![](https://img.barks.jp/image/review/52249908/J_s135.jpg) 「S」 DREAM MACHINE DDCW-8005 2001年8月13日発売 1,050(tax in)
1S![](https://img.barks.jp/image/review/52249908/listen_icon.gif) 2Sky Coda 3Super Star |
| 異空間に迷い込んだ映画のシーンで、流れそうなイントロが、リスナーの存在する空間をぎゅっと収縮して引き込む。渡辺愛子(Chikako Watanabe)と田辺恵男(Shigeo Tanabe)の2人によるNaNaのサウンドは、坂本龍一の耳にとまり、成長してきたものだ。
そんな彼らが、2001年8月13日、「S」を産み落とす。
スペイシーなサウンドが印象的だが、メロディのキャッチーさでぐっとつかむ「S」。スローバラードでギターとヴォイスの柔らかさが絶妙な浮遊感の「SKY CODE」、じわじわと攻撃的に迫る「SUPER STAR」が包み込まれたアイテムは、三種三様のサウンドだが、安心感のあるリズムをベースに、淡い浮遊感を醸し出している。
そして、それを形どるかのような意味深な歌詞。「S」ではイメージを無限に喚起させながら、つづく「SKY CODE」「SUPER STAR」も頭文字が“S”。それらは1枚の作品として、豊かに表情を変えるのだが、1曲のなかでもさまざまな顔を見せる。そして、ちらっと強烈なプライベートな影を見せてくる。
そんな一箇所に留まらない様子は、実際の活動にもリンクしているようだ。インディーズ時代から、その音楽センスは評価を受けつづけてたようで、Ted Jensen(GarbageやLenny Kravitzなどのマスタリングを手がけるエンジニア)やClive Goddard(PULPやSinead O'connerなどのリミックスを手がけるミキサー)からも高い評価を受け、コラボレイトを実現させ、ワールドワイドの活動をスタンスにしている。実際、外資系メディアには上々の反応が返ってきて、密かに、だが確実に注目を集めているようだ。
一聴すると、奥の深さに迷い込むような錯覚に陥るが、リピートしていくうちにNaNaの世界観に虜になってしまう。そして、それはけしてリスナーとは別世界ではなく、共通点を引き出して巻き込んでいく、そんな世界だ。
そんな2人の織り成す音楽は、限りなく無限のようで、確かな存在感を持っている。 |
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