――『The Eminem Show』を制作していた時のゴールは何でしたか?
EMINEM: うーん、そうだなあ……このアルバムでは、何よりもまず自分が成長したところを見せたかった。アーティストとして成長したと自分でも思う。精神的にもそうだし、あとアソコも超デカくなったしね。前の2枚のアルバムより1インチは成長したんじゃねえかな。だから、まずその成長ぶりを見てもらいたかったのさ。ペニスも含めてね。
――悪名高いセレブリティにはお約束のプライバシーの欠如については、どのように対処していますか?
EMINEM: ああ、イライラさせられることもあるよ。だけど、どうかな、悪い事でもいいほうに解釈するっていうか、マイナスをプラスに変える、ネガティヴをポジティヴに変えるってことが大事なんじゃないの。時にはうんざりすることもある。でも、どうってことないさ。ま、何とかやってるよ。
――『Batman』のTV番組が大好きだったとか?
EMINEM: あー、うん。ガキの頃、バットマンの大ファンだったよ。バットマンにスパイダーマン、スーパーマン――成長期に憧れるスーパーヒーローっていうかさ――ハマってた時期があったな。'70年代、'80年代に育ったガキなら誰でもそうだろ。
――“Without Me”のビデオでスーパーヒーローものを扱ったのは楽しかったですか?
EMINEM: ああ、どのビデオも楽しかったけど、“Without Me”が断トツ面白かったね。2人ほど女とヤれたしさ……うん、やっぱりそのビデオが俺的にも断トツ面白かったよ。
――映画『8 Mile』の制作についてはどうですか?
EMINEM: OK、まず、あの映画は俺の話じゃないぜ。俺のライフストーリーってわけじゃないし、俺が俺自身を演じてるわけでもない。映画の中で俺に似てるガキを演じてるってだけだ、Jimmy Smith Jr.って名前のね。で、基本的にはヒップホップ・ムービーなんだけど、何かドラマがあるって言うか……ヒップホップ映画で、音楽が扱われていて、なおかつこれだけドラマ性があって、それでもやっぱりヒップホップ映画だって作品は今までなかったと思う。構想がビッグだし、すげえことだよな。だってさ、音楽の話でもあり、主役のガキがどこで、どうやって成長していくかって話でもあるわけだから。それに『8 Mile』ってタイトルは、基本的にはデトロイトの人種のボーダーラインを意味してる――シティと郊外を隔てているラインをね。もちろん、必ずしも金持ちと貧乏人を隔ててるってわけじゃないけど、まぁでも肌の色のボーダーラインって感じだな。で、この映画は、その両側を見て育ち、いつも狭間でどっちつかずの状態に陥っている1人のガキを描いてるんだ。そいつは色んなことを恥だと思ってる。自分の住んでいる地域とか、白人だってこととか、自分がアホでマヌケだってこととか……。
――撮影現場で演技指導を受けたご感想は?
EMINEM: Curtis(監督のCurtis Hanson。他の作品に『L.A. コンフィデンシャル』『ワンダー・ボーイズ』)からバッチリ教えてもらったよ。だってさ、演技っていうゲームの中では俺は生徒だからね。目一杯勉強させてもらった。ただ何となく足を踏み入れて“やるじゃん、俺”みたいな風にはなりたくなかったんだ。もしそんな態度でやってたら、多分ここまでいい結果は出なかった――と言うか、出ないだろうね。
――プロの俳優たちとの仕事はいかがでした?
EMINEM: クールだったよ。自分の力になるものをもらった。例えばあるシーンで、ちゃんと仕事しなかったり、どうしようもないヘマをやらかしたりする奴がいたとすると、もう一度気持ちを作り直して、そのシーンを撮り直さないといけないだろ。けど、あの映画に出てた俳優とは、全くそんなことする必要がなかったのさ。もっとも、彼らは俺のせいでそれをしなけりゃならなかっただろうけど。
――『8 Mile』のサウンドトラック盤と他のアルバムとの違いは何ですか?
EMINEM: そうだなぁ……っつうか、音楽自体は世間がEminemに期待してるものと大体同じ。だけど、歌詞とかテーマとか、そういう部分が違うのさ。テーマ的には、みんなを――あと俺自身を――俺がまだ有名じゃなかった頃に引き戻す感じだよ。映画(の設定)は'95年だから、Eminemとかそれ以前の時代なわけ。だから、サウンドトラックの曲では、主人公のガキとそいつの頭の中に何が起こってるかってことばかり歌ってるよ。そういう部分を表現しようとしてるのさ。そこが違ってる。
――『The Eminem Show』というタイトルはどこから?
EMINEM: あー、それは『The Slim Shady LP』があって、『The Marshall Mathers LP』があって、だから次に何が来るか予測がついたってのが大体のところかな。けど、最初はそれはできないと思ってたし、そうする予定もなかったんだ。そのために綿密な計画を立てたというわけでもない。もちろん、世間がそれを予測し、期待するだろうってことは分かってた。でも、もし自分が正しいやり方でできず、テーマも持ってなかったとしたら、とうてい無理な話だ。分かる? 俺はこの作品を単なる『The Eminem LP』とは呼びたくなかったんだ。だから『The Eminem Show』にしたのさ。曲をレコーディングすることで――というか、1曲目を作り、2曲目を作り、3曲目を作るうちに、5曲目が出来る頃には大まかな構想がまとまり始めた。1つのストーリーとして、という感じでね。それで、去年やったあるインタヴューを見てたら、俺は『ジェリー・スプリンガー・ショウ』みたいな人生を送ってきた、自分の人生はまるでショウみたいだ、とか何とかしゃべってるわけ。で、単純にひらめいたのさ。「ああ、いいじゃん! The Eminem Showだよ!」って。
――Shady Recordsのほうは最近どうですか?
