『Stoned Raiders』 Sony Records International SICP-31 2001年11月28日発売 2,520(tax in) 1 INTRO 2 Trouble 3 Kronologik feat.KURUPT 4 Southland Killers feat.MC REN & KING TEE 5 Bitter++ 6 Amplified+++ 7 It Ain't Easy++++ 8 Memories 9. Psychodelic Vision 9 Red Meth&Bee feat.REDMAN & METHOD MAN 10 Lowrider 11 Catastrophe+++++ 12 L.I.F.E. feat.KOKANE 13 Here Is Something You Can't Understand feat.KURUPT 14 Jack U Back(日本盤ボーナス・トラック) | | 南カリフォルニアの内陸部に分け入った、2本のフリーウェイが交差するあたりに、山並みに囲まれた緑のオアシス、ブロックバスター・パヴィリオンがある。荒野のど真ん中で開かれるレイヴとも思しきその立地で、Cypress Hillが毎年恒例のバンド集会を催した。まぎれもないヒップホップから純粋なスピードメタルまで、いずれもマリファナへの愛情で結ばれた顔ぶれである。初秋の好天のせいなのか、あるいはまったく別の何かがそうさせたのか、雰囲気は終日、友好的かつ協力的、そしてゆったりとしたものだった。 午前10時に始まって日付が変わるまで、2つのステージとディスコ・テントからはラップやハードコア、ハウスミュージックが大音量で流れ続け、数千人の観客を楽しませた。ラインナップの大半はロックグループだが、最大級のヘッドライナーはいずれもラップのアーティストである。大麻解禁推進派のこのフェスティヴァルでは、バンドのみならず、より魅惑的で幻想的なサウンドを繰り広げるディスコ・テントも設けられた。そこでは実に独創的な照明効果やDJが、けいれんと恍惚との間を揺れ動くダンスへと誘う。 このフェスティヴァルで最も動員力があったのはBusta Rhymesである。彼が率いるFlipmode Squadも期待に応え、エネルギッシュなパフォーマンスを披露。Eminemの地位をも脅かすような早口ライムをこれ見よがしに繰り出す。彼はまた、この日の祝福の対象であるマリファナに捧げる楽曲のメドレーも演奏し、他の出演者同様、9月11日の事件にも言及した。「ビンラディンも今夜の俺たちには手出しできないだろうよ」。彼はそう宣言するのだった。 RedmanとMethod Manも非常にタイトなショウを見せた。もっとも、当の2人のがんばりに比べ、背後に控えた大勢の親衛隊は知っている曲を断片的になぞってラップするだけというまったくのパーティ・モードで、全体の雰囲気はおざなりなものだったが。 ロック系の出演者たち(Fear Factory、Deftones、ベテランのパンク集団、NoFx)は、怒りにまみれたゴシックな歌を叫ぶ合間に、観客の応援に丁寧に礼を述べていた。スカからパンクロック、Weezer風の'90年代風オルタナポップまで網羅するNoFxは数ある出演者の中でも最も多才で、観客からも一番喜ばれていた。Fear Factoryはといえばサウンドはずっとへヴィだが、やはり歓迎されていたし、地元の成功組、Deftonesもまたしかり。 ショウはツアーの主催者でありヘッドライナーでもあるCypress Hillが締めくくる。彼らは11時頃、数を減らしつつある観客を前にステージに上がった。Cypressのショウが始まって最初の何曲か(まだ発売前の新作からのナンバー)を辛抱強く聴いていた居残りのファンたちは、その後ようやく美味しいところ――思いきりファンキーな彼らの大ヒット曲集――にありついた。ここでのCypressは、パーカッショニストのBoboほか、多数のミュージシャンをステージに上げて光り輝いていた。だが、幕開けと幕引きの曲は、おそらく彼らの内省的であまりファンキーでない新たな方向性を示していたのだろうが、音楽的にはあまり面白いものではなかった。これは意外である。というのも、B-Realはこの日、新しいグループのKrush ProjectでFear FactoryやDeftonesのメンバーとジョイントし、すでに似たような内容のショウを披露していたのだから。2つある彼のバンドのうち、どちらかはファンキーでもいいのではないだろうか。 とはいえ全体として、2001年の『Smoke Out』は音楽愛好者たちにとって心地良い経験となった。それはマリファナ愛好者にとっても同様だ。 By Steven Banaquist/LAUNCH.com | |