初期~最新アルバムまでバラードだけを集めたベスト盤登場、全15曲を一挙解説!

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珠玉のバラードが全15曲収録……
B'z 『The Ballads~LOVE&B'z』

薄暮の北風の中、葉を落とした街路樹の下を歩いていると、
独りぼっちな感覚を覚えると同時に、
かつての温かい光景をも思い出したりすることがあるだろう。
僕にとっても、ある意味で音楽を正確に聴けるような気になる季節である。
近年、企画アルバムをリリースしてこなかったB’zだが、
今冬は、待望のバラッドベストがリリースされることとなった。
タイトルは『The Ballads~LOVE & B’z』
録り直し曲はなし、全曲オリジナル・テイクのまま、
しかしリマスタリングされての全15曲収録アルバムである。
胸に染みる思い出となり、心躍る気力をくれたこの全15曲を熟聴しつつ
解説したいと思う。
文●佐伯 明
B'z初期のシングルから、最新アルバム『GREEN』まで幅広い選択のバラード集 

BALLADS ALBUM

『The Ballads~LOVE&B'z』

VERMILLION RECORDS
2002年12月11日発売
BMCV-8007 3,059(tax in)

1. いつかのメリークリスマス
2 .ALONE
3. 今夜月の見える丘に
4. HOME
5. Calling
6. TIME
7. 消えない虹
8. 月光
9. ハピネス
10. もう一度キスしたかった
11. 泣いて泣いて泣きやんだら
12. ONE
13. Everlasting
14. GOLD
15. SNOW


※全曲リマスタリング
※絵本スタイルのスペシャルブックレット
※豪華BOX付


○下記3曲はアルバム初収録!
・「今夜月の見える丘に」(Single ver.)
・「HOME」
・「GOLD」






M1:いつかのメリークリスマス
'92.12.9発売 4thミニ・アルバム『FRIENDS』収録曲
オルゴール(エンジェル・ヴォイス)から始まるB'z屈指のクリスマス・ナンバー。過去にファンが選んだベストアルバム『Treasure』('98年)に収録されたことからもわかるように、B'zファンの間では絶大な人気を誇る。『FRIENDS』では、アルバムを通して展開するストーリーを松本孝弘が作っており、あらかじめそれを受け取った稲葉浩志が作詞をしていったという経緯がある。<君がいなくなることを初めて怖いと思った>という一節は今も輝きを失ってはいない。後奏のアコースティック・ギターソロがゆっくりとフェイドアウトしていくところが銀幕っぽく、TAK(松本孝弘)のロマンティシズムがよく出ている。
M2:ALONE '91.10.30発売 9thシングル
「メジャーなバラードを意識して作った」というTAKの当時のコメントに何やら熱くたぎるものすら感じる骨太なバラッド。サビにはオブリガートのメロディがついており(<I was born~>のところ)、エンディングに近づくにしたがって主メロとオブリが並び立ち、コーダの部分でオブリがギターソロとともにそびえ立つところから“雄大なバラッド”と呼べるだろう。夕焼けがテーマのこの曲は、ツアー<LIVE-GYM Pleasure ’95 BUZZ!!>のときに、稲葉が弾くピアノの上にTAKが立ち、ステージに現われた映像とリンクして僕の心に残っている。(なお、今回のアルバムには、5thアルバム『IN THE LIFE』に収録されたアルバム・ヴァージョンが収録される)。
M3:今夜月の見える丘に  '00.2.9発売 27thシングル
マンドリンとミックスされたようアコースティックギターの音から始まるミディアム・チューン。ギターソロに至る前で、少し“タメ”のようなパートが用意されているところが興味深い。転調したサビの譜割りの部分で、稲葉が<つーないだら>と音を伸ばしているところも僕にとっては興味をそそられる。
M4:HOME  '98.7.8発売 25thシングル
イントロのアコーデオンと一緒に歌われるルーミーなエコーは、稲葉によれば“パリの地下鉄”をイメージしたもの。8小節歌われたところで、深い残響のアコースティックギターの裏で<ha~>という高いキーの稲葉の声が残り、ラテン系のリズムループが絡んでくるところは絶品である。この頃から、B'zはデジタルと生音のミクスチュアを自在に操るようになった。
M5:Calling '97.7.9発売 22ndシングル
UKのバンド、QUEENの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」のような“1曲中に曲の表情が変わる”ナンバーを念頭において、形にされていった異色のバラッド。何回となく“凍結”(レコーディング作業が暗礁に乗り上げること)を繰り返し、この最終型に落ち着いた。イントロとアウトロのヴォーカルとギターの“阿吽”は、まさにコール&レスポンスを具現化したセクションで、このセクションに挟まれた通常のバラッド・セクションを逞しく聴かせる効果があると思う。
M6:TIME '92.5.27発売 10thシングル「BLOWIN'」2nd beat
稲葉浩志の思い出の風景を回想するような作り方で、歌詞は書かれた。ギターのアルペジオとアタックを丁寧に積み上げる部分に、TAKのプロフェッショナルさを感じられる曲だろう。<LIVE-GYM>で演奏されればされるほど、B'zの足跡を刻む、ある種雄大な曲。
M7:消えない虹 '95.11.22発売 8thアルバム『LOOSE』収録曲
ピアノとともに、少し“うつむき加減”をも感じさせる稲葉浩志のヴォーカルが秀逸。後奏の、ピアノとストリングスに絡む枯れたギターは、ブルージーややジャズ寄りだ。3分35秒という小品バラッドだが、とても煎じ詰められた世界がある。
M8:月光 '92.10.28発売 6thアルバム『RUN』収録曲
わがままな男のつぶやきとおぼろげな月の光を重ね合わせたバラッド。超速のギターソロとムーディなアコースティックギターの対比が “魅せる”。フルートの音を混ぜたシンセの音も効果的。
M9:ハピネス '97.11.19発売 9thアルバム『SURVIVE』収録曲
ハモンドオルガンからフィル、そしてスライドギターで作られたリフが、ハネたエイトビートと緩やかに融合するフュージョン系ミドルナンバー。アコースティックギターのソロとエレクトリックギター・ソロの両方を聴くことができる。エンディングのファルセット“稲葉”ヴォイスも聴きどころ。
M10:もう一度キスしたかった
'91.11.27発売 5thアルバム『IN THE LIFE』収録曲
TAKメロディの宝庫の中でもマイナーコード系のど真ん中にあたるメロディがきっちりと展開する楽曲。今聴くと、幼さも感じられるヴォーカルの質感も、この曲にぴったりと合っていると思うのは、僕だけだろうか。

