2003年7月2日(水) @渋谷・NHKホール 1) JUMP 2) Grip! 3) self reliance 4) flavor 5) stray cat 6) Time goes by 7) For the moment 8) 出逢った頃のように 9) nostalgia 10) fragile 11) (When) Will It Rain 12) キヲク 13) AMBIVALANCE 14) Shapes Of Love 15) Future World 16) Dear My Friend 17) UNSPEAKABLE encore 1) Free Walkin' 2) ささやかな祈り 3) 愛の謳 『Many Pieces』 avex trax 2003年03月19日発売 AVCD-17240 3,059(tax in) ●“プチしあわせ” 今回のツアーのテーマ。各会場のロビーに巨大風船と小さな風船が設置されていたのだけれど、小さな風船にはモッチーが「プチしあわせ」な一言を綴った文字がプリントされていて、その風船は当たりくじを引いたファンにプレゼントされました。 ●ライヴのオープニング 「MOTHER」「LIFE」「WILL」「HAPPY」……ライヴのオープニングではこれらの単語が綴られた映像が流れました。これはプチしあわせな風船にプリントされた単語でもあり、モッチーのプチしあわせを表わした単語でもあります。 ●銀テープにかかれたメッセージ ライヴ後半で歌われた「Shapes Of Love」のとき、会場に飛び出した銀のテープ。なんとメッセージが書いてあり、4種類ありました。 ・「私は「いつでも」という言葉が好きだ Every Little Thingがそんな存在でいたらいいな Every Little Thing」 ・「前略。同じひとときを過ごせて、大いに喜んでおります。一朗」 ・「またどこかでおあいしましょう!! いとういちろう」 ・「いくつもの小さな幸せをいっぱいいっぱい見つけてな 今日は来てくれてありがとう…またな 持田香織」 ●終演後のスライドショウムービー なんと、それぞれの当日、会場入りするオーディエンスの様子が映っていたのです。 ●ツアー中の、オフ日記 今回はツアーに同行スタッフがELTの2人のオフショットを中心に写真で日記を綴り、BARKSでも展開しました。 そちらを観たい方は、下記画像を
| | 巨大な三つの風船が息づく惑星のように色を変えている。湖面の細波が光のカーテンとなってその惑星をうごめかす。オープニング前に広がる会場の空気は、期待に膨らむオーディエンスのざわめき。 ステージ上に浮かんだ三つの風船を見上げながら、客電が落ちるのを待つ。正直に告白するが、私はELTのライヴはこれが初めてなのだ。 いきなりの爆音に腰がギクッた。なんじゃこれは! なんというラウドさ。キックの堅さと定位の低さ、それに絡むベースの重くクリアな音色。そしてLRに鎮座するKeyに加えギターがダブル。おまいら、へヴィーメタルかい!? 私の場合、体質的にギターサウンドに耳をうばわれがち。いっくん(伊藤一朗・G)は、艶とサステインをたっぷりと含んだ高品質ディストーションを機軸に、スキッピング、タッピング、ディレイ小技などを絡ませてくる。ソニックブルーのスケアリーを抱えている時点で、もう“単なるギター小僧”ぶりがバレバレというものだ。 ステージは基本的にシンプル。飾りのない演出のなか、モッチー(持田香織・Vo)は天然のじゃれネコのように、空を蹴りモニターに足をかけ、へなちょこにジャンプする。白いバスケットシューズの靴底が照明をよぎる。「お前ら、準備はいいかぁー、いぐぞをぉー!」「アホになること、できんのかぁー、おまえらーーー!」…ギクッた腰に追い討ちをかけるモッチーの煽りが、抜けかかった腰のツボにジャストミートし、私の背筋がピンと伸びた。ワンテンポ置いて鳥肌がゾワゾワゾワ~と降臨した。もう、私はELTの奴隷である。「桃の皮を剥いた手の匂いを嗅ぐのが好きなの♪」と天然炸裂の発言に「そうだそうだ!そのとおりだ」と心で叫んだのは私だけではないはずだ。 しかしながら、アンコールもいれて全20曲。