがあったわ。あとはUKで1位になったとき。その時、イギリスにいたの。それは、すごい衝撃だった。私はいつも、自分たちの音楽がUKのマーケット向きだと思ってたし、UKで流行る音楽が好きだったんだけど、他の人は「ええっ? UK? 無理だろ。もし行けたとしても、成功するには長い時間かかる」って言ってたの。でも彼らは初めから私たちを受け入れてくれたわ――それって大きいことだった。 ──クリスチャン・ロックの騒動(左の関連記事参照)は大変でしたか? それともすでに終わったことですか? エイミー:終わったことよ(笑)。 ──ファンとはよくコンタクトを取りますか? エイミー:もうメッセージ・ボードはやってないわ。でも非公式のサイトでいいのがいくつかあって、そこはよくアクセスするわ。ファンと直接コンタクトを取るのってとても大事だと思ってる。正直言って、私がほんとにそうできるのは、ショウだけね。1月からツアーをするから、そういう機会はあるわ。ほとんど毎晩。もちろん、ショウでプレイしてるときは、クールだし親密になれるけど、そのあと、少ししてから外に出て彼らと話したり、サインをしたり、そうね……、彼らの言いたいことを聞いたり、そういうのって大事よ。だって多くの場合、次のショウではほんとに、ほんとに素晴らしいプレイをしたいってインスピレーションをもらえるもの。「あなたの音楽が息子を失った痛みを克服するのを助けてくれた」とか。 ──時々、そういう場に自分のクローンを見たりしませんか? エイミー:私のクローンなんてどこにもいないわよ! 縞模様のアームバンドやバタフライの羽をつけてる女の子はいるわよ。かわいいって思うわ。でも、みんなには何よりも自分で考えるようにってインスピレーションを与えたいわ。 ──あなたのバンドに対する批評はどう考えていますか? エイミー:お気に入りの批評はUKで言われたものかな。みんなが私たちを気に入ってくれるちょっと前、その1週間前には彼らは私たちのことを嫌うって決めたみたい。確かNMEか何かがこう言ったのよ。「エヴァネッセンスは黒く塗りつぶされたピカチューのようなゴスだ」って。それが私たちについて言われたものの中で一番のお気に入りよ。これがあなたの質問の答えになってるかわからないけど。ああ、質問はみんなが私たちを批評するのをどう思うかってことだったわね。そうね。いい批評もたくさんあると思うわ……。批判的なものもいっぱいね……。よく知らない。そういうの深刻に取らないってことを学んだの。これは、ほんとにクールなドライヴだってこと。ただドライヴってことにしておく。私の人生すべてってわけじゃないし、もし何もかも崩壊したら、私も終わりだなんて考えたくないの。そうじゃない。私は大丈夫。 ──ゆっくり座って、自分の成功を客観視することができますか? エイミー:ないわ。ゆっくり座って何かを客観的に考える時間なんてない。何が起こっているかは、ツアーの途中や仕事をしてるときにだんだんと実感していくものなのよ。もうじき、ようやく休みを取ることができるの。楽しみにしてるわ。多分、親と一緒にゆっくりして「うーん、すごい、レコード売れたわね」とでも考えるんでしょうね。昨日の夜、プラチナ受賞パーティをやったの。楽しかったわ。あれでちょっと実感したってとこね。 ──現在の音楽業界を見てどう思いますか? エイミー:この業界? 間違ったことがいっぱいあると思うわ。でもいつも間違ったことがたくさんあったんでしょうね。アーティストがお金や何かで言いくるめられるとか、'60年代から同じことばかり聞いてる。全部、本当よ。そういうのは実際に起きているわ。いろんなことがあるんだって実感し始めてた。レコード契約ってだけじゃないの。『The Buddy Holly Story』(バディ・ホリーはエルヴィス・プレスリーと並ぶロック創世記の一人で、ビートルズにも影響を与えた。