『human essence』 Sublime Records 2002年07月24日発売 IDCS-1010 2,400(tax in) 1 ensemble for the weaks 2 times for the two (feat tatsuki) 3 lotus 4 droped out 5 kaneda 6 living on music 7 1234 8 rock the house 9 human essence 10 i know you are warm 11 harmony 12 ending theme(feat manima) | 既にDJプレイがクラブなどを中心に噂のターンテーブリスト/トラックメイカー、dj klock。エフェクターなど様々な機材を使いながらオリジナリティ溢れる、スクラッチとヒップホップ、エレクトロニカ、ダブ、テクノ…など様々な音楽を自身のセンスをプラスしながらミックスしていく素晴らしいDJプレイスタイルを持っている。 2000年に自身のレーベルclockwise recordsを主催し、自身の作品やモユニジュモ、テニスコーツのユニット、カコイなど様々な作品をリリース。そして遂に2002年7月、遂にフル・アルバム『human essence』をリリース。トラックメイカーとして自身と向き合って生まれたそのシンプルで繊細なるサウンド。 dj klockのDJプレイ! 必見です。 | | ――このアルバムの制作期間は? dj klock: 1年ぐらいかな。 ――最初から"アルバムを作ろう"と思って作業に取りかかったんですか?
dj klock: クリアランスの関係でボツになった「Think About America」って曲があるんだけど、そこから2、3曲つくった時点で、これをアルバムにしようって思ったかな。 ――常に曲は作ってきたわけですが、その頃にできた曲は今までとは違いますか?
dj klock: ……自分では分からないな。曲自体がそんなに変わったとは思わないけど、つくり方は変わったかな。リアクター(ソフト・シンセ)を導入したのもその頃からだし。もちろんそれは手法の話で、それだけじゃないんだけどね、まぁ、なだらかに変わってるから説明は難しいな。間にカコイ(テニスコーツのメンバー:ウエノ、サヤとクロックによるユニット。主な作品に12インチEP「Don't Disturb Old Buildings」)の活動もあったし……。 ――カコイから得たものは大きかったんじゃないですか? 特にメロディ・ラインが…。
dj klock: うん、そうかもしれない。それまではビートとメロディを分けて考えてたところがあって。自分はビートをつくる人間だから、メロディは無理かな…って。でもメロディって誰でもつくれるって彼らに教えてもらった。あ、それでいいんだっていう感じがして……。 ――新鮮な気持ちになったんですか?
dj klock: ビートつくるのに相当煮詰まってたからね。それでビートに費やしてた努力を何割かメロディに持っていったら、それが抜けられて。 ――ビートづくりが煮詰まってたっていうのは?
dj klock: どうやって変わったリズムをつくるか? っていう事ばかりを考え続けてると、やっぱり煮詰まるんだよね…。 ――“ループしないで展開し続けるビートをつくりたい”って昔、言ってましたよね? dj klock: それって既成概念を壊し続けるっていうことじゃないですか。そういうことばかり考えてると疲れちゃうよね。そういう考え方の癖がつくと、普通に生きててもさ、“これって常識って言われてるけどホントかな?”…みたいに、疑い深くなっていくっていうか……。すげぇ、キツくなっちゃったんだよね。 ――音楽制作と生活が密接に繋がっているということでもあるんでしょうが…。
dj klock: そうだね。でも、それがメロディを弾きだしたら、穏やかな気持ちになれた。メロディも凝ってくると煮詰まってくるのかもしれないけどさ、今はストレートに出せるわけ。ビートをつくる作業と反対なんだよね。 ――いい意味で自分の中にあるアマチュアな部分を再発見できたという感じですか?
dj klock: うん。音楽って本当にテクニックとかじゃないんだな、って思えた。アマチュアだからこその面白さが分かったし、それをビートで煮詰まってる今、やらない手はないな、って。 ――ビートもひと皮剥けた感じがありますよ。
dj klock: つくりたいものをつくればいいわけじゃないですか。でもさ、つくる前に“こんな事やって新しさがあるのかな?”って思うようになると手に付かなくなっちゃうし、そうすると余計なことばかり考えちゃうよね。そういう状態がこのアルバムをつくり始めた時で……。 ――アルバムをつくるということは、そこからのリハビリでもあったんですね。
dj klock: そうなんだよね。 ――例えば、DJをすることからトラック・メイキングへのフィード・バックってあるんですか?
dj klock: あぁ、すげぇある。だって、DJって聴いてくれる人が目の前にいるわけじゃない? それって音楽家として理想的な状況だよね。 ――2001年夏のテクノ野外イベント<メタモル・フォーゼ>に出演された以降、klockさんのDJは凄く幅広い層に受け入られるようになっていった印象があります。それまでは実験的なイベントに呼ばれる事が多かったけど、今は普通にダンスミュージック・イベントに出てるじゃないですか。 dj klock: そうだね。自分もダンサブルな要素をDJに増やしていったしね。誰にでも分かるものでありたいんだよね。知識がないと楽しめないものではありたくない。 ――“ダンサブル”ってklockさんにとってどういう意味を持つんですか? dj klock: 自分は“踊れる”ってのを条件として、“どこまで面白いことをやれるか”、っていうことに挑戦している。共通言語がなければ、いくら深いことを考えていても伝わらない。リズムはその共通言語になるし、メロディもそうだと思うけど、どこかしら他人と繋がれる部分は自分の音楽に持っていたいんだよね。そこは守ったまま進んでいきたいと思ってるんだ。 取材/文●磯部 涼(2002/July) | |