倍音たっぷりのかわいいモッチーの声は、時折疲れを見せた。いっくんのギターは歪み成分とディレイの過剰により、アタック成分しか届かない。キャノン砲がぶっ放されアンサンブルは爆音となり全てが嵐のように吹き荒れた後半戦でもあった。本当のことを言えば、持田香織のキュートな歌を一番引き立たせるのならばこのサウンドじゃないはず。もっと楽にもっとスマートにサウンドを構築しオーディエンスを満足させる手段はいくらでもある。だがしかし、ELTはヘヴィメタル。バンドサウンドを核に笑顔を湛えながら全身で歌う持田香織は、オーディエンスのプチ幸せを目覚めさせる“天使のオジーオズボーン”なのだ。 裸でぶつかりリスナーと対峙し、大上段に構えない“ロックバンド”のサウンドを持ってして、Every Little Thingはツアーを駆け抜けた。モッチー持ち前のチャーミングさがELTの武器なのだろうと勝手にかんぐっていたものの、実は、ステージに花を添える天然のフレーバーにすぎないことがやっと理解できた気がした。 とびっきりのアイドル性と超A級POPSセンスをゴリゴリのバンドサウンドに注入し、本人達そのものがバンドサウンドを存分に楽しむという図式…そんなELTをこれから好きになる“ELT未体験・音楽マニア”が日本各地から増殖していってほしいなあ、と、私のプチ希望が芽生えてきた。 文●烏丸哲也 (四十肩に真剣に悩む編集長) | Every Little Thingのライヴを観るのは初めて。どんなステージなのかドキドキと期待が膨らむ。 満員のNHKホール。男女比はちょうど半々ぐらいかやや男性が多い感じ。カップルが多く、また小さい子供や親子連れの姿もあり、ELTのファン層の厚さを感じた。 席について待っていると、客電が消えステージに白い風船が。ステージには「HAPPY」「WILL」「VOYAGE」などの単語が風船に浮かび上がる。ポジティブなメッセージでなんだか明るい気分になってくる。その風船がパンっと割れてライヴがスタート。割るのかよ! ってそれは置いておいて、いよいよライヴ開始! 生バンド、それも激しいバンド・サウンドにびっくり。普段聴いていたELTのイメージをいい意味で裏切られた感じ。先ほどカップルが多いと書いたが、きっと(男の子の方が)苦労して取ったチケットで、大好きな生ELTを聴きながら肩を寄せ合ったり、こっそり手を握り合ったりして、スローなバラードに合わせて、チュッなんて、暗がりでしちゃったり?……と妄想していたような甘いものではないのである。 ロックである。すでに開演と同時に1Fはほぼ総立ち。熱い。NHKホールが燃えている。いや、萌えている(?) モッチーは髪を振り乱し、モニターに足をかけたり、空中キックをしたりと、カンフーばりのアクションがとにかく激しい。ツインギターから繰り出されるメロディはまさに“攻撃”。気を抜いていると打ちのめされてしまう。 モッチーの姿はパンク・バンドのようで、ちょっと怖いぐらいの迫力。ファンたちはハイテンションで「モッチー!」の声援。たまに「いっくん!」の声援も混じるが。観察していると、決して「イー・エル・ティー!」「エブリ・リトル・シングっ!!」とは言わないようだ。長いからね。 曲間のMCではメッセージの投げかけ合い。モッチーとファンが昔からの友だちのように談笑している。このように等身大で会話してくれる人間性に魅力を感じる。MCの細かい内容にまで、突っ込みや合いの手が入る。やっぱりファンに愛されているバンドなのだなぁ、とつくづく実感。しかし、ファンの片思いではない。バンドの方もファンを愛しているのだ。それはライヴ中に舞った銀のテープのメッセージやエンディングの映像など、溢れるほどに感じ取れた。 全20曲という長いセットリスト。激しいギターチューンから泣けるバラードまで、バランスよく組まれていた。ライヴ・バンドELTの魅力の虜になりそうだ。リクエストするとすれば、今度は楽曲の方でこれまでのELTサウンドだけでなく、たとえばThe StrokesやWhite Stripesみたいな、ガレージ風のをぜひ聴いてみたい。絶対に似合うはず!! 文●末吉靖永 (なんちゃって24歳。実はもうすぐ30歳) | |