22歳で飛行機事故で亡くなるという悲劇的な生涯はミュージカルになったこともある)を観て分かったって考えるような単純なことじゃない。わかりようがないわ。自分のために仕事をしてくれる人たちをちゃんと信用するとか、みんなの目的を理解するとか、そんなことも関係してくるの。それに自分自身を信じなきゃいけないし、自分で考え、もう少し粘らないと。こんなこと言うの嫌なのよね、だってビジネスとは関わりたくないんだもの。私はアーティストでいたいの。余計なことに振り回されないで、アートを作って、それを人に聴いてもらいたいの。お金をもらってるからってことじゃない。でも残念ながら、そんなことはできないか、最終的に傷つくことになるわ。だから、ほどほどにしなきゃいけないのよ。 ──個人的、もしくはアーティスト的にあなたに影響を与えた人物で、みんなが聞いて驚くような人はいますか? エイミー:驚く? うーん、誰を挙げられるかしら? 正直言って、私が聴いている曲の半分くらいはみんなを驚かすと思うわ。だって私、何でも聴くもの。でも、それはほんとじゃないか……。カントリーは聴かない。カントリーのレコードは1枚も持ってないわ。それだけ。でも、ほら、マイケル・ジャクソンが好きなのよ、ずっと。9歳かもっと小さいときからずっと、マイケル・ジャクソンのファンなの。今でもそうよ。彼ってすごいわ。もちろん、今彼がやってることはずいぶん変わってきたわ。でも大勢の人が好きじゃないって言うアルバムでも、私は好きなの。そう、マイケル・ジャクソンよ、いつも。 ──じゃあ、(カントリー歌手の)フェイス・ヒルとデュエットするってことはないんですね? エイミー:(笑)ないわ。でも本当は、ジョン・デンバーのアルバムを持ってるの。今思い出したわ。 ──2ndアルバム制作の準備はできているんですか? エイミー:ええ、いつも次の曲やアルバムについて考えてるわ。次の何かを。みんなにいつも、プレッシャーはある?って聞かれるの。1stみたいにいいアルバムを作らなきゃっていうプレッシャーがあるかって? ないわ。何故だか分からないけど。『フォールン』を作ったとき、あれはアート・プロジェクトだったの。さっきも言ったように、自分の好きなミュージックを作っただけ。また同じことをやると思うわ。自分たちをハッピーにするような音楽を作っていくだけよ。それで他の人が気に入ってくれないなら、それでいいの。もうやったから。 ──いつ、自分が息の長いアーティストの仲間入りをしたと実感するのでしょう? エイミー:そんなこと考えることはないと思うわ。キャリアが長いってことに関して言えば、「ワオ、私こんなに長い間やってる。メタリカみたい」なんて考えるときが来るとは思えない。そんなこと分かるわけない。私がひとつ学んだのは――今年ってわけじゃないけど、いろんな出来事があって、この2年の間に成長したのね――何も期待するなってことよ。全力を尽くして、後は何が起こるか見てみようってこと。そして心を開いておく。これからの10年はそうする準備ができてる。それ以降は分からない。どこかで教師になる心構えはできてるの。予期しないことが起きるのは計画のうちよ。 ──グラミーの最優秀新人賞はどうですか? ノミネートされると考えていますか?(インタヴューはノミネートの発表前に行なわれた。彼らは最優秀新人賞にノミネートされている) エイミー:グラミーを獲るなんて信じられないことね。そういう賞は何であれ、驚きだわ。でも、(受賞したら)しばらく父親に賞を預けておくことができるわ。父親はそういうのをすごく誇りに思ってるの。賞ってそんなものでしょう。父親のためよ。だから素晴らしいわ。もう一度言うけど、私はそういうことを深刻に取ってないの。賞をもらうためには何でもするとか、誰かのゴマをするってことはしないわ。でも、もちろん名誉なことよ。 By Dave DiMartino (C)LAUNCH.com <<前のページに戻る | |