最新LIVE映像

『a BEAUTIFUL REEL.』

B VISION
2002年11月27日発売
DVD/ONBD-5014~5  5,775(tax in)
VIDEO/ONVX-5014 3,150(tax in)


B'z2年ぶりの映像作。
2002年に行なわれたスタジアム&ドーム全国ツアーであり、約70万人を動員した<B'z LIVE-GYM 2002 "GREEN" ~Go Fight Win ~>の映像を収めたもの。

最新アルバム『GREEN』からの曲を中心に、9年ぶりにライブ演奏された「太陽のKomachi Angel」、「恋心」、「裸足の女神」などもをアコースティック演奏で披露。ライヴ映像ながらファンでなくても飽きさせることのない演出満載のライヴ! CGや特殊効果もニクい。

DVDのみの特典映像としてB'z初のアメリカライヴ<B'z LIVE-GYM2002"ROCKIN' CALIFORNIA ROLL">から2002年9月24日LAでのライヴダイジェスト映像と、同年10月5日、日比谷野外音楽堂にて行なわれたプレミアムライヴ<B'z LIVE-GYM2002 "ROCKN' California Roll" in Tokyo>のライヴダイジェスト映像を収録。







★☆B'zなクリスマス☆★

●お台場で……

約15mの巨大B'zツリーに
B'zサンタ写真3ヴァージョン!

場所:フジテレビ1F敷地内
期間:2002年12月11日~2003年1月5日


●東京ドームで……

約3mのB'z ツリーが12本
そして巨大テディベアちゃんも

場所:東京ドームシティ噴水広場
期間:2002年12月1日~2002年12月31日




そして、
“佐伯明の音漬日記”へGO!


BARKSには、当ページの記事を執筆した
音楽文化ライターの佐伯明さんの
人気コラム“音漬日記”があります。
こちらでも『The Ballads~Love&B'z』について
書いているので、チェックしてみて!


M11:泣いて泣いて泣きやんだら
'97.11.19発売 9thアルバム『SURVIVE』収録曲
正攻法の三連のロッカバラッド。優しくも可笑しい歌詞が、深刻さをとり除いてより優しく響くという“何気なくグッと来る”曲の最高峰作。この曲の(時間的に)短いところもB'z的である。
M12:ONE  '99.6.9発売 26thシングル「ギリギリchop」2nd beat
TAKとTV特番を撮るためにロサンゼルスに行ったとき、時差ボケでほとんど眠れず、気がつくと白々と夜が明けてきた時間帯、この曲は見事にそのときの心象に合致したことを思い出す。別れの中に出発の決意があるとわからせる逸品。逆にB'zファンならば、新音源と次の<LIVE-GYM>を待つ間のテーマ曲にもなるはずだ。
M13:Everlasting
'02.7.3発売 12thアルバム『GREEN』収録曲
一聴すると三連のロッカバラッドとは思えない、重厚な1曲。7打のブレイクが高鳴る鼓動を表わしているようだ。稲葉の倍音フェイクも一発必中のパワーを持っている。
M14:GOLD  '01.8.8発売 32ndシングル
まるで映画のエンディングにも似たオーケストラがクレッシェンドする大団円がイントロになっている。ある意味では「juice」と同じ作り方のイントロを持つバラッドだろう。<LIVE-GYM>を体験したあとに聴くと、鎮静とエナジー(脈動)の両方を感じることができる。
M15:SNOW
'96.11.25発売 5thミニアルバム『FRIENDS II』収録曲
TAKの身軽なカッティング・ギターが聞こえるのに、全体的に灰色の冬景色を感じさせる複雑印象をもたらす曲。稲葉も前半は、ファルセットの手前で歌っている特異な曲だ。
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