EMINEM: Shady Recordsは俺のレーベルで――いや、もちろんInterscopeは絡んでるけど、俺のレーベルであることは間違いないわけだ。D12もこのレーベルからリリースしたし、今回の映画のサウンドトラック盤もこのレーベルから出すことになってる。それから、他にもObie Triceってアーティストと契約したんだが、そいつは今ムショ暮らしでね。おっと、あいつがムショにいると俺が言ったってバラさないでくれよ。ともかく、Obieは『The Eminem Show』でもフィーチャーされてるけど、ま、ツバ吐き散らしてるそこらの若い奴みたいな感じだよ。あいつもツバ吐くし。けど、奴にはスターの素質がある。それにデトロイト出身なんだ。今んとこ俺が契約したアーティストは全員デトロイト出身なんだけど――まあ、そういうファミリーにしようと思ってるしね。だから、デトロイトが俺のことを何て言おうと、どれだけ世間がバカな噂やゴシップを流そうと、俺はあの街のために何かするつもりさ。クソ食らえっての。
――故郷のデトロイトではヒーローなのですか?
EMINEM: いろいろさ。賞賛もされてるし、嫌われてもいるし、嫉妬もされてるし、いろんな感情がバランス良く混在してるって感じ。皆が俺のことを嫌ってるわけでもないし、好きなわけでもない。俺の出身地とは関係なく、ね。つまり、たとえどの街の出身でも、その土地で育って今でもそこから通ってるにしても、世界中のほかの街と何ら変わらないってことさ。いまだに多少そういうところはあるよ、愛情と嫌悪が混じり合った関係、みたいな。けど、俺にとっちゃ願ってもないことだろ。俺的には人が何言ってるかなんて気にしねえし、“どうとでも”って感じだしさ。
――音楽をやっていて一番良かったなと思うことは何ですか?
EMINEM: うーん、楽しいことなら言えるな。レコードを作ることだろ、外に出てそれをプレイすることだろ。だって、それがアーティストとしての技能なんだからさ。彫刻を作り上げて、それからそれを美術館へ持って行って観客に見てもらう、それがアーティストなんだよ。うん、俺は基本的にそういうタイプだね。だから、音楽を作って、それを演奏して、ビデオを作ることが俺は楽しい。あとはクソみたいなもんだ。これ(インタヴューを受けること)もクソ、全然好きじゃないね。こういうところは面倒くせえ仕事ってことになる。でも、俺は学んだよ。自分のショウに人々を集め、俺を観てもらう。大勢の観客の前でロックする。そういったことのためにはこのビジネスで何をしなきゃいけないか、ってことをね。だからさ、これはビジネスで、いわゆる快楽とか、アホな女どもをファックしたりとか、そういうこととは別のところでやるもんだって思うことにしてるよ。
――将来的には再婚を考えているんですか? それとも今付き合ってる人が?
EMINEM: また結婚するより、自分のペニスで子供を作りたいね。今は誰とも付き合ってない。でも、シャノン・エリザベス、君がこのインタヴューを見ていたら……な、俺はOKだからさ。いつでも言ってくれよ。
――あなたの髪は本来は何色なんですか?
EMINEM: グリーンだよ。
――映画のために少し外見を変えたりしました?
EMINEM: ああ、ちょっとした運動と食事の制限はしたよ。トレーニングを集中的にやって、クソみてえなグラノーラ・バーとか食って、ちょっとの間、健康的な生活をしてた。でも、俺って今保護観察中だろ。どっちにしてもあんまりムチャなことはできねえんだよ。だから、まあ、健康的になってもいいかなってね。あと、髪も切って本来の色に戻した。だから映画は地の色で出てる。グリーンでね。
――で、身体の調子はいいですか?
EMINEM: いや、死にそう(笑)。ウソウソ、調子はいい、絶好調だよ。今までになく集中できるようになったし。こんなのは初めてさ。
――あなたの心の中に愛はありますか?
EMINEM: 俺の愛ならパンツの中にあるぜ。心に愛があるかって? ああ、もちろんあるさ。娘への愛もあるし、自分の音楽への愛もある。他には? ねえな。
――皆があなたの従兄弟だと言ってるようですが、そんなに家族が多いんですか?
EMINEM: このクソ世界中が俺の従兄弟なのさ。今年は全員が住めるようなデカい家を買おうと思ってる。そいつら全員俺の家に住まわせちまえば、自分の部屋まで追っかけられなくなるかもしれねえしな。
――Eminemでいるのは辛いことですか?
EMINEM: うーん……簡単なことじゃないけどね。辛いかって? 俺のアソコはメチャ辛そうだよ。ま、そんなことはどうでもいいんだけど。パンツの中の膨らみなんてさ。でも、うーん、俺でいることが辛いか? 辛い時もあれば、それで得することもある。アホ女どもとかね。自ら望んで身体を投げ出してくるんだからさ。
――そうやって目の前に投げ出されてくるものを上手くさばけてますか?
EMINEM: そうだなあ、俺を上手いこと利用しようとした奴はいたけど、どうかな……まあ、例えば俺が窮地に追い込まれてると感じて、誰かと知恵比べをしなきゃいけなくなったとしたら、きっとすげえ上手くやってると思うよ。
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