| Mobyの“Arena:One”フェスティヴァルが7月11日（水）、アトランタのHi Fi Buys Amphitheaterで初日を迎えた。幅広いジャンルにわたるラインナップにもかかわらず、集まった2万人以上の観客のほとんどは近隣エリアからの白人の10代の若者たちで、地元のヒップホップ・アーティスト、Outkastがこの日の一番人気となっていた。イベントの見所のひとつとなったのは、MobyとNelly Furtadoとのデュエットで、“Southside”のGwen Stefaniのパートを彼女が歌った。
Mobyがこのツアーを開催した目的のひとつは、音楽と人間の多様性を示すことだ。
「このフェスティヴァルで達成したいことがたくさんある。まず一番大切なのは、単純にすごく面白くてエンタテイメントでダイナミックなショウを行なうこと。それから、音楽を聴いたり、レコードを買ったりする人たちの趣味っていうのは、思っているよりもずっと幅広くて、許容範囲も大きいんだっていうことを、なんとかして音楽業界の人間に教えたいんだ。あと、もっと大きな政治レベルの話で言えば、どうにか次の中間選挙に影響を与えたいもんだね」
「俺たちの今の大統領は、選挙に負けていながら基本的に無血クーデターで現職に就任したんだっていう事実をみんなに思い出させたいんだ。かなり重要で覚えておくべきことだと思うよ」
フェスティヴァルの初日は、Furtadoのネオ・ソウルとパーティ・チューンのミックスでファンキーに幕を開けた。ほとんどの出演者は、暑くて湿気の多いアトランタの気候にあわせてカジュアルな服装で現れ、Furtadoもベルボトムのジーンズに袖なしの黒いTシャツで登場。7人編成のバンドがタイトな演奏でしっかりと彼女をバックアップした。
ほぼ同じ頃、会場の反対側ではRinoceroseがより大人数でエネルギッシュな観客を楽しませていた。7人編成のトリップ・ホップ・グループのメンバーはDJ、ギタリストが3名、フルートとサキソフォンを担当したマルチ・プレイヤーがひとりにパーカッショニスト兼ドラマー、ベーシストだ。
Amphiteater側のステージに戻ると、先ほどより人数が増えている観客に向かい、Rootsがフィラデルフィア・スタイルのヒップホップを聴かせている。その間、Focusテント側ではDJ Carl Coxがサンプリング・サウンドやループさせたビートを繰り出している。
また会場では、安全維持チームが人ごみの中をあちらこちらと歩いて回り、問題のある者を逮捕していた。イベントの間、容疑者が手錠をかけられ連れ去られる一幕もあった。
こうしてイベントが進む中、ラインナップの中で唯一のハードロック・バンド、Incubusのステージには大勢の観客が集まってきた。ところが、ほとんどの客の目当ては、彼らの後に登場するOutkastだ。アトランタでの初日で最も人を集めたのはこのヒップホップ・グループで、ヘッドライナーのMobyさえ上回るほど。ラッパーのDreは上半身裸にアクア・ブルーのバルーン・パンツといういでたちで、まるで（TVのSFドラマ・シリーズの）『Lost In Space／宇宙家族ロビンソン』に出てきそうな雰囲気だった。彼は仲間のラッパー、Big Boiとともにステージの端から端まで駆けめぐりながら観客を盛り上げていた。
Focusテントのほうの様子はというと、DJのPaul Oakenfoldを観るための入場待ちの行列が100メートル近くまで伸びていた。登場した彼は、黒いカウボーイ・ハットにサングラスをかけたダンサーひとりとステージに立っていた。
Outkastの後、Mobyがメイン・ステージのトリを飾った。会場内は観客の波が引いてしまった感もあったが、Mobyがステージに現れると彼のファンが芝生のところから移ってきて席を埋め始めた。弦楽器3人とパーカッショニスト兼ドラマー、バックヴォーカルひとりなど、計9人のバンドがバックを務めた。Mobyは、時には1曲の間でさえ、キーボードからギター、パーカッションからドラム・マシーンへと飛び回る。“Trouble We Got”が最も観客に受けていたようだったが、さらに盛り上がったのが“Southside”でのFurtadoの登場だった。
全体的に、イベントはなんの問題もなく無事に終わったといえる。イベントを通して音はバッチリだったし、バンドは時間通りに登場し、曲の合い間の無駄なオシャベリも最小限に押さえられていた。 Bill Clifford, Atlanta and
Darren Davis, New York/LAUNCH.com | 
