pic by Teppei 2ndアルバム『ホテル・ペイパー』がオリコンの総合チャートで最高8位をマークし、セールスも25万枚突破と好調な中、ミシェル・ブランチが2度目のジャパン・ツアーを行なった。『ザ・スピリット・ルーム』で2001年にデビューした彼女は、米国、日本はもとより世界的に瞬く間に人気を獲得。今回の来日公演も東京、名古屋、大阪が即日完売(東京はなんと5分で完売!)、気がつけばほぼ全公演がソールド・アウトという人気ぶりだ。 満員のZepp Tokyoは予想通り女性ファンが多かったが、ファン層は幅広く、20代後半以上の人々も多かった。彼女が若いポップ・アイドルのファンだけでなく、それなり音楽を聴き込んできた音楽リスナーにも支持されていることがわかる。 ライヴは2ndからのアップチューン、「ファインド・ユア・ウェイ・バック」で幕を開けると、1stアルバムからの大ヒット曲「エヴリウェア」が前半のハイライトとなった。やがて、バンドはいったん下がり、アコギとピアノをフィーチャーしたアコースティック・セッションに入る。照明も暗くなり、「デスペレイトリー」「ホテル・ペイパー」「グッドバイ・トゥ・ユー」などを、ミシェルが椅子に座っての弾き語りも交え、しっとりと歌い上げた。 pic by Teppei アコースティックギターを基本的な楽器として弾き語りをする様子はまさに“シンガー・ソングライター”。最低限の機材しか置いてないシンプルなステージセット、Tシャツにジーンズというシンプルなファッションは、エレアコを中心にセッティングされたシンプルなサウンド同様、最小限にして必要十分の機能を果たしていた。主役はあくまでも“ミシェル・ブランチ”という存在そのものと彼女の生み出す音楽なのだ。 アコースティック・セッションの後、再びバンドとの演奏に戻って数曲を披露。サンタナと共演した「ザ・ゲーム・オブ・ラヴ」をソロで披露し観客を沸かせていた。 ツアー中にホテルの部屋で書き綴ったとあって、2ndアルバムの曲にはどこか孤独や寂寥感がつきまっている。リードトラックの「アー・ユー・ハッピー・ナウ?」も決してハッピーな恋の歌ではない。しかし、その孤独や悲しみも自分のものとして受け入れる姿勢こそが、主に10代前半に書かれた1stアルバムより人間的に成長した彼女を感じさせ、またファンの共感を呼ぶ要因なのだろう。そうした曲の持つエモーションも、ライヴではあの透き通る伸びる声と情感溢れるアコースティックギターの演奏によって的確に表現されていた。 「エヴリウェア」のPVでアコギを抱えていたギター少女は、二十歳になった今も、そのままテレビの画面から出てきたかのようにステージに立っていた。変わらないここのままのミシェルでいて欲しいという気持ちの一方で、大人の女性になった彼女の音楽性はどこに向かうのかという、新たな興味も高まったステージだった。 取材・文●末吉靖永 ■関連記事 才能あふれる若き歌姫 ― ミシェル・ブランチ、最新ロング・インタビュー! 野球に例えるなら、ドラフト1位クラス! ミシェル・ブランチ シークレット・ライヴ |