| 「ブリング・ミー・トゥ・ライフ」のビデオで、エイミー・リーが窓枠にためらいながら立ちすくんでいるそのとき、エヴァネッセンス自身もスーパースターの地位を垣間見てためらっているところだったなど誰が想像しただろうか? この驚きのヒット曲――12ストーンズのポール・マッコイをフィーチャーした暗くドラマチックなロックンロール・シンフォニーにより、エヴァネッセンスは一瞬のうちに今年最大の新人バンドへと変身した。続く「ゴーイング・アンダー」も彼らの名声を高めるだけだった。 この独占インタヴューが行なわれた当時、ギタリストでオリジナル・メンバーのベン・ムーディがバンドを脱退するなど知る由もなかったが(ムーディ脱退の1週間前に行なわれた)、LAUNCH.comの編集者デイヴ・ディマティーノに見せた彼女の冷静で落ち着いた態度から判断する限り、エイミーは未来に何が待ち受けていようともうまく切り抜けて行くのだろう。「(スターダムを)深刻に取るなってことを学んだわ」と彼女はデイヴに話した。 「ほんとにクールなドライヴよ。ドライヴってことにしておく。私の人生すべてではないわ。もし何もかも崩壊したら、私も終わるなんて考えたくない。そうじゃない。私は大丈夫……。そうならないよう心構えはできてるの。どこかで教師になろうっていう準備はできてるのよ。思いがけないことが起きたときの準備はできてるの」 エヴァネッセンス以降の人生で何をするかという話だけでなく、エイミーは、ゴスに対する考えやどんなティーンエイジャーだったのか、成功して変わったことはあるのか、そしてグラミーの最優秀新人賞にノミネートされるかもしれないという噂をどう感じているのか話してくれた。答えはこうだ。 ──あなたは急に名声を得たわけですが、個人的なレベルでそれにはどう対応していますか? エイミー:そうね、これって一夜のうちに起きた出来事って感じかな。ちょっと信じられない。でも、私たちが本当に長い間やってきたのはわかるでしょ。この音楽を7年も書いてきたのよ。ベンと私で。そういう意味では、努力が報われたって気もするわ。 ──あなたが成功したことにより、周りのあなたへの期待感が変わったと思いますか? エイミー:(笑)不安になるようなこと言わないで! そういうことは、あんまり考えないようにしてるの。他人が私についてどう思うかなんて気にしないようにしてる。彼らの期待を気にかけるなんて馬鹿げてるわ。私は私でいるだけよ……、後はほっとくしかないわ。 ──エヴァネッセンスのどこがこんなに多くの人を魅了するのだと思いますか? エイミー:あら、まあ(笑)。私たちのどこが多くの人を魅了するかって? 分からないわ。私たちが正直で媚びてないって考えてくれていればいいんだけど。何でレコードが売れているのかなんて分からない。ホント、分からないわ。この業界ではこれまでにもいろんなことが起きてきたでしょ。驚くことばっかりよ。ただみんなが、私たちは自分の好きな音楽を作ろうとしてるんだって感じてくれていればうれしいわ。最初から私とベンはこう言ってたのよ。「自分たちのお気に入りのバンドになりたい」って。私たちは、自分たちがスゴく好きなものにしようって、ジャンルにこだわらず音楽を作ったの……。売れそうだとか、みんなに気に入られようなんて考えなかった。自然だったの。それが理由だと思いたいわ。 ──男性と違って、ロックンロールの世界では女性の役割に限界があると思いますか? エイミー:へえ、あなたの質問ってほんとにおもしろいわね。素晴らしい質問だから、答えるのが難しいわ……。そうね、女性だからってこの業界で何か制限されているなんて感じたことないわ。何かできないことがあるとは思ってない。私はほんとに、ほんとにこの世界にいることを誇りに思ってるの。だから周りにあんまり女性がいないのは変だと思ってる。最近、そういう虚しさはあるわ。ほんとに残念。私たちがもっとみんなを――女の子をインスパイアすることができるといいんだけど。できるんだって。ほんと変なのよ。レコードを出そうとするまで、こんなこと少しも変だとは思わなかったけど、業界の人間はみんな、すごく騒いだの。「こんなのダメだ! こんなの出したって、駄作だって言われる。オルタナティヴのラジオ局でかかるわけないだろ。ピアノに女性ヴォーカリストで始まるんだからな。無理に決まってる!」って。「なんで?」って感じ。理解できなかったわ。女性だからって、気にしたこともなかったし、邪魔されることもなかったわ。女性だってこと誇りに思ってるもの。 ──現在のバンドは、あなたが初めてバンドを結成した当時思い描いていたものに近いですか? エイミー:おもしろいの……。人間って絶対に成長するし、長い間書いていると、自分が成長するにしたがって書くことも変わっていくのよ。でも、15で似たような曲を書いてたの覚えてる。今のアルバムと同じような音を出したかったの……。でもストリングスもクワイアもなくてできなかった。そうそう、高校のクワイアを連れ出して、ベンのアパートの納戸でレコーディングしたこともあったわ。当時から同じようなアイデアはあったのよ。そして、ようやく『フォールン』をレコーディングしたとき、私は20歳だったんだけど、「ワオ、これって'97年に出したかった音だわ!」って興奮しちゃった。だから、ほんとクールだったわ。本当に。いつも考えていたのに近い音を出してると思うわ。ただ、前よりはるかに良くなってると思う。 ──あなたの成功は、昔の友人との関係やもしくはバンド内で重荷になっていますか? エイミー:そういう友人との関係を保つのは、それほど大変じゃないのよ。そんな人たち、もういないと言っていいわ。友たちが多くないって言うのは残念だけど、そんなの大したことじゃないわ。どうせ、もともと大勢の友人がいたわけじゃないから。ほんとにいなかったの。契約交わして、成功したからじゃなくて、引っ越してばかりいたからよ。私はいつも移動してるから。高校を卒業してすぐに、バンドと一緒に他の街へ移ったの。契約を交わすために一生懸命だった。それで契約を交わしたときにはまた他の街へ移って……。いつも引越しばかり。だからみんなと連絡取らなくなってたの。連絡取っている親しい友人は何人かいるわよ。彼らのことは本当に友達だって思ってる。だって、彼らはいつもそこにいてくれるもの。でも、ツアー中にいい友達ができることもあるわ。他のバンドとか。いつも彼らと抱き合ってるわ。彼らのこと、大好き。確かに、この仕事しているとそういう人たちに囲まれてるわ。他のバンドにもいい友達はいる。そんなものよ。 >>次のページへ進む | |